寡黙な男はモテるのだ!……多分

しょうわな人

文字の大きさ
29 / 90
転機

027話 忌み子の秘密

しおりを挟む
 僕はヨロス殿下に一礼して皆の所に戻った。フェルちゃんが満面の笑顔で出迎えてくれたよ。

「トーヤ様!! 益々お慕い申し上げます」

 ちょっ! フェルちゃん、みんなが居るのに! 可愛過ぎるのですが!! 抱きしめていいかな? いいよね? 婚約者だし! 
 って僕が実行しようとしたら、リラが僕に抱きついてきた。

「トーヤー! お姉ちゃんの仇をうってくれてアリガトー!!」

 リ、リラ、母であるラメルに似てきて、10歳にしては豊満な胸部装甲が僕の顔に当たってるから!! 直ぐに離れて! フェルちゃんからの冷気が来るよ!

 しかしフェルちゃんは微笑みながら僕たちを見ていた。シンくんもだ。いいのか? 君の婚約者だよ、シンくん。

「ウフフ、リラお姉様ったらとても嬉しかったんですね。でもそろそろ放して上げて下さいませ。トーヤ様がピクピク痙攣しておりますわ」

 そう息が出来ないから僕の脳は酸素不足になりかけていたんだ。このままだと昇天してしまう……

 フェルちゃんの言葉でリラは僕を開放してくれた。模擬戦でも乱れる事の無かった僕の息を乱すとは、リラの胸部装甲恐るべしだね。えっ? 違う?

「ウフフ、トーヤ様…… その締りのないお顔を早く整えて下さいませ」

 アレ? さっきまで優しい微笑みだったのに今は氷の微笑みになってるフェルちゃんがいるよ!?
 僕は慌てて自分の意識をアレおっぱいから切り離したんだ。

 そこに陛下がやって来て、僕とフェルちゃんそれにリラに声をかけてきた。

「トーヤくん、フェルちゃん、リラちゃん、3人は少し残ってくれるかな? 今から私と妻で話を聞かせるから。残りのみんなは今日はどうも有難う。これからもヨーナと仲良くしてやって欲しい。ああそれとガイムは悪いけどこの子たちを連れて帰ってやってくれる? 3人は私が責任を持って屋敷までおくるからね」 

 そうしてみんなとここで別れて僕たち3人はまた最初の部屋へと戻ってきたんだ。

「トーヤ殿、また私がトーヤ殿に近づけたと思った時に再戦してもらえるか?」

 ヨロス殿下に聞かれて僕は頷いたよ。それを見てヨロス殿下はヨーナ殿下を連れて部屋を出て行ったんだ。

「それじゃ、トーヤくんのご要望にお答えするわね」

 そう言ってサラディーナ様が話をしてくれたんだ。僕の要望とは黒目・黒髪が何故、忌み子と認定されているのか? と、忌み子認定の僕が父から殺されずに生かされなおかつ何故公爵家の子として認定されていたのか? を知っていたら教えて下さいだった。
 と言っても僕の「忌み子」という短い言葉の意を汲んで通訳してくれたのはフェルちゃんだったけどね。


「先ずは忌み子についてお話するわ。忌み子が初めて見つかったのが、今から凡そ250年前と言われてるの。その時に見つかった忌み子が黒目黒髪だったんだけどね、実はその認識が間違っていた事が20年前に分かったのよ。それまでは、国が不作になったり、魔王が誕生して魔物を率いて人々に戦争を仕掛けてきたりしたのは忌み子の所為だって言われてたんだけど、実はその逆で…… その子のお陰で人々の国は壊滅的な崩壊をせずに済んだの。それでも、長年、黒目黒髪は忌み子だって認識が続いていたから、未だに信じる人が多いのよ。一応は陛下も認識を改めるようにと声明を出しているのだけどね…… 実際はその当時の人々が、初めて忌み子と言われた子が誕生した時に、人々が傲慢になって神からの恩寵が無くなっていた事が信じられなかったのね。真実はその子が神に訴えて、人々に再び恩寵を与えて下さるようになったのにね…… そんな事でこの国では10000人に1人の割合で産まれる黒目黒髪の子を、忌み子と言って嫌う風習が出来てしまったのよ…… 偏見を無くすように王族を中心に努力しているのだけど、まだまだ根強くて、ごめんなさいね。トーヤくん」

