61 / 92
暴走する子爵の件
しおりを挟む
落ち着いた二人に散々礼を言われて、俺達三人は苦笑いである。
そして、談笑を始めた時に一人の男が飛び込んできた。息を切らしてゼエゼエ言ってるのはハマカヌだった。
「よ、良かった。トウジさんもここに居たか。マ、マスター、大変だ。さっきの子爵野郎が孤児院に行って、三人の女の子を連れて行きやがったそうだ。今はナラズとカザアーナとソロリーが後を追っているが、侯爵が泊まってる宿に入られると厄介だとナラズが言ってた。それに、一人だけトンでもない強さの私兵が居たそうだ。ナラズでもヤバいらしい······」
そう聞いた俺達三人は既に準備を終えていた。俺はザーバスに言う。
「俺達三人が行くよ。必ず連れ去られた女の子達は助け出す。その時は孤児院の他の子供達も一緒にギルドに匿ってもらえるか?」
「トウジよ、当たり前だ。今から俺と腕の立つ冒険者を連れて孤児院に残ってる子供達は先にギルドに連れてくる。済まないが捕まってる子供達はトウジよ、よろしく頼む」
そう言ってザーバスは俺に頭を下げた。
ギルドから逃げた子爵は、このまま帰ると侯爵に始末されると考えに考えた。侯爵の私兵を預かりながら目当てのヨッパを連れ帰るどころか、私兵は行方不明になり、自分一人で帰ったのではあっさりと始末されるのは目に見えている。
そこで子爵は自分の私兵を呼び出した。王国カインでは国王が留学中に開発した通信石を下賜されている。それを使い私兵を呼んだ子爵は、孤児院に行き院長に話をする。
「この度、ハーベラス侯爵閣下のメイドを新たに雇う事になった。そこで私がその雇う人間を見てくるようにと仰せつかったのだ。さあ、この孤児院にいる女児を私の前に連れてくるのだ」
しかし、この孤児院の院長もハーベラスの悪い噂を勿論知っている。なので返事は、
「ここは孤児達が集まり生活をしております。侯爵閣下のメイドになれるような教育までは誰にも出来ておりません。ご迷惑をおかけする事になりますので、今回のお話はなかった事にしてください」
断りの文言を丁寧な口調で言った。
実はこの院長は元々貴族の出である。実家は男爵家であったが、自身は三男だったので好きな事をして生きようと放浪している内にこの孤児院の院長に落ち着いてしまった。彼は子供好きなのもあるが、誠実な人柄で良く子供達にお土産だと言ってはお菓子なんかを手にして孤児院に出入りしていたら、前任の院長から後継してくれと打診されたので、了承した経緯がある。
そんな彼がこの話に乗る筈がなかった。
その頃、ナラズはその孤児院に向かっていた。元々孤児だったナラズはその孤児院で十五才まで育ったのだ。十二才から冒険者登録をしたが、初めは町中の雑用しか出来ずに僅かな稼ぎを孤児院に寄付していた。その頃はまだ前任の院長だったが、今の院長になっても稼いだ金の一部を孤児院に寄付するのを止めてない。ヨッパの件が一応目処がついたと思ったナラズは手土産に菓子を持って孤児院に向かっていたのだ。
孤児院の少し手前で兵士に泣きながら手を引かれる三人の女の子を見たナラズは駆け寄って怒鳴った。
「おい、俺の妹達を何処に連れて行く気だ!」
「ナラズ兄ちゃん、助けて!」
連れられている女の子の中で十三才になるヨーカがナラズに助けを求める。飛び出そうとしたナラズの前に一人の兵士が立ち塞がった。
「君は誰だい? 俺達は命令でこの娘達を連れて行かなきゃダメなんだけど、邪魔しないでくれるかな」
目の前の兵士を見たナラズは背筋がゾクリとしたのを感じながらも果敢に声を上げた。
「いくら命令だとしてもだ、それが人を勝手に連れて行って良い理由にはならない! 俺はA級冒険者のナラズだ! 返して貰うぞ、俺の妹達を!」
そう言って前に出ようとしたナラズをその兵士が止める。
「そう言われても僕達がはい、そうですかとこの娘達を君に渡したら給料が貰えなくなるから、ゴメンね」
