俺のスキルが無だった件

しょうわな人

文字の大きさ
11 / 92

購入検討の件

しおりを挟む
 テンプレをステータスに反映されてない、サラリーマンスキルで回避した俺とサヤは、バーム商会に来ていた。

 バーム商会では不動産も扱っており、借家、売家を紹介してくれる。

 俺とサヤはこの町を拠点に決め、家を購入する事を検討し始めた。が、俺は当たり前だがサヤも幾らぐらいか値段を知らない。困った時の専門家という事で、慣れているバーム商会へとやって来たのだ。

 俺とサヤが商会に入ると、買取専門のライーグさんが足早にやって来た。

「サヤ様、トウジ様、本日も買取でしょうか?」

 ニコニコ顔でそう言われて少し悪い気がしたが、俺は言った。

「ライーグさん、ゴメン。今日は聞きたい事が有って来たんだ。不動産関係の担当をしている方を教えて欲しい」

 俺がそう言うと、少しだけ残念そうな顔をしながら、ライーグさんは言った。

「はい、畏まりました。ご案内いたしますので、着いてきて頂けますか」

「「はい」」

 俺達二人の返事を確認してから、奥へと歩き出すライーグさん。

 そして、一つの扉を開いて俺達に言う。

「こちらで暫くお待ち下さい」

 通された部屋は応接室のようで、柔らかそうなソファーがあった。勧められたソファーに二人で座って待っていると、ノックの音が聞こえた。

「はい」

 とサヤが言うと、お盆にお茶を乗せた女性が入ってきて、俺達の前にお茶を置いてから言った。

「まもなく担当の者が参りますので、もう少しだけお待ち下さいませ」

 そう言うと、一礼して部屋を出て行った。

 出されたお茶を一口飲んだ時にまたノックの音が響く。

「はい」

 サヤの返事と共に、ライーグさんともう一人が部屋に入ってきた。

 二人は俺達の前に立ち、言った。

「本日はようこそお越しくださいました。私は当商会の不動産担当で、アンセルと言います。よろしくお願い致します。」

 アンセルさんの挨拶の後にライーグさんが、

「このアンセルは私と同期でございまして、信頼できる男です。何でも分からない事がありましたら、遠慮なさらずにアンセルにお聞き下さい。では、私はこれで失礼致します。また、何か魔物を倒されましたらよろしくお願い致しますね」

 そう言うと部屋を出ていった。
 俺とサヤは一礼して見送る。
 そして、俺は本当に何気なく部屋に無音をかけた。

「それでは、改めましてよろしくお願い致します。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 アンセルさんが尋ねてきたが、サヤが口を開いた。

「アンセルさん、ここで私達と話した事を商売に必要な事以外は、他で話さないと神に誓ってもらえますか?」

 そう聞いたサヤにアンセルさんは、

「勿論、誓いましょう。私達商人にも守秘義務がございます。知り得たお客様の個人的な事柄は、例え上司といえども他言しない事を契約の神に誓います」

 アンセルさんがそう言った時に、俺達とアンセルさんの間を白い光が繋いだ。

「これは何だ?」

 俺は不思議に思って誰にともなく聞いた。

「契約の神に誓いを立てた時に、その誓いが誰と結ばれたかを明確にする光です。これで、私が誓いを破ればお二人には分かり、私には神罰がくだります」

 ふえーーっ! これは凄いな。

「それじゃあ、アンセルさん。私達二人はこの町を拠点に決めました。そこで、一軒家を購入したいと考えているのですが、値段も分からないのでお話を聞きしたいと思って」

「おお! 有り難うございます。お二人がこの町を拠点に選んで下さったなら、魔物の脅威も格段に下がります。さて、お値段や物件をお教えすれば宜しいですか? その為に、こちらから少し質問をさせて頂いても宜しいでしょうか?」 

 問われた俺達二人は頷いた。アンセルさんからの質問は、

 町の中心地付近(庶民用の高級住宅街)が良いのか?
 各門(東西南北)から近い場所が良いのか?
 など、場所の質問から住んでいる住人の話を聞いて、どうかと聞かれたり多岐に渡る質問をされた。

