寡黙な男はモテるのだ!……多分

しょうわな人

文字の大きさ
22 / 90
異世界を楽しむ

020話 リラの災難

しおりを挟む
 私はリラ。冒険者養成学園に今年から通い始めて一週間になるんだけど……

 誰かこのボク様を止めてー!!

「オイ、リラ! ボク様の横に座るんだ!」
「リラ、何してる? 次の課外授業に行くぞ!」
「シン、貴様!! ボク様の婚約者であるリラに手を出すな!」

 いえ私は~、ボク様の婚約者になった覚えはないよ? ダルイマー侯爵家から打診があったけどトーヤがキッパリと断ってくれたんだから!!
 もう一つの侯爵家であるサカキ侯爵家からの婚約申込みは私が頼んで保留にして貰ってるけど~。
 そもそも私はボク様の名前も知らないんだし、勝手な事を言わないで欲しいなぁ。シンくんも頑張って盾になってくれてるけど、何故かシンくんが居ない時を狙ってやって来るんだよね~……

 そして、遂にシンくんがキレちゃったよ。

「オイ、ボーク! 貴様からの婚約申込みは既にログセルガー公爵家から断りの返事がきた筈だぞ! それなのに何で貴様はリラさんの婚約者面をしているんだ!! 貴族としてあるまじき態度だぞ! それ以上リラさんに付き纏うと言うなら、僕も容赦しないぞ!」

 初めて名前を知ったよ~。ボク様はボークって言う名前なんだね。さすが、シンくんだよ。さり気なく私の知らない情報を教えてくれるなんて。

「何をバカな事を言ってるのだ、シン? ボク様が婚約を申し込んだのはログセルガー公爵家じゃなく、リラだ。リラ自身から断りの言葉が無いならそれは承諾したと言う事になるだろうが!」

 あー、このボク様って本当のおバカだったんだー。普通は自分の家より家格が上の家から断りがあったら従うのが貴族の常識だって、貴族じゃない私でも分かるのにね~。
 ほら、シンくんも呆れてるよ~。

「ボーク…… 貴様、バカだろ?」

「ナニーっ!! シン、貴様! このダルイマー侯爵家始まって以来の秀才と言われるこのボク様をバカだと言うのかっ!!」

「ならばその秀才様に教えてやろう。リラさんはログセルガー公爵家五男であるトーヤ様にお仕えしている身だ。つまり、そのトーヤ様から正式に断りが来た時点でそれはリラさんが断ったのと同じだと言う事になるんだ! 僕の言ってる事が理解出来るか?」

 シンくんの言葉にワナワナ震えているボク様だけど、出てきた言葉にはビックリだよ。

「シン、貴様ーっ! 貴様はいつもそうだ! 何故いつもボク様の邪魔をするっ!! ボク様はリラを手に入れて、もう少し大きくなったらあんな事やこんな事をして飽きたら貴様に払い下げてやるつもりだったのにっ!! 貴様はいつもボク様の完璧な計画を台無しにする!! もうそれも今日までだっ!! 今日、貴様との因縁に決着をつけてやるっ!!」

 ハァ~、ボク様って本当にバカだね~…… 私は物じゃないし好きでもない子にあんな事やこんな事をされる訳が無いのに。

「良いだろう、僕も貴様の言動にはいい加減ウンザリなんだ。今日、この場で決着をつけてやるっ!」

 男子二人が勝手に盛り上がってるけど、ゴメンねぇ。私は自分の事は自分で決着をつける事にするよ~。

「ちょっと待って! 私は自分よりも強い人じゃないと婚約も結婚も、あんな事やこんな事もしないよ? だから、ボークくんがどうしてもって言うなら私と勝負して勝たないとダメだよ? 私の言ってる事が分かるかな?」