そう言ってナラズの腹を軽く叩く兵士。叩かれたナラズは最初はこいつ、何をしたいんだ? と思ったがその後に腹が爆発したかの様な感じになり、腹をおさえて踞る。
「グッ、グッ、ガハッ!」
血反吐を地面に吐き、呻くナラズ。それを見て兵士が言った。
「弱いのにしゃしゃり出るからそういう事になるんだよ。それじゃ、僕達はもう行くね」
そう言って子爵と兵士達は女の子を連れてその場を立ち去る。
そこに顔をボコボコに腫らした院長が出てきて倒れて呻くナラズを見つけた。
「ナッ、ナラズくん! いま回復魔法をかける。キュアー」
ナラズは院長の回復魔法によって症状が和らいだが、体の芯の部分で治ってないことは分かった。が、このまま妹達を見捨てるつもりもなかったので、院長に言った。
「ヨーゼフ院長。俺が後を追って必ずヨーカ達を助けます。院長は冒険者ギルドのマスターに連絡を入れて貰えますか。私兵の中に一人だけ異様な強さを持つ男がいることも忘れずに伝えて下さい」
そういった時にそこをカザアーナ達が通りがかった。そして、苦しそうな顔をしたナラズと顔を腫らしているヨーゼフを見て非常事態だと悟る。
「ナラズ、どうしたんだ? 何かあったのか?」
「カザアーナ、良い所に来てくれた。実は······」
先程の出来事を伝えるナラズ。それを聞いてカザアーナがハマカヌにギルドへ走れと言い、自分達はナラズと一緒に行くと子爵達を追って走り出したのだ。
俺達はハマカヌに案内してもらいながらカザアーナ達がナラズと会った経緯を聞いた。そこで俺達は真っ直ぐ侯爵の泊まっている宿に向かった。そこから孤児院方面に向かう事にしたのだ。しかし、既に遅かったようで、宿の前でナラズとカザアーナ、ソロリーが子爵とその私兵と揉めていた。
「早く返せ。孤児院から勝手に連れ出した子供達を!」
ナラズがそう子爵に言うと、子爵が嘲笑うように返事をした。
「何の話をしてるんだ? 孤児院から勝手に連れ出した等と言い掛かりも甚だしい。私はメイド候補を雇っただけだ。」
「ふざけるな! 孤児をメイドとして雇う貴族なんかは居ない!」
「侯爵閣下は懐の広い方だからな。例え孤児と言えど才能に溢れたモノは雇われる方だ。その才能が美貌だと特にな。ワーハッハッハッ!」
俺はハマカヌを先に行かせて、サヤとマコトと一緒に人の居ない場所まで行く。そして、二人に言った。
「無在をかけるから、二人は中に入って連れ出された女の子達を見つけてくれるか? そこに俺も無空間で飛んで行く。侯爵もこの子爵も許せないが、国王に任せた方が良いからな。本当は俺も我慢の限界が近いんだが······」
「トウジ、それは私達も同じ気持ち。少しだけ侯爵を懲らしめても良い?」
「うん、暫くそんな行為が出来なくなるように私がするっていうのはどうかな?」
「ああ、それは良いな。良し、それじゃその方向で頼む」
そして、俺は二人に無在をかけた。それから俺もナラズ達の元に行く。
「あっ、貴様は!」
「よう、頭脳明晰と言いながら言葉の分からない子爵殿じゃないか。どうやら辛うじて俺の事は覚えてるみたいだな」
「グヌヌヌ、忘れる筈が無かろう! 貴様、侯爵様の私兵を何処にやった! さっさと返せ!」
「俺が知ってる訳ないだろう。アイツらは勝手に消えたんだよ。あんたも見てた筈だよ」
そんな俺達のやり取りに焦れたようにナラズが言う。
「トウジさん、こんな事をしている間にも俺の妹達が」
そこで俺は俺達の周りだけに無音をかけてナラズに言った。
「安心しろ、ナラズ。今、サヤとマコトが中に入って女の子達の居場所を探している。もうすぐ見つかる筈だ。そこに俺とお前も一緒に言って、助け出すぞ」
「なっ、どうやって中に」
「そこは内緒だな。俺のスキルに関わるからな」
「分かった、詳しい事は聞かない。俺としては妹達を助けられるならそれで良い。グッ!」
「うん? ナラズ少し失礼するぞ」
俺は無謬でナラズを見た。すると、
【状態異常】
残り余命 約二時間
何ですとーっ! 先に言えやコラ。間に合ったから良いけど。
