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異世界を楽しむ
026話 脳筋王子殿下
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すっかりと落ち込んでいた僕に脳筋王子が声をかける。
「では、用事は終わったと言うことで、トーヤ殿、さっ……」
「待ちなさい、ヨロス。ワタクシの用事がまだでしてよ」
その言葉を遮ってサラディーナ王妃が声を上げた。
「え? 母上も何か?」
「当たり前でしょう…… あなた達二人、もちろん、ヨーナは除いてですよ。夫と息子が残念すぎて妻として母として本当に申し訳なくなるわ……」
あ、サラディーナ様は良識ある方のようだね。助かったよ。
「皆様には学校でヨーナが大変お世話になっております。皆様にお会いしてから学校に行くのが楽しいとヨーナが本当に笑顔になりました。そこで、母として皆様に何かしらお礼をしたいと思いまして。何かご要望があれば教えて頂けますか?」
うん良識はあるけど常識は無かったようだね。僕たち貴族はともかくとして、ライくんやメリーちゃんはビックリして目を点にしてるよ。ロイヤルファミリーに会うだけでもハードルがかなり高かったのに、要望を言えって言われてもそれならとはならないですからね。
そんなライくん兄妹に僕は一つアドバイスをしてあげた。そう、前々から二人が欲しかったのをお願いしたらってね。僕のアドバイスを受けて、意を決してサラディーナ様に言うライくん。
「あ、あの…… 僕と妹は平民ですので失礼があったらごめんなさい。要望ということでしたが僕と妹はまだ半人前で解体ナイフも父や母から借りているのですが、自分用のナイフが欲しいと常々思ってました。もしもかなうならばそれが欲しいです」
ライくんの言葉にサラディーナ様は笑顔になり、
「まあ、まあまあ!? 素晴らしいわ! 王都一番の解体師の兄妹はそのまま家業を継ぐのかしら? 専用の解体ナイフですって! 分かったわ! 私に任せてね。直ぐは無理だけど1週間以内にお二人の手元に届けるから。楽しみにしててちょうだい!」
そう言ってライくん兄妹の要望に頷いたんだ。
それをキッカケにカルイくんは魔法書を、クレアちゃんはお菓子、シンくんは剣をリラは冒険者登録を、フェルちゃんは馬車をサラディーナ様にお願いしていた。全部、叶えられたよ。凄いねサラディーナ様は。
で、僕はというととある事についてのお話をお願いしてみた。僕からのお願いにサラディーナ様は、
「そうね、貴方には知る権利があるわね。分かったわ、長いお話になるからどうしましょうか? 先に愚息の相手をお願いしても良いかしら?」
そう聞いてきたので僕は頷いたんだ。
それから王族の方が人知れず鍛錬されている訓練場に案内された僕たち。先ずはリラと手合わせしたいと脳筋王子様がいうのでトウシローが審判をする事になったのと、使うのは王子が木剣でリラは木刀。身体強化の使用は許可。それ以外の魔法の使用は不可で、1本勝負とする事が決まったよ。
勝敗はどちらかが負けを認めた時、気絶した時、審判が勝ちを認めた時になったんだ。
僕との手合わせも同じ条件だよ。
「それではこれより、騎士見習いヨロスと冒険者見習いリラの模擬戦を始める。お互いに全力をもって模擬戦を楽しむがよい。それでは、始めっ!!」
トウシローの合図でリラが一瞬でヨロス殿下の後ろに回り込み木刀を振った。
いやリラ…… その勢いで頭に向かって振り下ろして当たったら死んじゃうよ……
なんて僕の心配を他所にヨロス殿下は難なく躱して、振り向きざまにリラに木剣を振る。
リラも難なくそれを躱す。そして二人とも笑顔になった。
「中々やるね、リラ殿。僕が背後を取られたのは師匠以外では初めての事だよ」
「殿下もやりますね。まだ、実力を出しておられないようですが、コレから少しずつ力を上げていってみますね。どこまで耐えられるかしら?」
ハハハ、ウフフと笑い合う二人。あー、そう言えばリラも頭はいいけど、強い人と試合してる時は脳筋気味になるんだったや……
そこからは僕とトウシロー以外は二人の動きが早すぎて見えなかったと思うんだ。いや、フェルちゃんが何とかついていってるかな?
