俺のスキルが無だった件

しょうわな人

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決戦の時の件

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 決戦の場所へは徒歩でやって来た。(魔境の森の入口までは俺の無空間で移動したが。)そして、城の門衛達はエイダスの顔を見てホッとした顔をする。(ナッツンは素顔なので誰も宰相だと気が付かないようだ。)

「エイダス、やっぱり生きていたのか!」

 門衛の一人がそう声をかけてきた。

「おいおい、おれはこうして生きてるよ。何で死んだ事になってるんだ。」

「ザーバス隊長がエイダスは妻の仇を探して返り討ちにあったって言ってな。勿論俺達は信じちゃいなかったが」

 そこでエーメイさんに気がつく門衛達。

「「「エーメイ様!」」」

「ハッハッハッ、久しぶりじゃー。皆、元気にしておったか? それにワシよりも礼儀をちゃんとせねばならぬお方がお二方おられるぞ」

 そう言ってエーメイさんは最後尾にいたマクド君とフィオナが見えるように脇に避けた。

「「「マクド王子、セレナ王女!」」」

 さっきから門衛達の驚愕する顔が面白い。そして、一人の年嵩としかさの門衛が期待に満ちた眼差しでマクド君に言った。

「マクド様、王になっていただけるんですね」

「そうだ、ソラス。今日、私は国王陛下である父と話し合い、王位を私にお譲り頂く所存だ。皆には協力を願いたい」

 それを聞いた門衛達は喜びの声を上げて一斉に言う。

「我らこの時を待ちわびておりました。国王派の抑えはお任せ下さい!」

 それを聞いてからフィオナが言った。

「皆には苦労をかけました。これからはマクドが皆に報います。どうかよろしくお願いします」

「セレナ王女、もったいないお言葉。我らは全力で支援致します。いや、英雄ユウヤ様とフィオナ様がおられるのなら、我らは微力に過ぎませんが」

「そんなことはありません。皆の力があるからこそ、私達は上手くいくと信じて動けるのです」

 その言葉に感涙する者もいたが、今日中に決着を着けたい俺達は国王派の抑えをしてくれるエーメイさん達に後を任せて城の中へと入った。

 俺達は想定していた妨害もなく、玉座の間にたどり着いた。扉を開けて中に入る。

「ようこそ、愚民共よ。我が城に何用かな?」

 玉座に座り、俺達が入るやいなや声をかけてきた国王カインの姿をした何者か。そこでマクド君が前に出た。

「父の姿をした偽物の王よ、貴様がそこに座る資格はない! 今すぐおりてもらおうか!」

「ほほう、マクドよ。余がここに座る資格がないとな? 余は正真正銘、国王カイン·ゴルバードなるぞ。何故にそのような事を父に申すのか、とく述べてみよ」

「戯れ言を申すな! 調べは既についているのだ! 貴様が我が父を弑し奉り、その身を偽って国王と名乗っていることは明白だ」

「ほう、我が国王を殺したと······ クックックッ、ハーハッハッハッ! 面白い、面白いぞ。マクド。我が国王を殺す筈がなかろう。自分自身を殺す事になるゆえにな······」

 既に余から我に言葉が変わってしまっているのを気づいてないのか、大声で笑いながらそんな事を言う何者か。俺は気がついた。これは金精コンセイ様と同じように肉体を乗っ取っているのだと。

「フィオナ、国王は乗っ取られているだけのようだ。何とかして体を取り返せば国王は元に戻ると思う」

「そうですね、私もそう思いました。父の体を乗っ取っているのが邪神なのか、悪魔なのかはわかりませんが、何とかしたいと思います」

 俺とフィオナがそう話した時に国王が人を呼んだ。

「入るがよい。我の忠実な下僕しもべ達よ!」

 その言葉に七人の男が奥の扉から入ってきた。フィオナが言うには始まりの四人と、サヤ達と一緒にきた三人らしい。
 一人が国王に言う。

「王よ、我らは貴方の下僕しもべになったつもりはないが······」

「クククッ、まあそう言うな、カイよ。我の要請に応じて来ておるのだから、今この時は我の下僕しもべよ」

「王よ、あの二人の女は俺達三人に貰えるのは間違いないだろうな?」

 別の男が国王に問いかけた。その男の顔を見てマコトが俺に言った。

「トウジ、彼奴あいつは私をストーカーしてた奴だわ。召喚された日に私とサヤを襲おうとしてたのは彼奴あいつだったようね」

「タカシよ、ソナタはまだ未練があるのじゃな。良い良い、ソナタ達の好きなように女を扱うが良い。我が許そうぞ」

 勝手な事をほざく国王に俺も怒りを覚えるが、今はこの七人をどうにかしないといけない。俺はテリャーさんに声をかけた。

「テリャーさん、俺がスキルをかけて、彼奴らに見えなくするから、ここを出てエーメイさん達の様子を見てきてくれ。ここは俺達でどうにかする」

「は、トウジ殿。分かりました。どうやら彼らとやり合うには私ではレベル不足のようだ。マクド王子とセレナ王女を頼みますぞ」

 そう言って頭を下げたテリャーさんに俺は無在をかけた。それに気がついた男が一人。

「むっ、消えた。転移したのか? いや何処か違うな。魔力の流れは感じなかったし······ まあ、良いか。消えたのは一番弱い奴だったし」

 そう言いながら前に出てきた青年は俺を指差して言う。

「どうやら貴方がリーダーのようですね。どうですか? 降参しませんか? 今降参するなら同郷のよしみで命は助けてあげますよ」

「ふん、馬鹿な事を言うなよ。勝つ方が降参する必要はないだろう」

 俺がそう言うとその青年は笑いながら言葉を続けた。

「ハハハ、勝つですって。あなた方が僕たちに勝つなんて無理ですよ。何故なら、僕たちは玉座に座る邪神よりも強いですからね。万にひとつもあなた方が勝つなんてあり得ないです」