俺はナラズに無傷と無病息災をかけた。そしたらナラズが不思議そうな顔になる。
「アレ? 息苦しさと重怠い感じが無くなった」
「詳しくは言えないが、俺のスキルでナラズの状態を健全な状態に戻した。前からそんな状態だったのか?」
「いや、トウジさん。私兵の中で異様なヤツがいてな。そいつに軽く腹を叩かれただけなんだが、そこからなんだ」
「そうか」
そこまで聞いた時にサヤから連絡が入った。
『トウジ、見つけた。まだ、大丈夫だよ』
『分かった、直ぐに行く』
「良し、ナラズ。見つけたぞ。カザアーナ、ソロリー、ハマカヌは直ぐに撤退してくれ。ギルドまでな」
「あ、ああ。分かった。良し、撤退だ!」
「「おう!」」
三人が急に後ろを向いて走り出したのを見て子爵が笑い出す。
「ワーハッハッハッ、仲間はお前達を見捨てたようだな。賢明な判断だ」
俺はソレを無視して俺とナラズに無在をかけた。目の前から消えた俺達に驚いているようだが、自分に都合の良いように解釈する子爵。
「ふん、二人も逃げたか。まあ、良い。侯爵様の機嫌も直ったし、コレで私も安泰だ」
そう言って宿に引っ込んだ。俺はそのまま無空間でサヤとマコトの元に行く。
そこではヨダレを垂らした中年ハゲが女の子達を追いかけていた。見たくねぇ。ハゲたオッサンの裸なんて。
ナラズが慌てる。が、俺は女の子達に無在をかける。目の前から消えた女の子達を探して中年ハゲがキョロキョロしてるが、それは無視して俺はナラズを女の子達の方に行かせた。
「すまない、ヨーカ、カミナ、ナージュ。遅くなったな」
「「「ナラズ兄ちゃーん」」」
泣きながらナラズに抱きつく女の子達。マコトはそれをウンウンと見ながら中年ハゲの股間に向かって呪文を唱えた。
すると、ハゲの股間からムスコが消えた。何ソレ? 俺がそっとマコトを見ると、ウフフと微笑みながら教えてくれた。
「私のオリジナル魔法で、今回は二ヶ月の間は消えたままだよ」
うん、マコトは絶対に怒らすまいと俺が心に誓ったのは言うまでもない。
そして、談笑を始めた時に一人の男が飛び込んできた。息を切らしてゼエゼエ言ってるのはハマカヌだった。
「よ、良かった。トウジさんもここに居たか。マ、マスター、大変だ。さっきの子爵野郎が孤児院に行って、三人の女の子を連れて行きやがったそうだ。今はナラズとカザアーナとソロリーが後を追っているが、侯爵が泊まってる宿に入られると厄介だとナラズが言ってた。それに、一人だけトンでもない強さの私兵が居たそうだ。ナラズでもヤバいらしい······」
そう聞いた俺達三人は既に準備を終えていた。俺はザーバスに言う。
「俺達三人が行くよ。必ず連れ去られた女の子達は助け出す。その時は孤児院の他の子供達も一緒にギルドに匿ってもらえるか?」
「トウジよ、当たり前だ。今から俺と腕の立つ冒険者を連れて孤児院に残ってる子供達は先にギルドに連れてくる。済まないが捕まってる子供達はトウジよ、よろしく頼む」
そう言ってザーバスは俺に頭を下げた。
ギルドから逃げた子爵は、このまま帰ると侯爵に始末されると考えに考えた。侯爵の私兵を預かりながら目当てのヨッパを連れ帰るどころか、私兵は行方不明になり、自分一人で帰ったのではあっさりと始末されるのは目に見えている。
そこで子爵は自分の私兵を呼び出した。王国カインでは国王が留学中に開発した通信石を下賜されている。それを使い私兵を呼んだ子爵は、孤児院に行き院長に話をする。
「この度、ハーベラス侯爵閣下のメイドを新たに雇う事になった。そこで私がその雇う人間を見てくるようにと仰せつかったのだ。さあ、この孤児院にいる女児を私の前に連れてくるのだ」
しかし、この孤児院の院長もハーベラスの悪い噂を勿論知っている。なので返事は、
「ここは孤児達が集まり生活をしております。侯爵閣下のメイドになれるような教育までは誰にも出来ておりません。ご迷惑をおかけする事になりますので、今回のお話はなかった事にしてください」
断りの文言を丁寧な口調で言った。