「早い、くっ、でも何とか……」
って呟いているからね。
激しい応酬を見せてくれた二人だけど、武器が耐えられなかったみたいで、遂に打ち合わせた時に折れちゃったんだけど、そのタイミングでヨロス殿下がリラの一瞬のスキをついて背後に回って、折れた木剣の先をリラのうなじに軽く当てたんだ。
「それまで! 勝者騎士見習いヨロス!!」
トウシローの声が響いた瞬間にリラが落ち込んだ。
「シンくん以外にも負けちゃったー!! ウワーン、悔しいーっ!!」
そう、リラはシンくんに負けてから地力を上げる為に身体強化を使用せずにシンくんや僕と模擬戦をやっていたんだ。かなり、地力が上がったから身体強化を使用して負ける事は無いと思ったんだけどヨロス殿下、強すぎない? 僕の思いが顔に出ていたんだろうね、フェルちゃんが僕を見てニッコリ微笑んで言ったんだ。
「トーヤ様、ご武運を! 私はトーヤ様を信じております」
うん、これはもう頑張るしかないよね。僕はヨロス殿下を見た。
「さて、私は直ぐでもいいのだが、トーヤ殿は如何かな?」
殿下のその言葉に僕は頷いて木刀を手にして殿下の前に立った。
「それではこれより、騎士見習いヨロスと、いずれ私を超えるだろう武芸者トーヤ様の模擬戦を行う。両者とも準備は良いか? では、始めっ!!」
今度は殿下が言葉と同時に僕に向かって来た。身体強化も全開のようだね。
僕は慌てずに青眼に構えた木刀を振った。
殿下の木剣が手から弾け飛んで、木刀の切っ先が殿下の額にニ分ほどあけて停止している。(二分=約0.8センチ)
シーンとした中でトウシローの声が響いた。
「それまで! 勝者トーヤ様!! お見事ーっ!!」
いや、トウシロー、そこまで感情を爆発させちゃダメでしょ…… ほら、殿下なんか目に涙がドンドン溜まってきてるじゃない…… 僕の所為ではあるけど、僕の所為じゃないからね……
「ト、グスッ、トーヤ殿、教えて欲しい。どうやって、グスッ、私は負けたのだろう…… グスッ」
いや、泣きながら負けた原因を知りたいなんてどんだけ脳筋なんですか、ヨロス様。
僕はチラッとトウシローを見た。心得てくれるトウシロー。
「ヨロス殿下、お気づきでないようなのでお教えしましょう。トーヤ様は身体強化を使用しておりません。殿下の攻撃によって起こった空気の動き、つまり風を読みその攻撃をいなし、殿下の手から木剣をはじき飛ばしてから、振り上げた木刀を振り下ろしたのです。額まで二分の位置で停止させてね。殿下も地力を上げておられるようですがトーヤ様は空気を、風を読む事に重きをおいて修行されております。もちろんそれはトーヤ様がご自分で考えた事でございます」
以上、説明終わりって感じでトウシローが言葉を切ると、陛下が立ち上がってこう言ったんだ。
「トーヤ・ログセルガーに私から褒美を与える! ログセルガー公爵家より抜けて、トーヤ自身に子爵位と領地を与える事にする! コレは王命である!!」
あ、ヤッタよ。狙ってた事が実現しちゃったよ!!
頑張って某漫画で読んだ中国拳法の達人の言った言葉を信じて修行した甲斐があったよ。
【空気の流れを読めばどんな攻撃も当たる事は無い】
漫画の中の達人だけど、僕はあの人を第二の師匠と呼ぼう。第一の師匠? もちろんトウシローだよ。
「では、用事は終わったと言うことで、トーヤ殿、さっ……」
「待ちなさい、ヨロス。ワタクシの用事がまだでしてよ」
その言葉を遮ってサラディーナ王妃が声を上げた。
「え? 母上も何か?」
「当たり前でしょう…… あなた達二人、もちろん、ヨーナは除いてですよ。夫と息子が残念すぎて妻として母として本当に申し訳なくなるわ……」
あ、サラディーナ様は良識ある方のようだね。助かったよ。
「皆様には学校でヨーナが大変お世話になっております。皆様にお会いしてから学校に行くのが楽しいとヨーナが本当に笑顔になりました。そこで、母として皆様に何かしらお礼をしたいと思いまして。何かご要望があれば教えて頂けますか?」
うん良識はあるけど常識は無かったようだね。僕たち貴族はともかくとして、ライくんやメリーちゃんはビックリして目を点にしてるよ。ロイヤルファミリーに会うだけでもハードルがかなり高かったのに、要望を言えって言われてもそれならとはならないですからね。
そんなライくん兄妹に僕は一つアドバイスをしてあげた。そう、前々から二人が欲しかったのをお願いしたらってね。僕のアドバイスを受けて、意を決してサラディーナ様に言うライくん。
「あ、あの…… 僕と妹は平民ですので失礼があったらごめんなさい。要望ということでしたが僕と妹はまだ半人前で解体ナイフも父や母から借りているのですが、自分用のナイフが欲しいと常々思ってました。もしもかなうならばそれが欲しいです」
ライくんの言葉にサラディーナ様は笑顔になり、
「まあ、まあまあ!? 素晴らしいわ! 王都一番の解体師の兄妹はそのまま家業を継ぐのかしら? 専用の解体ナイフですって! 分かったわ! 私に任せてね。直ぐは無理だけど1週間以内にお二人の手元に届けるから。楽しみにしててちょうだい!」
そう言ってライくん兄妹の要望に頷いたんだ。
それをキッカケにカルイくんは魔法書を、クレアちゃんはお菓子、シンくんは剣をリラは冒険者登録を、フェルちゃんは馬車をサラディーナ様にお願いしていた。全部、叶えられたよ。凄いねサラディーナ様は。
で、僕はというととある事についてのお話をお願いしてみた。僕からのお願いにサラディーナ様は、
「そうね、貴方には知る権利があるわね。分かったわ、長いお話になるからどうしましょうか? 先に愚息の相手をお願いしても良いかしら?」
そう聞いてきたので僕は頷いたんだ。
それから王族の方が人知れず鍛錬されている訓練場に案内された僕たち。先ずはリラと手合わせしたいと脳筋王子様がいうのでトウシローが審判をする事になったのと、使うのは王子が木剣でリラは木刀。身体強化の使用は許可。それ以外の魔法の使用は不可で、1本勝負とする事が決まったよ。
勝敗はどちらかが負けを認めた時、気絶した時、審判が勝ちを認めた時になったんだ。
僕との手合わせも同じ条件だよ。
「それではこれより、騎士見習いヨロスと冒険者見習いリラの模擬戦を始める。お互いに全力をもって模擬戦を楽しむがよい。それでは、始めっ!!」
トウシローの合図でリラが一瞬でヨロス殿下の後ろに回り込み木刀を振った。
いやリラ…… その勢いで頭に向かって振り下ろして当たったら死んじゃうよ……
なんて僕の心配を他所にヨロス殿下は難なく躱して、振り向きざまにリラに木剣を振る。
リラも難なくそれを躱す。そして二人とも笑顔になった。
「中々やるね、リラ殿。僕が背後を取られたのは師匠以外では初めての事だよ」
「殿下もやりますね。まだ、実力を出しておられないようですが、コレから少しずつ力を上げていってみますね。どこまで耐えられるかしら?」
ハハハ、ウフフと笑い合う二人。あー、そう言えばリラも頭はいいけど、強い人と試合してる時は脳筋気味になるんだったや……
そこからは僕とトウシロー以外は二人の動きが早すぎて見えなかったと思うんだ。いや、フェルちゃんが何とかついていってるかな?
「早い、くっ、でも何とか……」
って呟いているからね。
激しい応酬を見せてくれた二人だけど、武器が耐えられなかったみたいで、遂に打ち合わせた時に折れちゃったんだけど、そのタイミングでヨロス殿下がリラの一瞬のスキをついて背後に回って、折れた木剣の先をリラのうなじに軽く当てたんだ。
「それまで! 勝者騎士見習いヨロス!!」
トウシローの声が響いた瞬間にリラが落ち込んだ。
「シンくん以外にも負けちゃったー!! ウワーン、悔しいーっ!!」
そう、リラはシンくんに負けてから地力を上げる為に身体強化を使用せずにシンくんや僕と模擬戦をやっていたんだ。かなり、地力が上がったから身体強化を使用して負ける事は無いと思ったんだけどヨロス殿下、強すぎない? 僕の思いが顔に出ていたんだろうね、フェルちゃんが僕を見てニッコリ微笑んで言ったんだ。
「トーヤ様、ご武運を! 私はトーヤ様を信じております」
うん、これはもう頑張るしかないよね。僕はヨロス殿下を見た。
「さて、私は直ぐでもいいのだが、トーヤ殿は如何かな?」
殿下のその言葉に僕は頷いて木刀を手にして殿下の前に立った。
「それではこれより、騎士見習いヨロスと、いずれ私を超えるだろう武芸者トーヤ様の模擬戦を行う。両者とも準備は良いか? では、始めっ!!」
今度は殿下が言葉と同時に僕に向かって来た。身体強化も全開のようだね。
僕は慌てずに青眼に構えた木刀を振った。
殿下の木剣が手から弾け飛んで、木刀の切っ先が殿下の額にニ分ほどあけて停止している。(二分=約0.8センチ)
シーンとした中でトウシローの声が響いた。
「それまで! 勝者トーヤ様!! お見事ーっ!!」
いや、トウシロー、そこまで感情を爆発させちゃダメでしょ…… ほら、殿下なんか目に涙がドンドン溜まってきてるじゃない…… 僕の所為ではあるけど、僕の所為じゃないからね……
「ト、グスッ、トーヤ殿、教えて欲しい。どうやって、グスッ、私は負けたのだろう…… グスッ」
いや、泣きながら負けた原因を知りたいなんてどんだけ脳筋なんですか、ヨロス様。
僕はチラッとトウシローを見た。心得てくれるトウシロー。
「ヨロス殿下、お気づきでないようなのでお教えしましょう。トーヤ様は身体強化を使用しておりません。殿下の攻撃によって起こった空気の動き、つまり風を読みその攻撃をいなし、殿下の手から木剣をはじき飛ばしてから、振り上げた木刀を振り下ろしたのです。額まで二分の位置で停止させてね。殿下も地力を上げておられるようですがトーヤ様は空気を、風を読む事に重きをおいて修行されております。もちろんそれはトーヤ様がご自分で考えた事でございます」
以上、説明終わりって感じでトウシローが言葉を切ると、陛下が立ち上がってこう言ったんだ。
「トーヤ・ログセルガーに私から褒美を与える! ログセルガー公爵家より抜けて、トーヤ自身に子爵位と領地を与える事にする! コレは王命である!!」
あ、ヤッタよ。狙ってた事が実現しちゃったよ!!
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