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島国ヤパン
067話 飛んできたブンさん
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僕は呆気に取られたけど、詳しい話を聞くために紙にこう書いた。
【亡命とはどういう事でしょうか? お国で何か問題が?】
僕のこの問いかけにイナウエさんが話を始めた。
「うむ、元々拙者の家はイーヨの国のとある村をまとめておってな。先々代のムネチカ様の時代に村で優秀なスキルを持つ者を、城勤めさせるように命令されたのだが、拙者の家に村人からの苦情が多く届いてな…… 城勤めなぞ嫌だと村人たちが言うものだから、今までは拙者の家で開発した魔道具で村人のスキルを凡庸な物に見せかけて、殿にご報告していたのだ…… それが拙者の代で今の殿にバレてしまってなぁ…… 取り急ぎ村人をまとめてナニワサカイ国まで逃げてきたのだが、追手がかかっておるのは間違いないのでな。村人たちが安心して暮らせる場所を探しておったら同郷のブンがトーヤ殿の領地ならばと言っておってな。それでブンにはトーヤ殿の都合もあるだろうから、先ずは私が聞いてみますと制止されたが拙者は藁にもすがる思いで急いでここにやって来たのだ」
はあ~、この人はせっかちさんなんだね。さて、でもこれは困ったな…… 僕としては頼られて嬉しい気持ちもあるけど、その話をそのまま信じる訳にはいかないし。裏取りをしてからじゃないと迂闊に返事は出来ないよね。
僕は取り敢えずイナウエさんにこう書いたんだ。
【他ならぬブンさんとお知り合いのようですから、無下に断るつもりは無いですが、僕も国王陛下から領地を預かる責任があります。ですので、今すぐお返事をする事は出来ません。2~3日の猶予はいただきたいのです】
僕の書いた文を読んでイナウエさんは頷いた。
「うむ、トーヤ殿の言うことは最もだと拙者も思う。拙者とていきなりやって来て亡命させてくれと言う者を直ぐに信用はすまい。なので、これよりブンの所にいる村人の話を聞いていただきたい。よろしく頼む」
って言って頭を下げてきたけど、イナウエさんは分かってないね…… 僕はちゃんと伝えたつもりなんだけどね。領地を預かる領主として安易に動けませんよって。
だから僕はハッキリと拒絶の意を示したんだ。
【他国の一地方の領主であり伯爵位を陛下より賜る者に、ご自分の都合を押し付けすぎではないですか? 今すぐと仰るが、僕にも仕事があります。まして、見知らぬ他国の方々の為に今すぐ動く必要があるとは思えません。ですのでイナウエ殿の提案は拒否します!】
僕がそう書くと驚いたようにイナウエさんが言ったんだ。
「なっ!? 拙者の頼みを断ると言うのかっ!?」
いや、そりゃ断りますよね。何気に人にモノを頼むにしては上から目線ですし。そう思った時にノックがあり、セバスの声が扉の外から聞こえた。
「トーヤ様、お客様、お話中に申し訳ございません。表にキノクーニャ屋のブンザーエモンと名乗る者が至急、面会したいとやって来ておりますが如何いたしましょう?」
僕は扉をヤーコさんに開けてもらい、ここにブンさんを通してもらう事をセバスに伝えたんだ。イナウエさんの顔色が青くなってるのが面白いね。
ブンさんはセバスに案内されて部屋に入るなり僕に土下座してきたよ。
「トーヤ様、我が同郷の村長が失礼にも連絡もせずに押しかけた事を深くお詫び申し上げます。そして、恐らくはトーヤ様のご都合も考えずに無理なお願いをしましたであろう事も推測しております。重ねてお詫び申し上げます!」
いや、ブンさんの所為じゃないから土下座はやめて下さい。僕は慌ててブンさんを立たせてソファに座るように身振りで伝えたんだ。
ブンさんは立ち上がるなり、僕に失礼しますと一言いってからイナウエさんの方に行き、いきなり殴り飛ばしたんだよ。見た目がお年を召されてるけど、その力強さに僕は目を見張ったよ。
「この、大馬鹿者がっ!! あれほど私からご連絡を入れてからお会いするようにと伝えたのに! お前はそんな事も守れないのか!?」
イナウエさんをそう言って怒鳴りつけるブンさんだけど、立場的にはブンさんの方が低い筈だよね?
