never coming morning

高山小石

文字の大きさ
27 / 31

Let There Be Light 1

しおりを挟む
同じ世界の話なので続けてアップしていますが、never~の主要キャラは出てこないので、読まなくても大丈夫です。
時間軸的には地球平定後わりとすぐ、ユーリが表に出る前で、戦争を平定した宇宙人に納得いかない人たちの話です。



   Let There Be Light

 きらきらと瞬かない星空が窓の向こうにどこまでもひろがっている。
 30人がゆったりくつろげるほど広い、集会に使われるこの部屋は、通常『憩いの場』として愛用されている。大きな長方形の広い壁ニ面が窓なのだ。そこから星が、銀河が、宇宙がのぞいている。よくよく見ればその中に知っている星が見つかるのだろうが、そこまで熱心に目を向ける者はいない。乗組員が観察するのは光として認識するほど遠い星ではなく、宇宙船の真下にあるギザンガと呼ばれる星だった。
 今、宇宙船はギザンガを中心にゆっくりとまわっている。窓の向こうのギザンガは、湯気のように見える白い気体をまとっているのでいつも同じ顔を向けているように見える。だが見つめていると、ゆっくりとその上にひろがる星空が移動しているのがわかる。それこそが宇宙船が問題なく動いている確かな証拠だった。
 ゆるいペースでギザンガに隠されていた星たちが顔をだしていくと、スクリーンもかねている窓の一部に1つの星が大きく拡大されて映し出された。
「なんと美しい」
「これこそが地球じゃ」
 窓のそばで一息いれていた老科学者の言葉に、彼も顔を上げた。そして同じように拡大表示された星を見つめた。
 青く美しい姿。どれだけ見ていても飽きないただ一つの星。
 しかし出発時に見た現実の地球を彼は思い出した。赤茶けたいびつな地表。青く見えるのは水滴のように輝く二つのドームだけ。目の前の映像からは想像もできない。
(残像だ……)
 手元の簡素なカップを傾ける彼の目の前で、見慣れたオレンジ色の髪が揺れた。
「先輩、そろそろ時間ですよ! 展望台へ行きましょう!」
 ここでは最年少のエリタは今にも走り出さんばかりの勢いだ。エリタは別の研究所の秘蔵っ子で、このプロジェクトで初めて会った。他の乗組員には尊大な態度をとるエリタだが、プロジェクト最初の登録者である彼を『先輩』と呼んで一目置いていた。
「あぁ」
 彼はゆるゆる立ち上がると、階下にある展望台へとエリタと並んで歩を進めた。自動で広間の扉が開閉する。人を感知して歩道が動き出した。二人きりになった途端エリタがぼやいた。
「あ~もうイヤになっちゃいますよ。なんだってこんなダルい観測を毎日やんなくちゃいけないんすかねぇ」
 言ったそばからエリタは手で『待った』と制し、彼に口を開く隙を与えない。
「わかってます! カムフラージュだってことは百も承知です! 僕らは『ギザンガ観察ツアー』に来ているんですからね。でも意味のないことに時間を割かれるのがイヤなんですよ。ほんの数十分だけど毎日だとさすがにね」
 当番を決める話し合いの最初に「僕が一番余裕あるので」と自分から観察を買って出たのはエリタ本人なのだが、当番制で1週間に1回の彼とは違い、毎日続けているとそう感じるのも当然だろう。
「開発、行き詰まってるのか?」
 オレンジの髪をゆらして大げさに肩をすくめる。
「まっさか。全然問題ありません。ただ意味ないなぁって思っちゃって。ギザンガのこと、宇宙人は調べ尽くしてるはずでしょ? それなのに僕たちに開放してるってことは、やつらにとっちゃ『自由研究にちょっと遠くまで行っておいで』って感じだろうなぁって。そう思ったら、費やした時間がもったいなくて、もったいなくて」
「まぁそうだな。でもそのおかげで俺たちはここで研究できるんだ」
「は……相変わらず冷めてますね、先輩は」
 エリタの気持ちもわからないではないが、いまさら宇宙人(正しくは異星人もしくは超高度生物なのだが、皮肉をこめてここにいる人間は宇宙人と呼んでいる)に腹を立てても仕方がない、と彼は思っていた。
 泥沼な戦争をしていたのは地球人だ。それを宇宙人が平定(と公式文書に書かれている)した。ただその平定のタイミングが遅くて地球が崩壊しそうなことも、戦争をやめてもドームバリアがなければ地球生物はとっくに死に絶えていただろうことも、生き延びたとしても動物園の檻のような状態なことも、仕方がないのだ。地球人に他の選択肢はない。

 宇宙船の一番下にある展望台からは、真下にあるギザンガが良く見える。
 彼とエリタの2人は手馴れた動作で小さな惑星ギザンガを撮影する。昨日から観測機に送られてきた電波やもろもろのデータをすべて圧縮暗号に変換させて地球に送信するのだが、通常通信なので地球に届くのは彼らが地球に帰ってからなのだから、確かになんとも気の長い自由研究だ。
 圧縮暗号にしたとはいえ送信にも時間がかかる。2人は黙ってモニターの細いバーが埋まるのを待っていた。
「……僕らのやってること、無駄じゃないっすよね?」
 いつも強気なエリタから初めて弱気な言葉を聞いた。
 この『ギザンガ観測ツアー改め打倒宇宙人計画』に一も二もなく飛びついたのはエリタなのだ。宇宙人に我慢ならないと、メンバーを集めるのにも細かい打ち合わせにも一番熱心だったエリタ。
「もちろん無駄にするつもりなんてないっすよ? 現に強力な新兵器はいくつか完成させたし。でもね、ここでの一年は思ってたより長くて。毎日が同じことの繰り返し。立ち止まってる僕の横を時間だけが通り過ぎていくみたいで」
 エリタはややオーバーアクション気味に大きくため息をついた。
「僕らがここに来た後にも地球では新技術が入って、嘘みたいに技術が進んでるはずっす。ここでどれだけ研究しても、地球に着いたら全然古くて通用しなかったら」
「地球でこの研究はできないぞ?」
 打倒宇宙人として彼らが研究しているのは、より強力な兵器だった。『宇宙保護区域』に認定された地球では兵器の開発はできない。だからこそこんな通信にも時間のかかる遠く離れた宇宙に来ているのだ。
「そうでしたね。あぁ僕、ホームシックなのかな? 柄でもないっすね」
 なるほどホームシックか、と彼は納得した。
(俺はどうだ、帰りたいと思うか?)
 わからなかった。あらためて考えると、ここでの生活を結構気に入っているようにも思えてくる。彼の性に合っているのかもしれない。
 エリタの言う通り研究だけの日々。単調な、一日が一日と区別できない日々。ギザンガの観察や集会以外は、誰とも話さず誰ともあわない時間が続く。それでも窓の外には無限の宇宙がひろがっているのだ。そのとき彼は永遠の時間に浸っているような不思議な気持ちになれて心地よかった。
「あ、終わりましたね。さてさて、また部屋にこもりますか!」
 2人が展望台を出ようとしたとき、乗組員全員緊急招集のアナウンスが入った。