 俺達が質問に答えながらも、漠然とした思いがあるのを気付いたアンセルさんは、アヤフヤでも構わないから、教えて下さいと言ってきた。

 俺達は事前に話していた通りに東門と北門の間位の位置で、この商会に近い場所。
 そして、解体場を夜遅くでも使用可能な地域があればと言ってみた。
 夜半に帰ってきて解体場を使用して、うるさいって怒られたくないからね。

 アンセルさんはそれを聞いてニッコリ笑った。

「申し訳ありません。始めにお聞きしておけば良かった。お二人の条件に合う場所がございます。よろしければ今から行ってみませんか?」

 そう聞かれたので、俺達は頷いた。

 
 それから、商会を出たアンセルさんに案内されたのは、泊まっている宿屋『豚の箱』の真裏に建つ庭付き平屋の家だった。
 家の中を案内してもらうと、玄関があって靴を脱ぐようになっている。
 聞けばここは、異世界からきた人間の要望で建てられたが、その人は住む事なく亡くなってしまい、こちらに住む人達には不評で買い手がつかずに、長く誰も住まずに、掃除などの手入れに人手が取られて困っていると言う。

 俺とサヤは頷いた。

「「それで、おいくらなんでしょう?」」

 二人の声がハモる。

 アンセルさんは少し前のめりな俺達に若干ひきながら、値段を教えてくれた。

「少し高いのですが、角金貨五枚(凡そ五十万円)になります」

 金額を聞いた瞬間に俺達は叫んだ。

「「買ったっ!!」」

 それに驚きながらも、

「お、お買い上げ、有り難うございます」

 と言ったアンセルさんを俺は褒めたい。

 それから商会に戻ってアンセルさんに質問をする。

 税金については、家に対してはかからないが、家を構えて(借家でも)住むならば、住人税がかかるそうだ。
 以前は庶民も収入に応じてその額が違ったそうだが、ナッツン宰相が計算がメンドーだと国王に進言して、庶民は一律一ヶ月大人一人銅貨五枚(凡そ五百円)で、年始に一年分まとめて支払っても良いらしい。因みに子供(零歳~十三歳)には住人税はかからないそうだ。
 
 そして、俺はここに至ってこの世界の暦を知る。
 
 おせぇーー!
 
 週の概念はあるが、あまり気にする人はいないそうだ。
 日にちで話す人が多く、一ヶ月は三十日で一年は十二ヶ月と十三ヶ月が交互になるらしい。

 因みに税金は、十三ヶ月の年でもまとめて支払うなら十二ヶ月分で良いらしい。
 これもナッツン宰相が計算がメンドーだと押しきった結果だそうだ。

 すげェな~、ナッツン。

 それ以外(住人税)に庶民にかかる税金はないとのこと。住みやすいわ~。

 そうして色々と教えてもらい、俺達はお金を払ってあの家を購入した。

 あれ、良く考えたら検討するって話だったような······

 ま、まあ良い巡り合わせだったから、良しとしよう。

 宿屋との契約は後数日あるので、それまでは宿屋で生活する事にした。
 が、コーランさんとヤーン君には、真裏の家を購入した事を伝えて、近所になるからよろしくと言った。
 その時に二人から、お祝いだと言ってミスリという鉱石の原石を貰った。

 これは、以前に宿屋に泊まった、それこそ裏の家を建てた異世界人がくれたそうだが、宿屋では使い道もなく、家に飾ってその異世界人を偲んでいたそうだ。
 しかし、エイダスさんから俺とサヤも異世界人だと(契約の神に誓った上で)教えてもらい、俺達にプレゼントすることに決めたと言う。

「あの人は優しい人でね。亡くなったのも、一緒に冒険してた仲間を逃がす為に一人で強い魔物を食い止めたからなんだ······」

 そう言ったコーランさんは俺達二人に、

「あんた達は何があっても生きるんだよあの人の分もこの世界で幸せになっておくれ」

 と言ってくれた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

神木さんちのお兄ちゃん!

雪桜 あやめ
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます! 神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。 美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者! だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。 幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?! そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。 だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった! これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。 果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか? これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。 *** イラストは、全て自作です。 カクヨムにて、先行連載中。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

処理中です...