実はこの院長は元々貴族の出である。実家は男爵家であったが、自身は三男だったので好きな事をして生きようと放浪している内にこの孤児院の院長に落ち着いてしまった。彼は子供好きなのもあるが、誠実な人柄で良く子供達にお土産だと言ってはお菓子なんかを手にして孤児院に出入りしていたら、前任の院長から後継してくれと打診されたので、了承した経緯がある。
そんな彼がこの話に乗る筈がなかった。
その頃、ナラズはその孤児院に向かっていた。元々孤児だったナラズはその孤児院で十五才まで育ったのだ。十二才から冒険者登録をしたが、初めは町中の雑用しか出来ずに僅かな稼ぎを孤児院に寄付していた。その頃はまだ前任の院長だったが、今の院長になっても稼いだ金の一部を孤児院に寄付するのを止めてない。ヨッパの件が一応目処がついたと思ったナラズは手土産に菓子を持って孤児院に向かっていたのだ。
孤児院の少し手前で兵士に泣きながら手を引かれる三人の女の子を見たナラズは駆け寄って怒鳴った。
「おい、俺の妹達を何処に連れて行く気だ!」
「ナラズ兄ちゃん、助けて!」
連れられている女の子の中で十三才になるヨーカがナラズに助けを求める。飛び出そうとしたナラズの前に一人の兵士が立ち塞がった。
「君は誰だい? 俺達は命令でこの娘達を連れて行かなきゃダメなんだけど、邪魔しないでくれるかな」
目の前の兵士を見たナラズは背筋がゾクリとしたのを感じながらも果敢に声を上げた。
「いくら命令だとしてもだ、それが人を勝手に連れて行って良い理由にはならない! 俺はA級冒険者のナラズだ! 返して貰うぞ、俺の妹達を!」
そう言って前に出ようとしたナラズをその兵士が止める。
「そう言われても僕達がはい、そうですかとこの娘達を君に渡したら給料が貰えなくなるから、ゴメンね」
そう言ってナラズの腹を軽く叩く兵士。叩かれたナラズは最初はこいつ、何をしたいんだ? と思ったがその後に腹が爆発したかの様な感じになり、腹をおさえて踞る。
「グッ、グッ、ガハッ!」
血反吐を地面に吐き、呻くナラズ。それを見て兵士が言った。
「弱いのにしゃしゃり出るからそういう事になるんだよ。それじゃ、僕達はもう行くね」
そう言って子爵と兵士達は女の子を連れてその場を立ち去る。
そこに顔をボコボコに腫らした院長が出てきて倒れて呻くナラズを見つけた。
「ナッ、ナラズくん! いま回復魔法をかける。キュアー」
ナラズは院長の回復魔法によって症状が和らいだが、体の芯の部分で治ってないことは分かった。が、このまま妹達を見捨てるつもりもなかったので、院長に言った。
「ヨーゼフ院長。俺が後を追って必ずヨーカ達を助けます。院長は冒険者ギルドのマスターに連絡を入れて貰えますか。私兵の中に一人だけ異様な強さを持つ男がいることも忘れずに伝えて下さい」
そういった時にそこをカザアーナ達が通りがかった。そして、苦しそうな顔をしたナラズと顔を腫らしているヨーゼフを見て非常事態だと悟る。
「ナラズ、どうしたんだ? 何かあったのか?」
「カザアーナ、良い所に来てくれた。実は······」
先程の出来事を伝えるナラズ。それを聞いてカザアーナがハマカヌにギルドへ走れと言い、自分達はナラズと一緒に行くと子爵達を追って走り出したのだ。
俺達はハマカヌに案内してもらいながらカザアーナ達がナラズと会った経緯を聞いた。そこで俺達は真っ直ぐ侯爵の泊まっている宿に向かった。そこから孤児院方面に向かう事にしたのだ。しかし、既に遅かったようで、宿の前でナラズとカザアーナ、ソロリーが子爵とその私兵と揉めていた。
「早く返せ。孤児院から勝手に連れ出した子供達を!」
ナラズがそう子爵に言うと、子爵が嘲笑うように返事をした。
「何の話をしてるんだ? 孤児院から勝手に連れ出した等と言い掛かりも甚だしい。私はメイド候補を雇っただけだ。」
「ふざけるな! 孤児をメイドとして雇う貴族なんかは居ない!」
「侯爵閣下は懐の広い方だからな。例え孤児と言えど才能に溢れたモノは雇われる方だ。その才能が美貌だと特にな。ワーハッハッハッ!」
