俺のスキルが無だった件

しょうわな人

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武器と防具の件

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 エイダスさんと一緒に店に入った俺は目を見張った。展示してある武器や防具が輝いていたからだ。

 そんな展示された商品を見ていたトウジをエイダスさんが呼んだ。

「おい、トウジこっちだ。親父さん、こいつに合う武器と防具を選んでくれないか?」

「ふん、エイダスよ。朝っぱらからやって来て、見ず知らずの奴の武防具を俺に選べと言うなんて、随分偉くなったな」

 口髭を蓄えた頑固そうなオッサンがエイダスさんと話していたが、俺に顔を向けて言った。

「ステータスを見せてみろ」

 言われて俺は素直に見せる。
「ステータスオープン」

「ふん、まあまあの能力じゃないか。思ってたよりは良いな。なら少し待て」

 そう言って奥に行く頑固そうなオッサン。

 その間にエイダスさんが俺に言った。

「あの人はこの店の店主兼鍛冶師で、ゴルドーさんと言うんだ。トウジはどうやら気に入って貰えたようだな。素直にステータスを見せたのが良かった」

「えっと、どうしてオレが気に入られたと?」

「店の奥にトウジに合う武防具を取りに行ったからさ。気に入らないと思ったら、展示してある中から適当に選ぶんだ。この展示してあるのは、見た目は華麗だが、性能は今一なのばかりだからな」 

 ガーンと衝撃を受けた俺。見た目が輝いてるから凄い物ばかりだと思っていたのだ。
 受けたショックを何とか落ち着かせようとした時にゴルドーさんが奥から帰ってきた。

 手には一振の小刀と、革鎧のパーツがあった。
 
「よし、トウジ。この刀を振ってみろ」

 言われて俺は鞘から刀身を出す。
 刃渡り六十五センチ程の少し短めのサイズだが、とても軽い。
 俺は若い頃に学んだ型を思い出しながら、慎重に刀を振ってみた。

「それでどうだ? 振ってみて違和感はなかったか?」

 ゴルドーさんに尋ねられて、俺は首を横にふる。

「とても振りやすい刀です」

 ゴルドーさんは嬉しそうにそうかと言い、革鎧を手に取って俺の体に当てる。

 胸当てと、腰当てに草摺。それに腕当てと脛当てを決めてもらった。手甲と、兜、盾は必要ないと、エイダスさんに言われたので、そうした。

 全部で金額は角金貨三枚と大銀貨一枚、日本円で凡そ三十五万円。かなり安くしてもらってるようだ。
 エイダスさん曰く、同じレベルの武防具を他所で購入したら、金貨一枚に角金貨二~三枚はいるとの事。俺はビックリしてゴルドーさんを見た。

 ゴルドーさんは怒ったような顔で、

「有り難く思うんなら、強くなって良い素材を持ってくるとか、稼いだ金でもっと高い武防具を買え」

 とぶっきらぼうに言ってくれた。
 俺はその言葉に素直に礼を言う。

「有り難うございます。何時いつになるか分かりませんが、なるべく早くお返し出来る様に努力します」

 そんな俺を早く行けと追い立てるゴルドーさん。
 エイダスさんと二人、出入口でもう一度頭を下げてから、店を出た。
 そして、次に来たのは雑貨店だった。

「今から夕方までレベル上げを行うから、ここで万が一の為のポーションと、干し肉のサンドイッチを買っておこう」

 俺は店に入ってみた。

 ポーションは品質ごとに並べられていて、

 D品質が十~二十回復で銅貨八枚
 C品質が二十~四十回復で大銅貨一枚と銅貨二枚
 B品質はぴったり百五十回復で丸銀貨一枚
 A品質だと三百回復で大銀貨一枚

 だった。
 
 魔法力を回復するポーションもあるが、そちらも値段は同じだった。
 今回はD品質を二本と、C品質を一本購入した。
 干し肉のサンドイッチも買って、いざ出陣となる。

 エイダスさんが言うには、町の西門付近に低レベルでも倒せる魔物が多くいて、レベルが5になるまではそこで、レベルが5になったら北門の方に行く予定らしい。
 今日はエイダスさんがついてきてくれてるが、明日はエルさんのお店が定休日なので、エルさんと行く事になるらしい。