と思ったらブンさんが種明かしをしてくれたよ。
「トーヤ様、申し訳ございません。コヤツの一族は村のまとめ役で現在の村長ではありますが、元々村は長老たちが村人の生活を守ってまいりました。コヤツはあくまでも村の代表として、ダウテ様の窓口を勤めておったに過ぎませぬ。ダウテ様に名字帯刀を許されて喋り口調も武士の真似事をしておりますが、只の村人にございます。私も長老の一人でございますから、コヤツには強く言えるのですが、私が仕事をしているスキにコヤツの先走りを許してしまいました。ご迷惑をおかけしました」
っていうことらしいよ。更にブンさんの話は続いたよ。
「しかもコヤツは酒に酔い、問われるがままに村の秘密を喋ってしまいましてな…… まあ、まだ慌てて村人を私の所に連れてくる分別を持ち合わせていたのは幸いでしたが…… とにかくコヤツは連れて戻ります。トーヤ様のご都合がよろしければ明日の午前中に、村の長老たちとお訪ねしたいのですがよろしいでしょうか?」
最後にブンさんにそう聞かれたから僕は頷いて大丈夫だと伝えたよ。やっとまともに話ができたよ。イナウエさんとの話は精神的に疲れるものがあったからね。こういう人が居たら村の人たちも苦労したんじゃないかなぁ…… ましてや大名の窓口だったなんて……
とにかく、明日のブンさんと長老さんたちの話を聞いてからだね。あ、そうだ、トモジ爺ちゃんにも来て貰おう。
僕はトウシローにお願いして、明日トモジ爺ちゃんを領地からここに連れて来てって頼んだよ。
【亡命とはどういう事でしょうか? お国で何か問題が?】
僕のこの問いかけにイナウエさんが話を始めた。
「うむ、元々拙者の家はイーヨの国のとある村をまとめておってな。先々代のムネチカ様の時代に村で優秀なスキルを持つ者を、城勤めさせるように命令されたのだが、拙者の家に村人からの苦情が多く届いてな…… 城勤めなぞ嫌だと村人たちが言うものだから、今までは拙者の家で開発した魔道具で村人のスキルを凡庸な物に見せかけて、殿にご報告していたのだ…… それが拙者の代で今の殿にバレてしまってなぁ…… 取り急ぎ村人をまとめてナニワサカイ国まで逃げてきたのだが、追手がかかっておるのは間違いないのでな。村人たちが安心して暮らせる場所を探しておったら同郷のブンがトーヤ殿の領地ならばと言っておってな。それでブンにはトーヤ殿の都合もあるだろうから、先ずは私が聞いてみますと制止されたが拙者は藁にもすがる思いで急いでここにやって来たのだ」
はあ~、この人はせっかちさんなんだね。さて、でもこれは困ったな…… 僕としては頼られて嬉しい気持ちもあるけど、その話をそのまま信じる訳にはいかないし。裏取りをしてからじゃないと迂闊に返事は出来ないよね。
僕は取り敢えずイナウエさんにこう書いたんだ。
【他ならぬブンさんとお知り合いのようですから、無下に断るつもりは無いですが、僕も国王陛下から領地を預かる責任があります。ですので、今すぐお返事をする事は出来ません。2~3日の猶予はいただきたいのです】
僕の書いた文を読んでイナウエさんは頷いた。
「うむ、トーヤ殿の言うことは最もだと拙者も思う。拙者とていきなりやって来て亡命させてくれと言う者を直ぐに信用はすまい。なので、これよりブンの所にいる村人の話を聞いていただきたい。よろしく頼む」
って言って頭を下げてきたけど、イナウエさんは分かってないね…… 僕はちゃんと伝えたつもりなんだけどね。領地を預かる領主として安易に動けませんよって。
だから僕はハッキリと拒絶の意を示したんだ。