俺はハマカヌを先に行かせて、サヤとマコトと一緒に人の居ない場所まで行く。そして、二人に言った。
「無在をかけるから、二人は中に入って連れ出された女の子達を見つけてくれるか? そこに俺も無空間で飛んで行く。侯爵もこの子爵も許せないが、国王に任せた方が良いからな。本当は俺も我慢の限界が近いんだが······」
「トウジ、それは私達も同じ気持ち。少しだけ侯爵を懲らしめても良い?」
「うん、暫くそんな行為が出来なくなるように私がするっていうのはどうかな?」
「ああ、それは良いな。良し、それじゃその方向で頼む」
そして、俺は二人に無在をかけた。それから俺もナラズ達の元に行く。
「あっ、貴様は!」
「よう、頭脳明晰と言いながら言葉の分からない子爵殿じゃないか。どうやら辛うじて俺の事は覚えてるみたいだな」
「グヌヌヌ、忘れる筈が無かろう! 貴様、侯爵様の私兵を何処にやった! さっさと返せ!」
「俺が知ってる訳ないだろう。アイツらは勝手に消えたんだよ。あんたも見てた筈だよ」
そんな俺達のやり取りに焦れたようにナラズが言う。
「トウジさん、こんな事をしている間にも俺の妹達が」
そこで俺は俺達の周りだけに無音をかけてナラズに言った。
「安心しろ、ナラズ。今、サヤとマコトが中に入って女の子達の居場所を探している。もうすぐ見つかる筈だ。そこに俺とお前も一緒に言って、助け出すぞ」
「なっ、どうやって中に」
「そこは内緒だな。俺のスキルに関わるからな」
「分かった、詳しい事は聞かない。俺としては妹達を助けられるならそれで良い。グッ!」
「うん? ナラズ少し失礼するぞ」
俺は無謬でナラズを見た。すると、
【状態異常】
残り余命 約二時間
何ですとーっ! 先に言えやコラ。間に合ったから良いけど。
俺はナラズに無傷と無病息災をかけた。そしたらナラズが不思議そうな顔になる。
「アレ? 息苦しさと重怠い感じが無くなった」
「詳しくは言えないが、俺のスキルでナラズの状態を健全な状態に戻した。前からそんな状態だったのか?」
「いや、トウジさん。私兵の中で異様なヤツがいてな。そいつに軽く腹を叩かれただけなんだが、そこからなんだ」
「そうか」
そこまで聞いた時にサヤから連絡が入った。
『トウジ、見つけた。まだ、大丈夫だよ』
『分かった、直ぐに行く』
「良し、ナラズ。見つけたぞ。カザアーナ、ソロリー、ハマカヌは直ぐに撤退してくれ。ギルドまでな」
「あ、ああ。分かった。良し、撤退だ!」
「「おう!」」
三人が急に後ろを向いて走り出したのを見て子爵が笑い出す。
「ワーハッハッハッ、仲間はお前達を見捨てたようだな。賢明な判断だ」
俺はソレを無視して俺とナラズに無在をかけた。目の前から消えた俺達に驚いているようだが、自分に都合の良いように解釈する子爵。
「ふん、二人も逃げたか。まあ、良い。侯爵様の機嫌も直ったし、コレで私も安泰だ」
そう言って宿に引っ込んだ。俺はそのまま無空間でサヤとマコトの元に行く。
そこではヨダレを垂らした中年ハゲが女の子達を追いかけていた。見たくねぇ。ハゲたオッサンの裸なんて。
ナラズが慌てる。が、俺は女の子達に無在をかける。目の前から消えた女の子達を探して中年ハゲがキョロキョロしてるが、それは無視して俺はナラズを女の子達の方に行かせた。
「すまない、ヨーカ、カミナ、ナージュ。遅くなったな」
「「「ナラズ兄ちゃーん」」」
泣きながらナラズに抱きつく女の子達。マコトはそれをウンウンと見ながら中年ハゲの股間に向かって呪文を唱えた。
すると、ハゲの股間からムスコが消えた。何ソレ? 俺がそっとマコトを見ると、ウフフと微笑みながら教えてくれた。
「私のオリジナル魔法で、今回は二ヶ月の間は消えたままだよ」
うん、マコトは絶対に怒らすまいと俺が心に誓ったのは言うまでもない。
1
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる