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その後の話
ピアニストと犬(後編)
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「着替えを貸していただき、ありがとうございます」
シャワーから出てきたホカホカの榊さん。
この人がオレの服を着て、家にいるのがまだ信じられない。スーツ姿しか見たことがなかったから不思議な感じだ。
Tシャツがキツそうで地味に凹む。身長は同じくらいなのに、やっぱり筋肉の差だろうか。やけに胸元を引っ張っている。
「いえ、こちらこそ庇っていただいてありがとうございまし…た…、え…?」
気になって見ていたら、シャツの生地に2つの出っ張り。…乳首がはっきり見えてしまうのを隠そうとしているようだった。
乳首エッロ!!
ぽちっというより、にゅっと出ている。
酒に濡れたシャツとインナーを『染みになる前に洗濯しますから』と急かして脱いでもらった時、チラッと見えたのを思い出す。乳輪の色が濃いのが、思わず二度見してしまうくらいエロくて慌てて目を逸らしたのだが、まさか形までエロいとは…。
「…見ないでください」
小さな声。手の甲で顔を隠すようにしているが、額や耳が真っ赤になっているのが見えた。
なんだこれ、かわ…
かわいい訳あるか。50近いおっさんだぞ。
自分に言い聞かせて必死に理性を呼び戻す。
「っん…、」
オレは何を…。
艶めいた低音で、自分の状況に気づく。
オレは榊さんの胸に、吸い付いていた。
…Tシャツ越しの突起に。
「飲み直しましょうか」
オーナーから退院祝いに貰った良い酒。
いつか榊さんが家に来てくれたらと、大事にとっておいたものだ。
リビングのソファに並んで座り、それを2人で飲んでいたはずだった。
「んっ、ぁ…、」
声もエロすぎる。
「やめろ、」
あ、言葉遣い。榊さん、本当はこんな感じ?
吸うのを止め、
「…っすごい筋肉ですよね」
オレの唾液で濡れて布地が張り付いた魅力的な乳首から意識を逸らしてみる。
「…この見た目は相手の戦意を喪失させるために便利ですので」
『ご主人様』を守る仕事してるんだっけ?
榊さんも今起きたことから目を逸らすことにしたらしい。オレ達は大人だから、なかったことに…
「んんっ、やめ…、」
出来なかった。
濡れた布地越しの乳首もエロかったが、やっぱり直接触りたい。
Tシャツを捲り上げて右胸を口で吸いながら、左胸は親指と人差し指で摘んでくりくりと捏ね回す。
豊かな胸筋を揉んでみると、汗でしっとりして、ふかふかで手に良く馴染んだ。時折力んでピクピク動くのもいい。
店のカウンターで飲んでいた榊さんが電話を受けようと席を立った時、マスターに『お前の好みはデカいおっぱいか…』と揶揄われたのを思い出した。
そういえば今は亡き妻…花音の母親も乳がデカかった。人見知りの花音が妙に懐いているのはこの魅力的な胸も理由のひとつかもしれない。
貸したスウェットの下半身。乳首を舐めて吸って胸を揉んでいるだけで前が大きく膨らんでいくのが楽しい。
「イく…、乳首で…イっちゃうからやめ…、」
乳首だけでイっちゃうとか、どれだけ『ご主人様』に調教されてんだ。クソムカつくけどエロかわいい。
この前、落ち込んでたから酔わせてみたら、『ご主人様に捨てられた』って言ってたよな? なぁオレにしろよ。
乳首をキュッキュッと搾りながら乳頭の穴を尖らせた舌先で抉ってやると、オレの頭を引き剥がそうと藻搔いていた両手が、弱々しく縋るようなものに変わった。
スウェットとじっとり濡れた下着を下ろしてやると、ボロンと立派なモノが現れてヨダレを垂らしていた。
「イけ」
耳元で囁いてやると
「~~~!!」
声を抑えながらイった。
ギュッと瞑った目尻から涙が零れ落ちた。隣の部屋で寝ている花音に聞かれないためだろう。自身の手の甲に噛み付いて堪えたようだった。
涙を舌で舐め取り、ティッシュで汚れた腹を拭いてやると、ソファから身体がずり落ちて床に崩れ落ちそうになった。
その重い身体を、なんとかソファの上へ戻るよう誘導する。