 へぇー、そうだったんだ。初めてきく話に僕は興味深く、サラディーナ様に気にしないで下さいの意を込めて頷いた。

「有難う、トーヤくん」

 おや、通じたみたいだね。サラディーナ様も勘が鋭い人なんだね。次は陛下が話し始めたよ。

「それで、あのバ、いやログセルガー公爵が君を生かし、そして公爵家の子だと認定した理由なのだが……」

 またバカって言いそうになりましたね、陛下。もうバカでいいですよ。僕はそう思いながら陛下の言葉に耳を傾ける。

「一つは私が出したお触れが関係していると思う。私は王国の貴族たちに黒目黒髪の子が生まれても、死産と偽って亡きものにしたり、平民として育てる事は許さないとお触れを出したのだ。王家の影が常に監視している事も伝えてね。
 もう一つは君の産みの母であるレーナの実家である、サイラース子爵家の資産を自分の物にする為だろうと思う。君はレーナの子であり、レーナが君を産んだ時にはサイラース子爵家は没落していてね。だけどもレーナが生きていたから、その資産はレーナの物だったんだ。しかしレーナも君を残して亡くなってしまった…… 
 君が今住んでいる屋敷はあのバカはいらなかったようだけど、それ以外の資産については全てバカが奪ってしまったようだ。コレは影からの報告で既に把握している。そして、バカの長男が君の成人を待っている事もね。成人したと同時に公爵家から放り出すように画策してるみたいだよ。まあ、君もソレを見越して行動してるようだが」

 バレてるみたいだね。さすがは王家と言うべきなのか。でも、とうとうバカで定着しましたね。ひょっとして僕の表情からバカでいいですよって読み取ったのかな? そんな事を思っていたら、フェルちゃんが陛下に質問をした。

「失礼ながら陛下に質問してもよろしいでしょうか?」

「ん? 勿論だ、フェル嬢」

「先程、陛下はトーヤ様に子爵位と領地を与えると仰いました。その領地とはどこなのでしょうか?」

「ああ、その事か。安心して欲しい。サイラース子爵家が管理していた領地はあのバカが手に入れているから、そこでは無い。この王都から西に3キロ離れた場所にある、王家直轄地をトーヤくんの領地に割り当てるつもりだ。それと、今住んでいる屋敷にはそのまま住んで貰って構わないからね。ついでに家名について言っておこう。明日よりトーヤくんはログセルガーではなく、ハイナイト家を名乗るのだ。既に王命として宰相に触れを出せと命じてあるからね。トーヤくんは成人前だから、式典は省いたとも知らせてあるから大丈夫だよ。まあ、成人した際には各貴族を集めて式典を開くけどね」

 ええー…… それは決定事項ですか? そうですか…… 僕の目線を読んだ陛下とサラディーナ様がニコニコ顔で頷いたよ。
 と、でも待ってよ、フェルちゃんとの婚約は? 公爵家だからちょっと強引な誓約書で無理やり婚約出来たんですけど…… 僕の顔を読んだフェルちゃんが言う。

「トーヤ様、私は爵位に惹かれた訳ではありませんし、むしろ私の実家は嬉々として私を嫁がせるかと思います。自分たちよりも爵位が低くなりますから」

 フェルちゃんの言葉に続けて陛下が言った。

「ああ、二人の婚約が解消される事はないから安心して欲しい。婚約については王家が後ろだてになったと伝えているからね」

 うん、お間抜けな方かと思ってたけどちゃんと出来る方だったんですね。疑ってすみませんでした、陛下。

「フフフ、まあ許そう」

 アレ? 表情に出てた?

「トーヤは直ぐに顔に出るからね」

 今まで黙って話を聞いていたリラにそう言われてしまったよ。そんなリラに陛下が声をかけた。

「それから内密に打診中なのだが、リラ嬢のご両親にも爵位を受け取ってもらいたいのだが、中々良い返事をいただけないのだ。良ければリラ嬢からもご両親を説得して貰えたらと思っているのだが……」

 ああ、そう言えばレミさんも言ってたよね。ラメルも獣人けもびとの王族だったって。でもどうかな? 今さら貴族になりたいとは思ってなさそうだけど。

「コレはご両親やリラ嬢を守る為でもあるし、トーヤくんの負担を減らす為でもあるんだ。リラ嬢の婚約者であるシンくんの家は侯爵家だからそれこそ政敵も多い。そこに平民の身分で嫁ぐと…… まあ、色々と問題もあってね。特にリラ嬢はダルイマー侯爵家の面子を潰した事もあったからね……」

 言われてみれば確かにそうだね。うん、コレは僕もガルンとラメルを説得しよう。
 それから30分ほど雑談をして、僕たちは近衛騎士さんに屋敷まで送ってもらったんだ。
 今日はもう疲れたから、明日に備えて直ぐに寝る事にしたよ。
 セバスにだけはフェルちゃんと二人で話をしたけどね。

「それは大変、ようございました。これから我ら家臣一同はハイナイト家を盛り立てて参ります」

 とニコニコ笑顔で言ってくれたよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...