寡黙な男はモテるのだ！……多分

領地発展

065話 領地の発展

　職人さんたちがやって来て2ヶ月が過ぎた。僕の領地とグレイハウ伯爵領では木の家が流行り、そして新たに建てた公衆温泉は木の香りがいいと人気を博している。
　勿論、今までにあった石風呂の方も好調だよ。ガーミットさんの閃きでリフォームしたからね。
　男性、女性は完璧に分けてるんだけど、浴槽を囲む塀を一面だけはコンクリートのままにして、残り三面を木で作って、屋根との間に少し隙間を作ってくれたんだ。
　前世の古い銭湯では、男湯と女湯をへだてた壁の上部が空いてて、

「おーい、先に出て待っとくぞーっ」
「分かったーっ」

　みたいなやり取りが良く聞けたモノだけど、それを直感で閃ひらめいたガーミットさんは凄いと思うんだ。
　そして、屋根との間にも隙間を作ってあるから、湯気がそこから出ていって湿気対策にもなるっていうスグレモノだよ。
　ガーミットさんはそのアイデアを惜しげもなくグレイハウ伯爵領に行った職人にも伝えていたよ。

　えっ？　近い領地で同じようだと揉めるんじゃないかって？

　そこはやっぱりみんな一流の職人さんたちだよ。板塀への彫り物だったり、使用する柱にも独自の彫り物をしていたりと、ウチとグレイハウ伯爵領の温泉施設は同じには全く見えないんだよ。
　それに、グレイハウ伯爵領の温泉はうちの領地の温泉とは泉質が違うからね。湯治に来る人も自分の体に合った方に訪れるから、湯治客の取合いになったりはしない。どちらかと言うと僕の領地には女性の方が多く、グレイハウ伯爵領には男性が多いように思うんだ。
　隣り合ってるから、夫婦で来て旦那さんがグレイハウ伯爵領の温泉に行くなんて事もあるみたいだよ。泊まる宿もその日だけ別々にして、2日目からは奥さんと合流してウチで買い物を楽しんで、グレイハウ伯爵領に一緒に行って泊まったり又はその逆パターンの旅行者も多く居るからお互いにいい関係が続いているよ。

　さらにお互いの温泉を利用した商品をそれぞれの領地で店頭販売してるからね。あちらに行く女性も全く居ない訳じゃないんだ。
　今はラウールさんとある計画を相談中なんだよ。それはうちとラウールさんの領地の境目に宿場街を作ろうって話なんだけどね。王家の許可も居るし、街をまとめる人材も必要だから、実現出来るかは分からないけど、いい提案だから何とかしたいと思ってるんだ。
　まあ、相談をもっと繰り返して詳細を詰めていかないとダメなんだけどね。

　それと今までに開発した、【温泉の素】【ハンドクリーム】【フェイスクリーム】【化粧水】更には新たにグレイハウ伯爵と共同開発した【冷え性改善薬】【ボディソープ】【頭髪ソープ】も売上は順調で、最近もっとも売れてる新商品【薬用育毛剤】はサーベル王国だけでなく、他国からお客様が来るようになったんだよ。輸出するほどの量は生産出来ないから、うちかグレイハウ伯爵領まで買いに来てもらわないとダメなんだけどね。
　でもお陰様で僕の領地もグレイハウ伯爵領も観光、湯治、物品販売でかなり潤ってます。

　勿論、王家に支払う税金も上がったけどね……