愛を請うひと

くろねこや

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本編

18 大型犬

オレの身体には、『クソイベント』で男達に付けられた臭いがべったりと染み付いて酷い有様ありさまだった。


意識を取り戻した時、いつも監禁されている部屋に戻されていたのだが、


ぼんやりとして動けないオレを見る男Aの様子がおかしい。
『上書きしてやる』と風呂場に連れて行かれ、尿のシャワーを頭からかけてきたのだ。さらに口から飲まされたり、ナカに出されたりもした。

傷や目鼻に入って痛かったし、熱く臭う体液を腹の中いっぱいに注がれる行為に心はドン引きしていたのだが、オレの身体は泥のように重く抵抗できない。

「…っ」

それどころか、激しい輪姦りんかん余韻よいんと痛みによって、ぼってりとれたナカは、ジョロジョロと腸壁を打つ『それ』にさえ感じるようになっていた。だいぶ溜まっていたのか、なかなか解放されない。

「犬が『オレのだ!』ってマーキングをしてるようなもんだよ」
とBが言ったのを聞いて、Aが黒い大きな犬に見えた瞬間、何故か可笑おかしくなって許してしまうのだった。



腹の中は胃腸を裏返して洗いたいほど気持ち悪かった。トイレに行きたかったが身体が動かず、風呂の床で胃の内容物を胃酸が出るほど吐き戻してしまった。
ぐったり疲れに動けないでいると、男Aが抱き上げ、床を洗ってくれた。

酷使され腫れた尻の穴と、鞭による傷は酷く痛んだが、男の指とシャワーで腹の中を清めてもらい、そのまま身体中を優しく洗われる。
口の中、髪の一房から足の指先まで余すところなく丁寧に。

湯船で後ろから抱き込まれていると、眠くて眠くて男の胸に寄りかかってしまう。



傷薬を塗った身体をベッドに運ばれ、口移しで冷たいスポーツドリンクを飲ませてもらう。
乾いた喉に『まともな味』が嬉しい。身体に染み渡るようだ。







眠りに落ちながら、

「ーーーーありがとう」  と、

泣きそうなBの声が聞こえた気がした。







次に目が覚めた時、発熱したのか『いっそ殺して欲しい』と思うほどの全身の痛みと怠さに襲われていた。
痛い、痛い、痛い、死にたい…

誰かに口移しで薬と水を飲ませてもらい、額に冷却シートを貼ってもらう。

しばらく耐えた後ようやく薬が効いたのか、すぅと眠りに落ちることができた。






目を開くと、泣きそうに歪んだ男Aの表情かおがあった。

視線が合った瞬間。

「……凛!!」

冷たい手のひらがオレの頬に触れる。
男の震えが伝わって思わず声を出そうとし、渇いた喉からは息だけが漏れる。

「オレがわかるか?」

瞬きで返事をする。

「水を飲ませてやれ」

男Cの声にAがペットボトルの水を口に含み、口移しで与えられる。

「凛…、よかった…、よかった…」

ぎゅっと抱きしめてくる身体もやはり震えていて……、自然に抱き返していた。


Cがいい匂いのおかゆを持ってきてくれた。

Aは、ふぅふぅと冷ますと……やはり口移しで与えてくる。
スプーンで食べさせて欲しかったが、身体を起こすのが辛くて、男の口からトロトロと流し込まれるまま受け入れ飲み込んだ。

普通の白粥のようなのに出汁の味がして美味しい。

Bの姿はなかった。





男Cの話によると、スポンサーの1人に知り合いがいて、Aはその人物からショーへの参加権を格安で買取ることができたそうだ。

あの会場から気を失ったオレを連れ出そうとすると、あの社長が騒ぎを起こそうとしたらしいが、Cがこっそり締めたと言っていた。

オレがやらされていた配信は当面、別の奴隷に変えるらしい。





この環境から絶対に抜け出す。

そして、あのイベントの主催者とスポンサー達を潰す。

妻子と仕事を失ってから投げやりになっていたが、アイツらへの憎しみのおかげで心が決まった。


悪魔のようなアイツらの顔と行為を全て覚えている。

泣き叫ぶ声が耳から離れない。

警察に通報するまで決してアイツらの顔を忘れないよう、あの日からずっと寝る前に、何度も何度も反復して思い出すようにしている。
男達にされたおぞましい事も一緒に思い出し、身体が勝手に震えだしてパニックに陥ると、男Aはオレを抱き寄せ眠る。



毎日オレを抱きしめて離さない様は、やはり子犬を庇護ひごする大型犬のようだ。
あれからずっと、水どころか食べ物も口移しで与えられている。
Cによると、『今に始まったことではない』そうだ。オレが覚えていないだけで、こうして毎日食べさせられていたらしい。
……確かに、男の『ミルク』だけで生きられるはずがなかった。

『自分で食べられるから』と言っても譲らないA。
その様子を見ているBとCが妙に優しい。
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