 私が二人に割り込んでそう言うと、何故か嬉しそうに笑って言うボク様。

「何だ、そんな事で良かったのか? 簡単じゃないか。ならばリラと勝負してやろう。ボク様が勝ったらリラはボク様の奴隷婚約者になるのだっ!!」

「うん、もうそれで良いよ…… 私が勝ったらもう関わりにならないでね。誓約書を明日に作ってくるから勝負は明日だよ。それを約束出来ないなら今すぐ私に関わるのを止めてもらうから」

 私の言葉にボク様はアッサリと承諾して帰っていった。残ったシンくんが私を心配して言う。

「リラさん、大丈夫? ボークはどんな手を使ってでも勝とうとしてくると思うけど……」

「大丈夫だよ、シンくん。明日は私の師匠にも立会に来て貰うから。それよりもシンくんもだよ。私よりも強くならないと婚約は受けられないからね」

 私の言葉にシンくんは顔を赤くしながら言った。

「わ、分かってるよ。でも、僕の方は断りの連絡が来てないから可能性はあると思ってるんだけど……」

「うん、お返事は保留にしてあるよ。だから、頑張ってね。そうだシンくんも明日は見に来てね。私の実力を知るいい機会だと思うよ」

「勿論、僕も立ち会わせてもらうよ」

 そして、翌日になって場所が何故か私が住むトーヤのお屋敷のお庭になったよ。私の話を聞いたトーヤが凄く怒っちゃってそんな奴と勝負する必要は無いって言うけどもう約束しちゃったからって言うと、セバスさんを通じてダルイマー侯爵家に連絡を入れて対戦場所をここに決めたんだ~。

 それでも意気揚々とやって来たボク様には私もある意味で感心したよ~。そして、シンくんもちゃんと来てくれたよ。シンくんは来るなりちゃんとトーヤに挨拶をしたんだ。

「トーヤ様、初めまして。この度は立会を認めて下さり有難うございます。ぼ、いえ私はサカキ侯爵家の三男でシンと申します。今後とも良きお付合いをよろしくお願い申し上げます」

 そう言って頭を下げたシンくんをトーヤは複雑な表情で見てたけど、何とか折合いをつけたみたいで、一言だけ言ったんだ~。

「初めまして」

 トーヤの返事を聞いたシンくんはその短さに驚いてたから、私がトーヤはこの短い言葉に色んな意味を込めてるんだよと教えてあげたんだ~。その色んな意味をシンくんに伝えてあげたよ。同い年だからトーヤの事は様ってつけて呼ばなくても良いとかね~。シンくんに説明してる横ではトーヤがウンウンって頷いてるから、シンくんも安心したみたいだよ。
 
 そこにボク様が割り込んできたんだ。

「オイ、随分と立会人と親しそうだな? 不正は許されないぞ!」

 本来ならば、家格が上のトーヤに先ずは挨拶をするのが常識なのにそれすらしないなんて…… 付いてきてる家臣もボク様を咎めだてしないし。むしろ家臣たちはトーヤ親衛隊の皆を嫌らしい目で見ているよ…… ダメだね、ダルイマー侯爵家は。
 セバスさんやトーヤ親衛隊なんてもう物凄く怒ってるよ。それはトウシロー師匠も同じだよ。
 私は皆がキレる前に誓約書を出してボク様にサッサとサインをしてもらった。私のサインもその場で入れる。先に入れてたら私以外が書いたんだろうって言われると思ったからね。

 そして勝負しようと師匠が作ってくれた模擬戦場に入ると、中に入ってきたのはボク様と三人の騎士だった。それを見てシンくんが抗議する。

「待て! 何故ボーク以外が中に入ってるんだっ!!」

 その言葉にボク様が言った。

「うん? 貴様はバカか、シン。誓約書にはボク様と一対一とは書いてなかっただろう? だから、ボク様は護衛騎士を伴っているんだ」

 その言葉にキレたトーヤが模擬戦場に入って来ようとしたけど私は止めた。もう私も完全に怒ったよ~、ボク様!!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...