寡黙な男はモテるのだ!……多分

しょうわな人

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領地発展

063話 ロッテンの怒り

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 僕とフェルはロッテンの言葉に驚いたけど、直ぐにフェルが驚きから立ち直ってロッテンに答えたよ。

「ロッテン、ヤーコはトーヤ様に専属でお仕えする侍女として、ナニワサカイ国より引き抜いて来ました。これからあなたの部下になりますのでよろしくお願いしますね」

「ロッテン様、ヤーコと申します。はい~ 伝説は知りませんが、精一杯トーヤ様とフェル様に尽くす覚悟ですのでよろしくお願い致します。はい~」

 暫くの間、何も言わなかったロッテンだったけど、ヤーコさんを見てこう言ったんだ。

「私の部下になるという事は侍女としてだけでなく元の仕事についてもやる覚悟があると見ていいのだな?」

「はい~、それがトーヤ様とフェル様の為になるならばそのつもりです。はい~」

 ヤーコさんの返事を聞いてロッテンが僕とフェルを見てこう言ったんだ。

「さすがトーヤ様とフェル様です。【モズのヤーコ】は【速贄はやにえ】の二つ名を持つ伝説の存在です。その隠行おんぎょうじゅつは私でも見破れないでしょう…… レミならば辛うじて見破れるかと思いますが。とても心強い部下が出来ました」

 ほえ~、ロッテンをしてそう言わしめるとは…… ヤーコさんがちょっと頬を染めてロッテンを見てるよ。あ、セラスがそんなヤーコさんを睨んでるよ…… ま、まあお互いに良く話し合って貰おうかな……

 そして、レミが3人の職人さんを連れて来てくれたよ。助かったよ、レミ。ナイスタイミングだったよ。重苦しい空気をかもし出していたセラスも職人さんの前では空気を改めたよ。

「トーヤ様、お呼びだと伺いしましたが……」

 ハチキンさんがそう言ってぼくの前に立ったから、僕は椅子に座るように身振りで示した。3人が座ったのを確認してから、紙に質問を書いたんだ。

【仮の住居はどうかな? 他の人も含めて不満とかは出てない? 家族が多い方用の部屋もちゃんと用意してた筈だけど、割振りも出来てるかな?】

 僕の質問を読んだハチキンさんが丁寧に頭を下げた。他の2人もそれにならって頭を下げる。

「トーヤ様、文句など出る筈がございません。各部屋にはちゃんとお風呂とトイレも完備して下さっておりますし、何より私達にはとても珍しい石の浴槽ですから、物珍しさも手伝って皆がとても喜んでおります。それに、ガーミットの親方が何かひらめかれたようです。しっかりとした形になったらトーヤ様にご報告すると言っておりました」

 下げていた頭を上げてハチキンさんがそう言ってくれたよ。僕はホッとしたんだ。それから、ハチキンさんに木で造る屋敷の場所を地図で説明したんだ。平屋木造で瓦葺屋根かわらぶきやねで、広さは土地が300平米あるから建物自体は150平米ぐらいでお願いしたんだ。そして、ダルーマさんにはその屋敷に相応しい浴槽を、ワンさんには内装と家具をお願いしたよ。
 
【時間はどれだけかかっても良いので、3人の腕を存分に発揮してね。それと、必要な道工具があれば僕かトモジ爺ちゃんに言ってね。お金は気にしなくてもいいからね。キノクーニャ屋のブンさんから頂いてるから】

 僕の書いた文を読んで感動した3人。そして、ハチキンさんが代表してこう提案してくれた。

「トーヤ様、明日から他の職人たちは工房兼住居の場所の確認に行きます。そして、それが決まると大工仕事が得意な職人に皆で依頼して協力して家屋を建てる予定なのですが、全員が全員ではないので、手が空いてる職人にコチラの仕事を手伝ってもらっても良いでしょうか? それと、非常に言い難いのですが、その際に報酬などは出してもらえるのでしょうか?」

【勿論だよ。手伝ってくれる職人さんには日当でいいのかな? 相場が僕にはわからないんだけど、教えてくれるかな? それと3人にもちゃんと報酬を出すからね。あとココに3人で使用する工房を先に建ててね。新しい屋敷はそれが出来てから建設にかかってよ】

 僕がそう書いて伝えると、3人は再び頭を下げて、

「有難うございます。私たちの相場は日当ですと1日で小銀貨(10,000円)1枚が相場となります」

 アレ? そんなに少ないの? 僕はトモジ爺ちゃんを見て目で質問してみた。

「トーヤよ、ハチキンが言ったのは一般的な職人の相場じゃな。ココに来てくれた職人は一流と言っていい職人じゃから、もう少し上乗せして渡すといいと思う」

 そうなんだね。それじゃ僕が最初に思ってた日当を渡す事にしよう。

【それじゃ、手伝いの職人さんの日当は1日に小銀貨3枚を支払うよ。それから3人には月給制にしてもらってもいいかな? 月始めから月末締めで、翌月の初日に支払う形にさせて貰いたいんだけど】

「さ、3枚なんて多すぎです! 相場よりも多く支払う必要はありませんよ、トーヤ様。一流の職人でも1日で小銀貨1枚と銅貨(1,000円)7枚ぐらいが相場です!」

【僕は君たちの腕を買ったんだから、僕がその腕に支払いをケチる訳にはいかないよ。それに、多く支払えば責任もついてくるから、より良い仕事をしてもらえるでしょ?】

 僕の書いた文を読んで責任重大だと思ったんだろうね。3人とも顔色が青くなっちゃったよ…… そこまで深く考えずに自分の腕を信じて、好きなように建ててもらえたらいいのになぁ。

「お前たち、ワシはお前たちの腕前をブンから聞いている。だから、トーヤが支払うと言った金額に恥じない腕前だとワシは思うぞ。キノクーニャ屋のあるじであるブンの見立てをお前たち自身が疑うか? それに道工具は一級品を用意してやるから安心してトーヤの提案を受けたらいい」

 トモジ爺ちゃんが3人に向かってそう言うと3人とも青かった顔を赤くして、こう言ってくれたよ。

「はい! トーヤ様、私たちの腕をお見せ致します! よろしくお願い致します!!」

 良し、コレでいい建屋が出来上がるぞーっ!

 僕もニコニコ顔で3人に頷いたよ。そして、3人に支払う月給について伝えたら、また顔色が青くなったけど、さっき腕を見せるって宣言しちゃったからね。断られる事なく受けて貰えたんだよ。

 ん? いくらで契約したのかって? 僕も人を雇うに当たって守秘義務があるからね。内緒にしておくよ。

 3人が他の職人たちと話を進める為に戻っていくと、ロッテンが怒った顔でトモジ爺ちゃんにこう言ったんだ。

「トモジとやら、お前は只の商人なのにトーヤ様を呼び捨てにするとはいい度胸だな…… ソコになおれ! その首を私が落としてくれる!」

 ああ、しまった…… この問題があったのを忘れてたよ。どうしよう……  
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