 乗組員は全員『憩いの場』に集合した。
 研究途中の者もいたらしく腹立たしげに腰をおろしている。窓には先ほどと変わらず、美しく青い星が映し出されている。
(おかしいな。ギザンガの観察はデータ送信の都合上、地球が見えるほんの数十分を狙っていたはずだ。その時間が過ぎたのにまだ地球が見えている?)
「皆様、突然の招集、申し訳ございません」
 プロジェクト責任者であるプトリ氏が、かすかに震える声で前置きを述べた。
「大変な事態になりまして……。あの、なんと言ってよいのやら……」
 プトリ氏は心底困っているらしく、しばらく言葉を濁していた。
 だが訳もわからず呼び出されイライラしている人々を前にし、覚悟を決めたのだろう。プトリ氏は数回の深呼吸の後、慎重に言葉を運んだ。
「メインエンジンがトラブルを起こしまして……。あ、でも現在の航行には問題ありません。ここに留まるだけなら、いくらでもサブエンジンだけでまかなえます。ただ、ギザンガの引力から脱出できないのです。ワープを使う長期航行もできません」
 一気にざわつく人々に、プトリ氏は慌てて言葉を続ける。
「もちろん! すでにこの状況を地球に伝えております! ですが、サブエンジンだけで稼働可能な通信機となりますと、最速でも地球に届くまでに2年はかかります。せめてもう少し交信に適した場所へ出られるといいのですが、ここは皆様もご存知でしょうが、通りの悪い区域なので……」
 結局なにがいいたいのだ、と集まっている人々から声が上がる。
「えー、あのですね、つまりここで待っていても、緊急通信が届いて迎えが来るまでに食料が尽きてしまうことになるのです」
「なんだ。それならみんなでスリープ状態に入ればいい」
「研究は途中になるが、まぁ仕方ない」
「非常事態じゃからの」
 スリープ状態とは航行中の負担を減らすため仮死状態になることだ。宇宙人から伝わった新技術で、宇宙船には乗組員全員のスリープ装置がついている。画期的な装置で、何世紀も眠って過ごすことが可能だ。地上で眠り医学の発達を待つ人もいる。時間が過ぎるだけでなんの問題もない。
「それがその……スリープ装置を作動するにもメインエンジンが必要なのです」
 ざわり、と空気がうごめいた。
「そんな!」
「だいたいどうしてメインエンジンがトラブルを?」
「わかりません。現在、原因を追求および修復可能か調べています。ただ、今のところ良い結果が得られていません。そこで皆様に、覚悟だけはしておいてもらおうと、集まっていただいたのです」
 驚きと、軽蔑の響きをふくんだ叫び声があがる。いくらかの望みをもって氏を仰ぎ見ても、氏はそれ以上口を開かなかった。
 つまり氏はこう言ったのだ。『もう地球には帰れない。ここで死ぬしかないのだ』と。
「嘘だと言って下さい、ミスター!」
「我々はもう一度地球に戻れますよね?」
「なぜ今ごろトラブルなんて」
「私がエンジンを直してやる! 案内してくれ!」
 終わりそうにない騒ぎを抜けて、彼は自分の部屋に戻った。
 驚かなかったと言えばウソになるが、皆ほど心が動かなかった。
 時刻は、もうすぐ午前0時になろうというところだ。彼は無駄のない部屋の質素なベッドに横になると、すぐに眠りについた。

 おい、あいつが有力じゃないか?
 そうだな。あいつの代わりはいる。なら、こいつは?
 ああ。それならここらのじじいどもはどうだ?
「……」
 『憩いの場』に入った彼に一斉に鋭い視線が集まり、そして散った。
 午前9時前にようやく目を覚ました彼は、憩いの場の異様な雰囲気に驚いた。立ちつくす彼の元へ疲れた目をしたエリタが駆け寄ってきた。
「エリタ、なにかあったのか? 招集もないのにこんなに人がいるなんて、初めて地球を見たとき以来じゃないか」
「なにかあったのかじゃないっすよ。昨日の、ほら」
「あぁ。それにしても、みんな、研究は?」
 彼を部屋の隅に引っ張ってくると、エリタは声を落として言った。
「念のためエネルギィを無駄使いしないように研究室は閉鎖されたんです。次の連絡があるまでここか居住区で待機してるんすよ。それとこれは噂ですが、通信がとれるまで食料をもたせるために人を減らす案が出てるとか」
「減らすって……殺すのか? 仲間だぞ?」
「自分の生き死にがかかっていますからね。まぁ僕らは大丈夫でしょうが、分野がかぶってる研究者たちは気が気じゃないでしょう」
 あらためて広間を眺めると、最近さっぱり話もしなかった同期の者が数人いた。長い間一緒にいるが、初めの顔合わせ以来、挨拶も交わしたことのない人のほうが多い。それでもここに来ているということは皆『打倒宇宙人』という同じ志があるからだ。
 誰もが一様に不安を隠せていない。
(もしもこのまま帰れなかったら、わざわざ宇宙の果てまでやって来て違法の研究をしていたというのに、これまでの研究は無駄になるのか?)
 彼は立ち上がると広間に背を向けた。エリタも慌てて立ち上がる。
「どこ行くんすか?」
「プトリ氏のところだ」
「制御室へ? なにしに?」
 振り向きもせず歩いていく彼をエリタが追う。
 居住区を通る道々すすり泣く声が響いていた。呪う声。罵倒する声。いつもは皆眠りに帰るだけの静かな場所なだけに、別の場所へ来たようだ。
 これからどうなるんだろう、とエリタは考える。
 サブエンジンが生きている限り電気や空気の心配はいらないと聞いた。
 朝の速報によれば、メインエンジンは故障や劣化ではなく、この宇宙研究所制作時の根本的なミスらしい。幸い乗組員は専門外とはいえ科学者の集まりだ。数人が復旧作業にあたっている。だがまだ明るいニュースは流れてこない。メインエンジン、最速通信、スリープ装置はすべて地球外科学である新技術の代物だ。地球人に理解できる形で発表されたことがなく、直せるとしても時間がかかるだろう。
(新技術はやっかいなんだよな。技術的な方程式が理解しづらいのはもちろん、地球で作り出せない特殊な物質を使ってるいることが多い。もしそれが足りないとなると、もう打つ手はないということに……)
「いい案があるんすよね?」
 嫌な考えから逃れようと、エリタは目の前の男に集中する。彼は静かに口を開いた。
「俺には親代わりの博士がいたんだ」
 いきなり始まった彼の話に、エリタは黙って耳を傾ける。
「このプロジェクトを計画した一人だ。でも計画したのに自分は行けないと嘆いていた。まぁもういい歳だから仕方ない。それで博士は俺を登録したんだ」
 それで僕より早かったんだ、とエリタは納得した。
「それだけでは飽き足らず、博士はこの宇宙船の設計図を見ながら俺と一緒に行ったようなシミュレーションまでした。設計図を見ながらあれこれ想像する博士は、それは楽しそうだったよ……」
 エリタの視線に気づき、彼は在りし日の博士を思い出して途切れていた言葉を続けた。
「博士はドラム缶を見て『これは接続部をうまく外せば簡易宇宙船になるだろう』と言った」
 ドラム缶とは、大きなドラム缶に似た形に見える宇宙船にくっついている倉庫のことだ。危険な研究結果や完成品の兵器が厳重に保管されている。
「マジっすか? エンジンもついてないのに?」
「『最強の保管場所』というだけあってシェルター機能が使われている。あれなら外壁が強固でまさに最強だ。後は勢いさえつければ」
「なるほど!」
 ぱっとエリタの顔が明るくなった。
「倉庫を爆発させてエンジンの代わりに船を動かそうって言うんすね!」
「そうだ。ただ、うまくいくかどうかわからない」
「リスク高いっすよね。もう少しすればメインエンジンが回復するかもしれないし、今すぐ試す必要ないでしょ」
「あぁ。だけど早く倉庫をどうにかしないと。もしもおまえが口減らしのために死ぬことを強要されたらどうする?」
「えぇ? そんなことないでしょうけど、もしもっすよね? う~ん、むかつくからいっそここごと壊しちゃえ~って」
 エリタの表情が凍りついた。
「ヤバイっすね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...