男に欲情したのなんて初めての経験だ。酔っているから…だけでは説明がつかない、抗い難い魅力がこの人にはあるのだ。
引き下ろしたままのスウェットと下着を剥ぎ取り、床に落とした。
「もう…やめ…」
そう口では言っているくせに、脚、尻たぶを開かせてみれば穴がヒクヒクと蠢いていた。
「本当に嫌なら殴ってください」
あぁ、男に可愛がられてきた身体だ。
そう思ったら無性にムカついた。この人の乳首をこんな形に改造した『ご主人様』がいるのだ。
人差し指と中指を揃えて榊さんの唇に当ててやると、案の定、慣れているのか口内に受け入れて舌で唾液を塗し始めた。
抜こうと引いた指に名残惜しく纏わりつく赤い舌。トロリと透明な糸が伸びる。
クプッ、
いきなり人差し指を突っ込んでも柔らかく受け入れていく縦割れの穴。こんな所までこんなエロい形にされやがって。
ヌチヌチ動かすうち、2本目も難なく受け入れられた。
この人に本気で抵抗されれば、オレなどひとたまりもないはずだ。恐らく嫌がってはいない筈。
3本目の指も受け入れた熱い粘膜。
以前常連さんの1人から、『男は前立腺で感じる』と聞いたことがあった。
妻を亡くし、花音と2人きりの暮らしにようやく慣れてきた頃だ。『寂しくないのか?』と問われた。『女はアイツ一人でいい』と言ったら、『じゃあ男ならどうだ?』と。当時はほとんど聞き流していた知識が役に立つ日が来ると思っていなかった。
ナカを探るとコリコリした部分がすぐに見つかる。擦ってやると脚がビクビク跳ね、ピアノで鍛えた指先で力強くタップしてやると面白いくらい反応が返ってきた。
声を漏らさないよう口を手の甲で抑えながら、必死にナカを緩めようと呼吸している。その様子に誘われて、勃ち上がったオレのモノをヒクつく穴へ突っ込むことしか考えられなくなる。
「榊さん。挿れていい?」
涙を零す男が頷いてくれるのを待つ。
「それともやめる?」
迷うように、濡れた瞳が空を彷徨う。
イイところを狙い撃つようにトントンしてやると、眉間にシワを寄せながら男の唇が開いた。
「っ…、いれて…ください」
震える小さな声。
心が痛むのに、酷く興奮する。
オレってSだったのか。
前を寛げると、準備万端で痛いほどの股間を理性で押さえ付けて、安心してもらえるように微笑む。
すると、驚いたように目が見開かれた。
ズルリと指を抜き、開かせた脚を肩に担ぐと、飢えた先端を濡れた穴へ押し当てる。
「挿れるよ」
頷いてくれて良かった。もう限界だ。
グプ、
「んっ…!!」
亀頭を押し込んだ瞬間、耐えるように目を瞑り、背けるように横を向いた顔を左手で引き戻す。
唇を合わせて、噛み締めた歯列を舐めてやれば、おずおずと受け入れるように口を開き、舌を出して応えてくれる。
『ご主人様』の躾を端々に感じて、腹が立つのに興奮する。
グププブププ、
「~~~~♡♡♡」
突き当たりまで入り込み、同時に両方の乳首をギュッと摘んでやると、声を殺しながらまたイったらしい。きゅうううっと堪らない締め付けが襲ってくる。
「っく、」
挿れたばかりなのに達してしまって悔しい。
ゴムをつけ忘れたことに気付いたのは、榊さんが『中出し…気持ちいいです』と蕩けた顔で笑った時だ。
『下手くそな音を聴かせやがって!』
酔っ払いから投げつけられた言葉に、オレは傷付いていたらしい。
オレは音大どころか大学も出ちゃいない。
でも、露子さんや娘さん、オーナーや常連さん達に教えてもらった曲や技術を、毎日必死に練習して習得してきた。
「あなたのピアノは素晴らしいです」
この人が店に来てくれるたび、贈ってくれた言葉。
「音楽のことは分からないが、私はあなたの演奏が好きですよ」
目尻にできる優しいシワ。
不器用そうに上がる口角。
その言葉はお世辞じゃないと分かる。
花音を助けてくれた恩人。
それなのにオレは…。
「榊さん。…大河さん。無理矢理シてごめんなさい」
激しい抽挿を続けるうちアルコールは落ち着いて、飛んでいた理性が戻ってきた。でも腰は止まらないし、どさくさに紛れて下の名前を呼んでみた。花音が呼ぶのを正直ずっと羨ましいと思っていたのだ。
「…っ、後悔…しているのですか?」
濡れた瞳が揺れる。傷つけた?
「酔いが…醒めたら…、私の身体…気持ち悪くなりましたか?」
オレに揺さぶられながら、傷ついた目がこちらを見た。
「後悔なんかしてない!!最高に気持ちいいに決まってる!!さっきからずっと腰が止まらねぇし!」
突き当たりをノックすると、
「あっ、あっ、」
と甘い声が溢れだす。
「大河さんは? なぁ、気持ちいい?」
声を抑える事を忘れてしまったみたいだ。
「あっ、きもち…っいい、…です」
オレの背中に手を回してくれた。
「よかった。もっと気持ちよくなろうな」
片脚だけソファに下ろし、もう片方の脚を高く持ち上げると、突き当たりの『さらに奥の部屋』へ進もうとする。常連さんが教えてくれた、最後の砦。侵入されると堪らないらしい場所。
「だめっ…です。ひさし…ぶりだから。ここまでに…してください」
泣きそうに歪められた眉。肩に縋る指先は震えていて、流石に頭が冷えた。
怖がらせてどうする。
「…次はもっと奥まで受け入れてくれますか?」
そう問えば、
「また…してくれるんですか?」
大河さんは驚いたように目を瞬かせる。
マジでこの人、なんでこんなに可愛いんだ。勘弁してくれ。
「来週も店に来てください。それから、」
『あなたが好きです。また抱かせてください』。耳元で囁くと、内部が激しく痙攣し始めて、2人同時に達していた。
シルバーグレーの短い髪。
『ハチ』と同じ色。
この髪にずっと触ってみたかった。そっと撫でてみると、気持ちよさそうに目を細めてくれる。
その時だった。
廊下側のドアが開く音と、
『…おとうさん?』
花音の声が聞こえてきた。
オレ達は慌てて繋がりを解くと、濡れた身体をティッシュで拭いて、脱ぎ捨ててあった服を着るのだった。
リビングのドアが開く。
「たいがさん、おとまりですか?」
寝ぼけて舌ったらずな花音の声。
大河さんがいつものスーツではなく、オレの服を着ていたからだろう。
「あぁ。泊まってもらうよ」
と答えれば、花音は安心したようにふにゃっと笑って『またあした。おやすみなさい』と自室へ戻って行った。
「…泊まっていってくれますよね?」
恐る恐る問えば、大河さんは頷いてくれた。
「その前にシャワーをもう一度お借りできますか?」
腸へ中出しした場合、精液を掻き出しておかないと腹痛を起こしてしまうらしい。
「一緒に入ります。掻き出し方を教えてください。次はオレがしたいので」
『次』を強調すると、大河さんはまた驚いたように目を見開いた。先ほど『また抱かせて』と言ったのに、本気にしてくれていなかったらしい。
「こんなおじさんを抱きたいだなんて、変わった方ですね…」
「オレだって38です。あなたと10くらいしか違いませんよ。…それに、」
慌てていたせいで、気付いていないらしい。
Tシャツを持ち上げる、2つの突起。
腹筋の凹凸までよく見える。
「エロい乳首に豊かな胸。それだけじゃない。花音とオレを助けてくれた強くて優しい人。あなたには魅力しかありません」
「…これ、エロ…いですか?」
大河さんは驚いたように乳首に触れ、『んっ、』と自爆した。
「クソ。もう一度されたいんですか。早くシャワー行きますよ」
腰に腕を回したが、体格差がありすぎて抱き上げられそうにないのが悔しい。
「…筋トレも、教えてください」
小声で呟くと、プッ、と噴き出す音がした。
ムッとして顔を見れば、
「あぁ。分かったよ」
丁寧語じゃない『素』の話し方。
「大河さん!!」
嬉しくて抱きしめれば、
「大きな声を出すな。花音がまた起きるだろう」
と、抱き返してくれたのが嬉しい。
それからずっと、大河さんはバーに通ってピアノを聴いてくれている。
時々、アパートで飲み直して、泊まってくれるようになった。
寂しがる花音に負けて、仕事が終わるとほぼ毎日家に来てくれるようになったのは、その1週間後。
大河さんの着替えがクローゼットに置かれるようになったのはもう1週間後。
オレがしつこく吸い続けたせいで大河さんの乳首がさらに肥大化してしまったのは1年後。
高校生になった花音が大河さんに告白し、オレが慌てて『オレのだからダメ!』とこの人を抱き上げるのはそれからさらに4年後の話だ。
シャワーから出てきたホカホカの榊さん。
この人がオレの服を着て、家にいるのがまだ信じられない。スーツ姿しか見たことがなかったから不思議な感じだ。
Tシャツがキツそうで地味に凹む。身長は同じくらいなのに、やっぱり筋肉の差だろうか。やけに胸元を引っ張っている。
「いえ、こちらこそ庇っていただいてありがとうございまし…た…、え…?」
気になって見ていたら、シャツの生地に2つの出っ張り。…乳首がはっきり見えてしまうのを隠そうとしているようだった。
乳首エッロ!!
ぽちっというより、にゅっと出ている。
酒に濡れたシャツとインナーを『染みになる前に洗濯しますから』と急かして脱いでもらった時、チラッと見えたのを思い出す。乳輪の色が濃いのが、思わず二度見してしまうくらいエロくて慌てて目を逸らしたのだが、まさか形までエロいとは…。
「…見ないでください」
小さな声。手の甲で顔を隠すようにしているが、額や耳が真っ赤になっているのが見えた。
なんだこれ、かわ…
かわいい訳あるか。50近いおっさんだぞ。
自分に言い聞かせて必死に理性を呼び戻す。
「っん…、」
オレは何を…。
艶めいた低音で、自分の状況に気づく。
オレは榊さんの胸に、吸い付いていた。
…Tシャツ越しの突起に。
「飲み直しましょうか」
オーナーから退院祝いに貰った良い酒。
いつか榊さんが家に来てくれたらと、大事にとっておいたものだ。
リビングのソファに並んで座り、それを2人で飲んでいたはずだった。
「んっ、ぁ…、」
声もエロすぎる。
「やめろ、」
あ、言葉遣い。榊さん、本当はこんな感じ?
吸うのを止め、
「…っすごい筋肉ですよね」
オレの唾液で濡れて布地が張り付いた魅力的な乳首から意識を逸らしてみる。
「…この見た目は相手の戦意を喪失させるために便利ですので」
『ご主人様』を守る仕事してるんだっけ?
榊さんも今起きたことから目を逸らすことにしたらしい。オレ達は大人だから、なかったことに…
「んんっ、やめ…、」
出来なかった。
濡れた布地越しの乳首もエロかったが、やっぱり直接触りたい。
Tシャツを捲り上げて右胸を口で吸いながら、左胸は親指と人差し指で摘んでくりくりと捏ね回す。
豊かな胸筋を揉んでみると、汗でしっとりして、ふかふかで手に良く馴染んだ。時折力んでピクピク動くのもいい。
店のカウンターで飲んでいた榊さんが電話を受けようと席を立った時、マスターに『お前の好みはデカいおっぱいか…』と揶揄われたのを思い出した。
そういえば今は亡き妻…花音の母親も乳がデカかった。人見知りの花音が妙に懐いているのはこの魅力的な胸も理由のひとつかもしれない。
貸したスウェットの下半身。乳首を舐めて吸って胸を揉んでいるだけで前が大きく膨らんでいくのが楽しい。
「イく…、乳首で…イっちゃうからやめ…、」
乳首だけでイっちゃうとか、どれだけ『ご主人様』に調教されてんだ。クソムカつくけどエロかわいい。
この前、落ち込んでたから酔わせてみたら、『ご主人様に捨てられた』って言ってたよな? なぁオレにしろよ。
乳首をキュッキュッと搾りながら乳頭の穴を尖らせた舌先で抉ってやると、オレの頭を引き剥がそうと藻搔いていた両手が、弱々しく縋るようなものに変わった。
スウェットとじっとり濡れた下着を下ろしてやると、ボロンと立派なモノが現れてヨダレを垂らしていた。
「イけ」
耳元で囁いてやると
「~~~!!」
声を抑えながらイった。
ギュッと瞑った目尻から涙が零れ落ちた。隣の部屋で寝ている花音に聞かれないためだろう。自身の手の甲に噛み付いて堪えたようだった。
涙を舌で舐め取り、ティッシュで汚れた腹を拭いてやると、ソファから身体がずり落ちて床に崩れ落ちそうになった。
その重い身体を、なんとかソファの上へ戻るよう誘導する。
男に欲情したのなんて初めての経験だ。酔っているから…だけでは説明がつかない、抗い難い魅力がこの人にはあるのだ。
引き下ろしたままのスウェットと下着を剥ぎ取り、床に落とした。
「もう…やめ…」
そう口では言っているくせに、脚、尻たぶを開かせてみれば穴がヒクヒクと蠢いていた。
「本当に嫌なら殴ってください」
あぁ、男に可愛がられてきた身体だ。
そう思ったら無性にムカついた。この人の乳首をこんな形に改造した『ご主人様』がいるのだ。
人差し指と中指を揃えて榊さんの唇に当ててやると、案の定、慣れているのか口内に受け入れて舌で唾液を塗し始めた。
抜こうと引いた指に名残惜しく纏わりつく赤い舌。トロリと透明な糸が伸びる。
クプッ、
いきなり人差し指を突っ込んでも柔らかく受け入れていく縦割れの穴。こんな所までこんなエロい形にされやがって。
ヌチヌチ動かすうち、2本目も難なく受け入れられた。
この人に本気で抵抗されれば、オレなどひとたまりもないはずだ。恐らく嫌がってはいない筈。
3本目の指も受け入れた熱い粘膜。
以前常連さんの1人から、『男は前立腺で感じる』と聞いたことがあった。
妻を亡くし、花音と2人きりの暮らしにようやく慣れてきた頃だ。『寂しくないのか?』と問われた。『女はアイツ一人でいい』と言ったら、『じゃあ男ならどうだ?』と。当時はほとんど聞き流していた知識が役に立つ日が来ると思っていなかった。
ナカを探るとコリコリした部分がすぐに見つかる。擦ってやると脚がビクビク跳ね、ピアノで鍛えた指先で力強くタップしてやると面白いくらい反応が返ってきた。
声を漏らさないよう口を手の甲で抑えながら、必死にナカを緩めようと呼吸している。その様子に誘われて、勃ち上がったオレのモノをヒクつく穴へ突っ込むことしか考えられなくなる。
「榊さん。挿れていい?」
涙を零す男が頷いてくれるのを待つ。
「それともやめる?」
迷うように、濡れた瞳が空を彷徨う。
イイところを狙い撃つようにトントンしてやると、眉間にシワを寄せながら男の唇が開いた。
「っ…、いれて…ください」
震える小さな声。
心が痛むのに、酷く興奮する。
オレってSだったのか。
前を寛げると、準備万端で痛いほどの股間を理性で押さえ付けて、安心してもらえるように微笑む。
すると、驚いたように目が見開かれた。
ズルリと指を抜き、開かせた脚を肩に担ぐと、飢えた先端を濡れた穴へ押し当てる。
「挿れるよ」
頷いてくれて良かった。もう限界だ。
グプ、
「んっ…!!」
亀頭を押し込んだ瞬間、耐えるように目を瞑り、背けるように横を向いた顔を左手で引き戻す。
唇を合わせて、噛み締めた歯列を舐めてやれば、おずおずと受け入れるように口を開き、舌を出して応えてくれる。
『ご主人様』の躾を端々に感じて、腹が立つのに興奮する。
グププブププ、
「~~~~♡♡♡」
突き当たりまで入り込み、同時に両方の乳首をギュッと摘んでやると、声を殺しながらまたイったらしい。きゅうううっと堪らない締め付けが襲ってくる。
「っく、」
挿れたばかりなのに達してしまって悔しい。
ゴムをつけ忘れたことに気付いたのは、榊さんが『中出し…気持ちいいです』と蕩けた顔で笑った時だ。
『下手くそな音を聴かせやがって!』
酔っ払いから投げつけられた言葉に、オレは傷付いていたらしい。
オレは音大どころか大学も出ちゃいない。
でも、露子さんや娘さん、オーナーや常連さん達に教えてもらった曲や技術を、毎日必死に練習して習得してきた。
「あなたのピアノは素晴らしいです」
この人が店に来てくれるたび、贈ってくれた言葉。
「音楽のことは分からないが、私はあなたの演奏が好きですよ」
目尻にできる優しいシワ。
不器用そうに上がる口角。
その言葉はお世辞じゃないと分かる。
花音を助けてくれた恩人。
それなのにオレは…。
「榊さん。…大河さん。無理矢理シてごめんなさい」
激しい抽挿を続けるうちアルコールは落ち着いて、飛んでいた理性が戻ってきた。でも腰は止まらないし、どさくさに紛れて下の名前を呼んでみた。花音が呼ぶのを正直ずっと羨ましいと思っていたのだ。
「…っ、後悔…しているのですか?」
濡れた瞳が揺れる。傷つけた?
「酔いが…醒めたら…、私の身体…気持ち悪くなりましたか?」
オレに揺さぶられながら、傷ついた目がこちらを見た。
「後悔なんかしてない!!最高に気持ちいいに決まってる!!さっきからずっと腰が止まらねぇし!」
突き当たりをノックすると、
「あっ、あっ、」
と甘い声が溢れだす。
「大河さんは? なぁ、気持ちいい?」
声を抑える事を忘れてしまったみたいだ。
「あっ、きもち…っいい、…です」
オレの背中に手を回してくれた。
「よかった。もっと気持ちよくなろうな」
片脚だけソファに下ろし、もう片方の脚を高く持ち上げると、突き当たりの『さらに奥の部屋』へ進もうとする。常連さんが教えてくれた、最後の砦。侵入されると堪らないらしい場所。
「だめっ…です。ひさし…ぶりだから。ここまでに…してください」
泣きそうに歪められた眉。肩に縋る指先は震えていて、流石に頭が冷えた。
怖がらせてどうする。
「…次はもっと奥まで受け入れてくれますか?」
そう問えば、
「また…してくれるんですか?」
大河さんは驚いたように目を瞬かせる。
マジでこの人、なんでこんなに可愛いんだ。勘弁してくれ。
「来週も店に来てください。それから、」
『あなたが好きです。また抱かせてください』。耳元で囁くと、内部が激しく痙攣し始めて、2人同時に達していた。
シルバーグレーの短い髪。
『ハチ』と同じ色。
この髪にずっと触ってみたかった。そっと撫でてみると、気持ちよさそうに目を細めてくれる。
その時だった。
廊下側のドアが開く音と、
『…おとうさん?』
花音の声が聞こえてきた。
オレ達は慌てて繋がりを解くと、濡れた身体をティッシュで拭いて、脱ぎ捨ててあった服を着るのだった。
リビングのドアが開く。
「たいがさん、おとまりですか?」
寝ぼけて舌ったらずな花音の声。
大河さんがいつものスーツではなく、オレの服を着ていたからだろう。
「あぁ。泊まってもらうよ」
と答えれば、花音は安心したようにふにゃっと笑って『またあした。おやすみなさい』と自室へ戻って行った。
「…泊まっていってくれますよね?」
恐る恐る問えば、大河さんは頷いてくれた。
「その前にシャワーをもう一度お借りできますか?」
腸へ中出しした場合、精液を掻き出しておかないと腹痛を起こしてしまうらしい。
「一緒に入ります。掻き出し方を教えてください。次はオレがしたいので」
『次』を強調すると、大河さんはまた驚いたように目を見開いた。先ほど『また抱かせて』と言ったのに、本気にしてくれていなかったらしい。
「こんなおじさんを抱きたいだなんて、変わった方ですね…」
「オレだって38です。あなたと10くらいしか違いませんよ。…それに、」
慌てていたせいで、気付いていないらしい。
Tシャツを持ち上げる、2つの突起。
腹筋の凹凸までよく見える。
「エロい乳首に豊かな胸。それだけじゃない。花音とオレを助けてくれた強くて優しい人。あなたには魅力しかありません」
「…これ、エロ…いですか?」
大河さんは驚いたように乳首に触れ、『んっ、』と自爆した。
「クソ。もう一度されたいんですか。早くシャワー行きますよ」
腰に腕を回したが、体格差がありすぎて抱き上げられそうにないのが悔しい。
「…筋トレも、教えてください」
小声で呟くと、プッ、と噴き出す音がした。
ムッとして顔を見れば、
「あぁ。分かったよ」
丁寧語じゃない『素』の話し方。
「大河さん!!」
嬉しくて抱きしめれば、
「大きな声を出すな。花音がまた起きるだろう」
と、抱き返してくれたのが嬉しい。
それからずっと、大河さんはバーに通ってピアノを聴いてくれている。
時々、アパートで飲み直して、泊まってくれるようになった。
寂しがる花音に負けて、仕事が終わるとほぼ毎日家に来てくれるようになったのは、その1週間後。
大河さんの着替えがクローゼットに置かれるようになったのはもう1週間後。
オレがしつこく吸い続けたせいで大河さんの乳首がさらに肥大化してしまったのは1年後。
高校生になった花音が大河さんに告白し、オレが慌てて『オレのだからダメ!』とこの人を抱き上げるのはそれからさらに4年後の話だ。
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