【他国の一地方の領主であり伯爵位を陛下より賜る者に、ご自分の都合を押し付けすぎではないですか? 今すぐと仰るが、僕にも仕事があります。まして、見知らぬ他国の方々の為に今すぐ動く必要があるとは思えません。ですのでイナウエ殿の提案は拒否します!】
僕がそう書くと驚いたようにイナウエさんが言ったんだ。
「なっ!? 拙者の頼みを断ると言うのかっ!?」
いや、そりゃ断りますよね。何気に人にモノを頼むにしては上から目線ですし。そう思った時にノックがあり、セバスの声が扉の外から聞こえた。
「トーヤ様、お客様、お話中に申し訳ございません。表にキノクーニャ屋のブンザーエモンと名乗る者が至急、面会したいとやって来ておりますが如何いたしましょう?」
僕は扉をヤーコさんに開けてもらい、ここにブンさんを通してもらう事をセバスに伝えたんだ。イナウエさんの顔色が青くなってるのが面白いね。
ブンさんはセバスに案内されて部屋に入るなり僕に土下座してきたよ。
「トーヤ様、我が同郷の村長が失礼にも連絡もせずに押しかけた事を深くお詫び申し上げます。そして、恐らくはトーヤ様のご都合も考えずに無理なお願いをしましたであろう事も推測しております。重ねてお詫び申し上げます!」
いや、ブンさんの所為じゃないから土下座はやめて下さい。僕は慌ててブンさんを立たせてソファに座るように身振りで伝えたんだ。
ブンさんは立ち上がるなり、僕に失礼しますと一言いってからイナウエさんの方に行き、いきなり殴り飛ばしたんだよ。見た目がお年を召されてるけど、その力強さに僕は目を見張ったよ。
「この、大馬鹿者がっ!! あれほど私からご連絡を入れてからお会いするようにと伝えたのに! お前はそんな事も守れないのか!?」
イナウエさんをそう言って怒鳴りつけるブンさんだけど、立場的にはブンさんの方が低い筈だよね?
と思ったらブンさんが種明かしをしてくれたよ。
「トーヤ様、申し訳ございません。コヤツの一族は村のまとめ役で現在の村長ではありますが、元々村は長老たちが村人の生活を守ってまいりました。コヤツはあくまでも村の代表として、ダウテ様の窓口を勤めておったに過ぎませぬ。ダウテ様に名字帯刀を許されて喋り口調も武士の真似事をしておりますが、只の村人にございます。私も長老の一人でございますから、コヤツには強く言えるのですが、私が仕事をしているスキにコヤツの先走りを許してしまいました。ご迷惑をおかけしました」
っていうことらしいよ。更にブンさんの話は続いたよ。
「しかもコヤツは酒に酔い、問われるがままに村の秘密を喋ってしまいましてな…… まあ、まだ慌てて村人を私の所に連れてくる分別を持ち合わせていたのは幸いでしたが…… とにかくコヤツは連れて戻ります。トーヤ様のご都合がよろしければ明日の午前中に、村の長老たちとお訪ねしたいのですがよろしいでしょうか?」
最後にブンさんにそう聞かれたから僕は頷いて大丈夫だと伝えたよ。やっとまともに話ができたよ。イナウエさんとの話は精神的に疲れるものがあったからね。こういう人が居たら村の人たちも苦労したんじゃないかなぁ…… ましてや大名の窓口だったなんて……
とにかく、明日のブンさんと長老さんたちの話を聞いてからだね。あ、そうだ、トモジ爺ちゃんにも来て貰おう。
僕はトウシローにお願いして、明日トモジ爺ちゃんを領地からここに連れて来てって頼んだよ。
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