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その後の話
再会 〜久瀬家にて(中編)
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「おいしいね!」
杏が笑顔で食べてくれているのが嬉しい。
母屋の居間。大きな食卓を囲むのは、久瀬社長こと寛さん、陽子さん、優斗さん、杏、優馬、大志さん。それに詩音とオレの8人だ。
少し離れたところに柚くんが寝ている。
あと、三毛猫が1匹。『ミイ』という名前らしい。オレたちがこの家に入ってきてからは警戒して姿を消していたそうだが、匂いに誘われたのか寛さんの背後に待機している。離れには犬の『フウスケ』もいるらしい。機会があれば撫でさせてもらえないだろうか。
唐揚げはすっかり冷めてしまっているが、蒸気がこもらないよう気を付けて持って来たから、表面はあまり湿っていなくてホッとした。
「すげえうまい! なぁ凛、うちに住めよ。んで、毎日作ってほしい!」
興奮したように褒めてくれる彼の横では、大志さんが無言だ。だが箸を止めることなく早いペースで食べているから気に入ってくれたようだ。
「…兄さん」
「無茶言わないの。レシピを教わって、自分で作りなさい」
困ったような優斗さん。陽子さんがピシャリと言い、『私が作った煮物はどうなの?』とにっこり微笑む。
『家族』の気安い会話。
右隣に座った詩音の左手が、オレの膝に触れた。すぅ、と大きく息を吸うと、意を決して口を開く。
「唐揚げは、オレの亡くなった父が教えてくれた作り方なんです。…だから、褒めてもらえて嬉しいです」
だからなんだ、と言われればそれまでの話だ。でもオレは…。
「まぁ、お父様が…。杏のおじいちゃんね。私も唐揚げは作るけど、ここまで美味しくできないのよ。ぜひ私にも教えてほしいわ」
「僕も教えてほしいな。下拵えは杏も手伝ってね」
陽子さんに続いて、優斗さんがオレの望みを察して口に出してくれた。
杏がオレの顔をじっと見る。
そして、こくりと頷いてくれた。
◇
「凛くん。字は上手?」
食事を終えると陽子さんがオレを見た。
オレの字か…。どうだろう?
すると、詩音がはっきり答えた。
「凛の字は力強く跳ねてカッコいい」
「…それってどうなんだ?…ええと、少しクセ字かもしれませんが」
背後に置いてあったバッグから手帳を出して、書いた文字を見てもらう。
「これなら十分。小学校で使う杏の持ち物に名前を書いてあげてほしいの」
そういえば子どもの頃、胸につける名札を始め、ランドセルや上履き、体操服など、両親が名前を書いてくれた記憶がある。算数で使う道具セットも、細かいものがたくさんあって大変そうだった。
陽子さんによると、この辺りの地域では未だスタンプやシールを使わず、親が手書きしてあげることが多いらしい。
オレにとっては、杏が身に付ける物に名前を書かせてもらえるのはとても魅力的な誘いだった。文字だけでも側にいられる気がして。
だが、『久瀬 杏』となったこの子の名を、オレが書いてもいいのだろうか?