 俺は西門を出て直ぐに誰も居ないのを確認して、念のために俺とエイダスさんを中心にして、半径五メートルの範囲に無音をかけた。
 そして、エイダスさんに昨日と今日で分かったスキルの事を話した。

 エイダスさんは無形箱をとても羨ましそうにしながらも、検証をした事を褒めてくれた。

「良いぞ、トウジのスキルは恐らく誰も知らないスキルだろうから、自分でそうやって検証していくのも大切だ。新しいスキルが出てきても、もう俺やエルに言う必要はないからな。但し、トウジが必要だと思った時には教えてくれ。それと、さっき購入したポーションやサンドイッチはそのバックパックに入れてたが、無形箱に入れないのか?」

 そう言われた俺は、これは偽装用に購入した物で、ここに手を入れて出し入れすれば、他の人に無形箱がバレないだろうと考えたと答えた。
 
「なるほど、良く考えたなトウジ。よし、それなら大丈夫だな。先ずは角ウサギを探して狩ろう」

 そう言って、エイダスさんが草原に向かうので、俺も慌てて後を追った。

 エイダスさんが草原に向かいながら角ウサギの注意点を教えてくれた。

「角ウサギはエルが言うには、トウジ達の世界の中型犬くらいの大きさらしい。俺は中型犬を見た事ないから分からないがな。アッハッハッ! 角ウサギの攻撃は直線で、鎧に守られてない胴体や背中を狙ってくる。正面からの攻撃は避けるのは簡単だが、後ろからの攻撃には注意が要るぞ」

 それを聞いて俺は気配察知のようなスキルが欲しいと思ったが、無い物ねだりをしてもしょうがない。
 そう思った時にエイダスさんが立ち止まって俺に合図を送ってきた。
 静かにエイダスさんに近づいて見ると、視線の先に角を持ったウサギとは思えないサイズのウサギが一羽だけ寝ていた。

 エイダスさんが俺を指差してから、ウサギを指差す。
 これは俺にやれって言ってるんだよな。そこで俺は思いついた。寝ている角ウサギは、耳はピクピク動き周囲の音を拾っているのが分かる。これは地球の愛らしい姿のウサギでも同じだから、俺でも分かった。

 そこで、スキル無音を角ウサギに向かって発動した。
 急に何の物音も聞こえなくなって、耳を激しく動かす角ウサギだが、聞こえないなら大丈夫だと判断したのか、寝ることを止めなかった。ピクピクしていた耳も止まる。
 俺は無造作に角ウサギに近づいて、その首の動脈を刀を振って切り裂いた。
 飛び出した血を避けて角ウサギを見ていたが、絶命しているようだ。
 俺は周りを気にしながらエイダスさんに振り向いた。
 エイダスさんは目を見張って驚いていた。

「角ウサギに無音をかけたのか?」

「はい、それで物音が聞こえなくなって安心したのか、更に深く眠ったようだったので、首の動脈を切りました。」

 返事をしながら角ウサギの後ろ足を持って持ち上げて、血抜きをする俺。
 エイダスさんは感心仕切りだ。

「何て便利なんだ。こんなスキルなら俺も欲しいぞ。そうだ、トウジよ味方にかけた場合は周囲の音は聞こえるが、自分が出す音は出ないんだったな」

「そうです。俺も今エイダスさんと同じ事を考えてました」

「よし、それじゃ、トウジよ。俺に無音を使ってくれ。そして、トウジはトウジでスキルを駆使して角ウサギを狩ってみてくれ。落ち合う場所はあの木にしよう。それと、言い忘れてたが口調はもっとくずしてくれていいぞ」

「分かった、エイダス。それじゃ、無音をかけるよ」

 そして、俺のスキルで無音になったエイダスは駆け出した。本当に音が聞こえないな。

 俺はこれで、自分以外にかけた場合の有効距離と時間の検証が出来るなと考えて、またエイダスに世話になったなと思い、何かお返し出来る様に早くレベルを上げようと決意した。

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