 そう言うと青年は他の男達に声をかけた。

「皆、対戦する相手は決めたかな? どうやら僕の慈悲は通じなかったようだから、決着をつける必要があるようだ。先ずはそうだな······ タカシ、お前から行くが良い。おっと、その前にリーダーの貴方に承認を貰いましょうか。どうです? 降参する気がないのなら、一対一で対戦していきませんか? こちらから出てきた者がそちらの対戦したい相手を指名しますから、その者達で対戦して行くのが良いと思うのですが、如何ですか?」

 そんなまどろこしい事には賛成したくないのだが、俺が返事をする前にマクド君が返事を返してしまった。

「良いだろう! その自信を打ち砕いてやろう!」

「おや、王子様が返事をくれましたか。まあ、了承されたという事でよろしいですね。では、タカシは誰を指名するかな?」

「ヒジリさん、俺はあの女を指名しますよ。殺す必要はないですよね? 後でたっぷり可愛がるつもりなんですが」

「そうだね······ ここはひとつルールを設けようか。殺しは無しで行こう」

 指名されたのはサヤだったが、俺は安心していた。明らかにタカシという男よりもサヤの方が強いからだ。それはステータスだけでなく、実戦経験から見ても大きな開きがあった。
 俺のスキル無謬は既にレベルがカンストしていて、見た相手の今までの経験までも見る事が出来る。そこで俺はサヤに伝えた。

「サヤ、殺しは無しらしいから力を普段の五割位に抑えて戦えよ。じゃないとオーバーキルになっちまうから」

 俺が笑いながらそう言うのでサヤも安心したのか、

「うん、トウジ、分かったわ。後で褒め(可愛いがっ)てね」

 とニッコリ笑って言った。それを見てタカシはニヤニヤ笑う。

「そうやって笑ってられるのも今のうちだ。裸にひんむいてヒイヒイ言わせてやるよ」

「お生憎さま、私をヒイヒイ言わせて良いのはこのトウジだけなの。貴方にはその資格がないわ」

 そう言って前に出たサヤ。タカシも一歩前に出る。サヤは魔斬刀を抜いて構えた。タカシも両刃の片手剣を抜く。そこでタカシがまた要らぬ事を言った。

「俺は無抵抗の女が好きでな。手足を切り落としても俺のスキルで生かしておいてやるから、精々良い声で泣いてくれよ」

 それを聞いたサヤはチラリと俺を見た。俺はサヤの意図を察して頷いた。それを見たサヤが動いた。

 タカシの懐に入り込み刀を一閃させる。辛うじて受け止めるタカシ。サヤの余りに速い動作にその顔は驚愕していた。
 続け様に斬撃を繰り出すサヤ。俺から見てもまだ二割程度の力しか出してないが、タカシは徐々に下がって行く。そこで、大きく飛び下がりタカシは言った。

「中々の速さだが、調子に乗るなよ。俺も今から本気を出してやる。神から貰ったこの驚異の能力を見て泣きわめくなよ! 【神体強化】!」

 タカシの動きが先程の数倍速くなった。が、それでもサヤの五割の力に満たない。サヤはタカシの繰り出す斬撃をことごとく受け止め、更に攻撃を繰り出した。焦るタカシ。

「バ、バカな! 何故この動きについてこれる!」

「鍛え方が違うのよ! 自分のじゃない力を手に入れて強くなったつもりでいる貴方には分からないでしょうけどね!」

 そう言ってサヤの繰り出した斬撃がタカシの剣を持つ右腕を斬り飛ばした。返す刀で左足も斬り飛ばしたサヤ。無様に転倒するタカシ。それを見た俺はタカシに無瑕むかをかけて出血を止めてやる。殺しは無しらしいからな。サヤに斬られて痛みを感じ、叫ぼうとしたタカシは一瞬で痛みが無くなり、斬られたのは幻かと思ったのだろう。立ち上がろうとして無様に転ぶ。そこで俺はヒジリに声をかけた。

「殺しは無しなんだろう? 俺達の勝ちで良いな?」

 ヒジリはため息を吐きながら言った。

「ハァーッ、情けないですが仕方ありませんね。この戦いはあなた方の勝ちです。タカシ、あなたは負けました。下がりなさい」

「ヒッ! ヒジリさん、違うんだ。コレは何かの間違いなんだ。俺が負ける筈がない!」

 必死に言い訳をするタカシを見てヒジリは声を荒げるでもなく、再度言う。

「タカシ、次はないですよ。下がりなさい」

 それを聞いて青い顔になったタカシはズリズリと片手で体を動かし下がった。仲間達は蔑んだ顔でそれを見ている。タカシが下がった後にヒジリは次の男に声をかけた。

「キョウジ、次はあなたです。誰を指名しますか?」

「ヒジリさん、俺はあの女を選ぶ」

 キョウジが指差したのはフィオナだった。フィオナは頷いて前に出た。俺はフィオナに声をかけた。

「フィオナ、力を抑えてな」

 そう、フィオナの対戦相手もまたフィオナよりも弱い。俺はこの茶番劇を早く終わらせたいが、一人だけ底の見えないヒジリを警戒していた。
 初めて俺の無謬で見えない男が現れたので、俺の警戒心は最高に上がっている。俺はヒジリのどんな動きも見逃さないように注意しながら、フィオナと対戦相手の戦いを見守っていた······
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