「僕は幼稚園に入園する時書かせてもらったので、凛さんが書いてくれるとありがたいです」
オレの逡巡を察したように、優斗さんが背中を押してくれる。
「杏が許してくれるなら」
杏の目が、オレを見ている。そして、隣に座る優斗さんを見る。
「僕…、パパに書いてほしい」
「…杏。僕が書いた方がいいの?」
「…うん。僕…、パパが書いてくれるのがいい」
ぽつりと杏の声が響いた。
…そうだよな。いきなり写真でしか見たことない男に『お前のお父さんだ』なんて言われたって困るよな…。
優斗さんのことを『パパ』と呼ぶその声は柔らかい。『お父さん』とオレを呼ぶ硬い声とは明らかに違う。
2人が過ごしてきた歳月の長さを見せつけられているようだ。
仕方ないことだと分かっている。
この子から離れることを選んだのはオレだ。
でも、
あぁ。…悔しいなぁ。
この子が大きくなるところを、オレが隣で見ていたかった。
幼稚園の入園準備だって、オレがやりたかった。
こんなふうに、信頼した視線を向けてほしかった。
「えー、優斗だけかよ。1人じゃ大変だろーが。杏、オレたちにも手伝わせろって」
優馬が大志さんの手を握り持ち上げて、2人分の挙手をしている。
「大志はともかく…お前は字が下手だからダメだ」
寛さんが首を振る。
「ハァ?親父だってオレと似たようなもんだろーが」
「いや、オレの方がお前よりは上手い」
いつも穏やかな寛さんが、優馬と子どもみたいな喧嘩を始めた。猫のミイは迷惑そうな顔で襖の隙間から部屋を出て行く。
「それ、この人も書いちゃだめなのか?」
いつの間にかギュッと握りしめていた手に、詩音の手が重ねられた。
「…お父さんも?」
この男は誰なのだろう、そう警戒したような光が杏の瞳に宿る。
「この人はお前の父親だろう。…オレには生まれた時から父親がいない。だから、こんなにお前を大事に思ってくれる親がいて羨ましく思う」
「お兄さんにはお父さんがいないの?」
「ああ、いない。オレにとって、大事な家族は凛…この人だけだ。だがお前には、こんなに沢山の家族がいるじゃないか」
「僕の家族…。でも、ママはいないよ。…ママはお父さんだけじゃなくて、僕のことも…? パパと柚のこともいらなくなったの?」
その言葉に、優斗さんが杏を抱きしめる。
「ママは疲れてるんだよ。今は1人で休みたいって。決して杏のことをいらなくなったわけじゃない」
「うそだ! ママは僕のことなんか見てないもん! 僕を見ても、『りん、ごめんね』っていつも謝ってばっかだもん!うわぁーん!!」
優斗さんを振り払い、泣き出してしまった杏につられるように、寝ていた柚くんも激しく泣き始めてしまった。
陽子さんは呆然とする優斗さんの腕に柚くんを抱かせると、杏の小さな身体を抱きしめた。
杏…。
オレには、この子を抱きしめる資格がない。
父親とさえ思われていないオレに、
この子の手を離したオレに、
その資格はない。
「…凛。すまない。オレが余計なことを言ったから…。オレが…、オレのせいで…、」
泣きじゃくる杏の背を抱く陽子さん。その光景をぼんやり見つめることしか出来なかったオレの手から、詩音の手が離れていく。
はっとして、詩音の手を掴む。
「詩音。廊下に出よう」
居間の障子を開け、長い廊下を2人で歩いた。
オレは詩音の震える手を掴んだまま。
「凛。ごめん。オレが…、」
「もう謝らなくていい、詩音。オレはお前を選んだんだ」
こいつと生きていく。
そう決めた時、杏のことを切り捨てたのはオレだった。
『会いたい』と言ったアズと会わない決断をしたのもオレだ。
今更なにを被害者ぶるつもりだ?
「言っただろう? これからは2人で背負うって。オレたちは『連れ合い』なんだから」
「…うん」
掴んだままだった詩音の手を強く引き、両腕を広げれば、向かってきた大きな身体がすっぽりと手に馴染んだ。
どく、どく、と心臓からの脈が互いの胸を打つ。
「オレの一番はお前だ。いつか、…あの子がオレを受け入れてくれる日が来たら、『大事な人』だってお前を紹介するよ」
チュッと口付ければ、
「うん。…凛、いつか、受け入れてもらえる筈だ。あの子はお前が、大事に育てた息子なんだから」
ようやくポジティブな言葉が返ってきた。
「そうだな」
居間に戻ると、杏は泣き止んでいた。
「オレたち、今日は帰ります」
詩音と2人で話し合い、初対面同然だというのに話を進め過ぎたのではないか、という結論に達したのだ。
「…ぇ?」
杏は何故かオレの方を見て、酷く悲しそうな顔をした。
「寂しいことを言わないで。これからみんなで出かけようと話していたところなのよ」
陽子さんがベビーカーで回れる散歩ルートの話をしてくれた。
「それにね…。ほら、杏。お父さんにお願いがあるんでしょう?」
「…お父さん。今日の夜、寝るとき…柚に絵本を読んであげて」
柚くんに?
「今夜は母屋で僕たちと一緒に寝ましょう。柚は夜中も目を覚まさずに寝てくれますから大丈夫ですよ」
優斗さんがご機嫌になった柚くんをあやしながら言う。
「んで、お前はオレたちの家な。一緒に飲もう!」
優馬が詩音の肩を叩き、大志さんが大きく頷いた。しっかりと優馬の身体を抱え込みながら。
杏が笑顔で食べてくれているのが嬉しい。
母屋の居間。大きな食卓を囲むのは、久瀬社長こと寛さん、陽子さん、優斗さん、杏、優馬、大志さん。それに詩音とオレの8人だ。
少し離れたところに柚くんが寝ている。
あと、三毛猫が1匹。『ミイ』という名前らしい。オレたちがこの家に入ってきてからは警戒して姿を消していたそうだが、匂いに誘われたのか寛さんの背後に待機している。離れには犬の『フウスケ』もいるらしい。機会があれば撫でさせてもらえないだろうか。
唐揚げはすっかり冷めてしまっているが、蒸気がこもらないよう気を付けて持って来たから、表面はあまり湿っていなくてホッとした。
「すげえうまい! なぁ凛、うちに住めよ。んで、毎日作ってほしい!」
興奮したように褒めてくれる彼の横では、大志さんが無言だ。だが箸を止めることなく早いペースで食べているから気に入ってくれたようだ。
「…兄さん」
「無茶言わないの。レシピを教わって、自分で作りなさい」
困ったような優斗さん。陽子さんがピシャリと言い、『私が作った煮物はどうなの?』とにっこり微笑む。
『家族』の気安い会話。
右隣に座った詩音の左手が、オレの膝に触れた。すぅ、と大きく息を吸うと、意を決して口を開く。
「唐揚げは、オレの亡くなった父が教えてくれた作り方なんです。…だから、褒めてもらえて嬉しいです」
だからなんだ、と言われればそれまでの話だ。でもオレは…。
「まぁ、お父様が…。杏のおじいちゃんね。私も唐揚げは作るけど、ここまで美味しくできないのよ。ぜひ私にも教えてほしいわ」
「僕も教えてほしいな。下拵えは杏も手伝ってね」
陽子さんに続いて、優斗さんがオレの望みを察して口に出してくれた。
杏がオレの顔をじっと見る。
そして、こくりと頷いてくれた。
◇
「凛くん。字は上手?」
食事を終えると陽子さんがオレを見た。
オレの字か…。どうだろう?
すると、詩音がはっきり答えた。
「凛の字は力強く跳ねてカッコいい」
「…それってどうなんだ?…ええと、少しクセ字かもしれませんが」
背後に置いてあったバッグから手帳を出して、書いた文字を見てもらう。
「これなら十分。小学校で使う杏の持ち物に名前を書いてあげてほしいの」
そういえば子どもの頃、胸につける名札を始め、ランドセルや上履き、体操服など、両親が名前を書いてくれた記憶がある。算数で使う道具セットも、細かいものがたくさんあって大変そうだった。
陽子さんによると、この辺りの地域では未だスタンプやシールを使わず、親が手書きしてあげることが多いらしい。
オレにとっては、杏が身に付ける物に名前を書かせてもらえるのはとても魅力的な誘いだった。文字だけでも側にいられる気がして。
だが、『久瀬 杏』となったこの子の名を、オレが書いてもいいのだろうか?
「僕は幼稚園に入園する時書かせてもらったので、凛さんが書いてくれるとありがたいです」
オレの逡巡を察したように、優斗さんが背中を押してくれる。
「杏が許してくれるなら」
杏の目が、オレを見ている。そして、隣に座る優斗さんを見る。
「僕…、パパに書いてほしい」
「…杏。僕が書いた方がいいの?」
「…うん。僕…、パパが書いてくれるのがいい」
ぽつりと杏の声が響いた。
…そうだよな。いきなり写真でしか見たことない男に『お前のお父さんだ』なんて言われたって困るよな…。
優斗さんのことを『パパ』と呼ぶその声は柔らかい。『お父さん』とオレを呼ぶ硬い声とは明らかに違う。
2人が過ごしてきた歳月の長さを見せつけられているようだ。
仕方ないことだと分かっている。
この子から離れることを選んだのはオレだ。
でも、
あぁ。…悔しいなぁ。
この子が大きくなるところを、オレが隣で見ていたかった。
幼稚園の入園準備だって、オレがやりたかった。
こんなふうに、信頼した視線を向けてほしかった。
「えー、優斗だけかよ。1人じゃ大変だろーが。杏、オレたちにも手伝わせろって」
優馬が大志さんの手を握り持ち上げて、2人分の挙手をしている。
「大志はともかく…お前は字が下手だからダメだ」
寛さんが首を振る。
「ハァ?親父だってオレと似たようなもんだろーが」
「いや、オレの方がお前よりは上手い」
いつも穏やかな寛さんが、優馬と子どもみたいな喧嘩を始めた。猫のミイは迷惑そうな顔で襖の隙間から部屋を出て行く。
「それ、この人も書いちゃだめなのか?」
いつの間にかギュッと握りしめていた手に、詩音の手が重ねられた。
「…お父さんも?」
この男は誰なのだろう、そう警戒したような光が杏の瞳に宿る。
「この人はお前の父親だろう。…オレには生まれた時から父親がいない。だから、こんなにお前を大事に思ってくれる親がいて羨ましく思う」
「お兄さんにはお父さんがいないの?」
「ああ、いない。オレにとって、大事な家族は凛…この人だけだ。だがお前には、こんなに沢山の家族がいるじゃないか」
「僕の家族…。でも、ママはいないよ。…ママはお父さんだけじゃなくて、僕のことも…? パパと柚のこともいらなくなったの?」
その言葉に、優斗さんが杏を抱きしめる。
「ママは疲れてるんだよ。今は1人で休みたいって。決して杏のことをいらなくなったわけじゃない」
「うそだ! ママは僕のことなんか見てないもん! 僕を見ても、『りん、ごめんね』っていつも謝ってばっかだもん!うわぁーん!!」
優斗さんを振り払い、泣き出してしまった杏につられるように、寝ていた柚くんも激しく泣き始めてしまった。
陽子さんは呆然とする優斗さんの腕に柚くんを抱かせると、杏の小さな身体を抱きしめた。
杏…。
オレには、この子を抱きしめる資格がない。
父親とさえ思われていないオレに、
この子の手を離したオレに、
その資格はない。
「…凛。すまない。オレが余計なことを言ったから…。オレが…、オレのせいで…、」
泣きじゃくる杏の背を抱く陽子さん。その光景をぼんやり見つめることしか出来なかったオレの手から、詩音の手が離れていく。
はっとして、詩音の手を掴む。
「詩音。廊下に出よう」
居間の障子を開け、長い廊下を2人で歩いた。
オレは詩音の震える手を掴んだまま。
「凛。ごめん。オレが…、」
「もう謝らなくていい、詩音。オレはお前を選んだんだ」
こいつと生きていく。
そう決めた時、杏のことを切り捨てたのはオレだった。
『会いたい』と言ったアズと会わない決断をしたのもオレだ。
今更なにを被害者ぶるつもりだ?
「言っただろう? これからは2人で背負うって。オレたちは『連れ合い』なんだから」
「…うん」
掴んだままだった詩音の手を強く引き、両腕を広げれば、向かってきた大きな身体がすっぽりと手に馴染んだ。
どく、どく、と心臓からの脈が互いの胸を打つ。
「オレの一番はお前だ。いつか、…あの子がオレを受け入れてくれる日が来たら、『大事な人』だってお前を紹介するよ」
チュッと口付ければ、
「うん。…凛、いつか、受け入れてもらえる筈だ。あの子はお前が、大事に育てた息子なんだから」
ようやくポジティブな言葉が返ってきた。
「そうだな」
居間に戻ると、杏は泣き止んでいた。
「オレたち、今日は帰ります」
詩音と2人で話し合い、初対面同然だというのに話を進め過ぎたのではないか、という結論に達したのだ。
「…ぇ?」
杏は何故かオレの方を見て、酷く悲しそうな顔をした。
「寂しいことを言わないで。これからみんなで出かけようと話していたところなのよ」
陽子さんがベビーカーで回れる散歩ルートの話をしてくれた。
「それにね…。ほら、杏。お父さんにお願いがあるんでしょう?」
「…お父さん。今日の夜、寝るとき…柚に絵本を読んであげて」
柚くんに?
「今夜は母屋で僕たちと一緒に寝ましょう。柚は夜中も目を覚まさずに寝てくれますから大丈夫ですよ」
優斗さんがご機嫌になった柚くんをあやしながら言う。
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