伝説のサラリーマン聖女の暇つぶし

高山小石

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異世界編

7.聖女のお仕事

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 違和感しかないドレス姿に、久しぶりに草太のお店のことを思い出しちゃったわよ。
 アタシもたいがい女装が似合わなかったのよねぇ。

 でも、目の前にいるこの人はれっきとした女性。
 うーん。男性だったらけっこうタイプだったのにぃ。

 アタシの隣に立つ領主の息子に視線でうながされて、アタシはあわてて挨拶を始めたわ。

「初めてお目にかかります。このたび聖女としてこちらに」

「アンタただの聖女にしか見えないね。本当についてんのかい?」

「母上。それはちゃんと確認しましたから」

「ほんとかい? 下着ごしじゃなくて? 実際に見たりれたりしたんだろうね?」

 領主の奥さんは、さすがにこの場でアタシのナニを直接確かめたりはしなかったけど。
 この二人、間違いなく親子だわぁって納得したわ。

「まぁいいさ。仕事ができなきゃ帰ってもらうからね。さっさとやるべきことをやってきな!」 

 アタシはすぐに執務室を追い出されてね。すでに働いている先輩聖女のところに連れて行かれて、さっそく実地で仕事をレクチャーしてもらうことになったの。

 ここの領地って、北海道くらいの広さがあるんじゃないかしら。
 広大な畑が延々と続いている中に、ぽつんぽつんと村みたいなのがあって、その地の担当者が暮らしているらしいわ。

 それぞれの村に先輩聖女が一人ずついるんですって。
 この世界には車もないし、転移魔法みたいなのもないから、いちいち馬か馬車で移動していたら時間ばっかりかかってしまうのよ。

 聖女たちは農作業の合間に聖女の歌をうたって、育成を促進させたり、作物を病気や害虫から守ったりしているの。
 とってもクリーンな肥料兼農薬って感じよね。 
 教会の畑で私も同じ事をしていたんだけど、こんなに広い範囲にするのは初めてだから、最初は加減もわからなかった。

「大出力ね! まだ小さいのにすごいわ! でも無理しないで。あなたの体に負担がかからないようにしてね」

 先輩聖女は気持ちのいい人で、ここでのことを丁寧に教えてくれたわ。

 ここでの聖女たちはローテーションで各農地をおさめる担当者家族と暮らして、ゆくゆくはその家族の誰かか、その地の誰かと結婚するみたいなの。
 仕事への理解が深い方が聖女効果も上がるから、ここでの聖女は一緒に農作業するのよ。
 聖女が幸せなら、結婚後も最盛期ほどではないけれど聖女効果が続く。だから聖女である間も聖女でなくなってからも聖女は大切にされるんですって。

 ここは領主の奥さん担当の地で、いうならば領主村。領地の中でも一番広い農地があるの。
 奥さんが聖女だった頃は一人でも大丈夫だったらしいんだけど、子どもを産んで聖女じゃなくなった奥さん一人には負担が大きすぎる。
 だからもう一人の聖女と一緒に担当することにしていたら、奥さんとの暮らしがうまくいかなくて、何人もの聖女が力を出せなくなって帰されてしまったそうなの。

 今は別の地を担当している聖女が交代で手伝いに来ている状態なのね。

 アタシを指導してくれている先輩聖女は、すでに別の地で結婚しているけれども現役聖女だった。
 つまり、まだ純潔ってことよ。
 今の聖女数がギリギリで、子どもができたら今みたいに手伝いに来られなくなるから、あえて子作りしてないんですって。
 早くこの地に新しい聖女が定着してほしいんだけど、なかなかうまくいかなくて困っているみたい。

「奥様と私は同じ出身地でね。奥様は私の憧れの聖女様だったのよ。領主様が亡くなってから変わってしまわれたけど、最初は優しくて強くて美しい最強の聖女様だった。変わってしまった奥様と暮らすのは大変だってことはわかるのよ。でも、私だって愛する人との子どもがほしい」

 どの世界でも年頃の娘さんって悩みがつきないものなのね。
 おつきあいする前もしてからも。結婚する前もしてからも。子どもができる前もできてからも。
 それに、こんな健気で可愛い奥さんを前に、結婚してからも我慢しなくちゃならない旦那様が不憫でならないわ。
 とんだ焦らしプレイよねぇ。

 大丈夫よ。聖女のお仕事はアタシに任せて。
 アタシ見た目は12歳くらいの金髪緑目美少女だけど、14歳で精神的にはアラフォーなのよ!

 領主の奥さんを攻略するためにも、先輩聖女から色々話を聞いていたら、領主の奥さんが倒れたって連絡がきたの。
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