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溢れる想い*

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 久しぶりに訪れた先輩の家。
 甘い香りが僕を包み込む。

「何か飲む?」

「じゃあ、冷たいお茶を
 喉が乾いてしまって」

「ちょっと待ってて」

 持ってきてくれたお茶を一気に飲む。
 乾いた喉が潤って一息つく。
 
 ストーカーの真相を知りたくて、僕は先輩に問いかけた。

「ストーカーって言ってましたけど、どういうことですか?
 僕の家知らないはずなのに、毎日来てたって」

「前に後をつけた事あって、その時に知った」

「いつですか?」

「夏休み入る前」

「学校から?」

「そう」

「僕自転車ですけど」

「その時は自転車借りた」

「嘘でしょ?」

 全然気付かなった。

「ごめん」

「どうしてそんな事を?」

「あおのこと一目見たくて
 いつもは見たら俺も勉強あるし帰るんだけど、今日は前髪で顔隠してないから気になって後をつけてた」

「なんですか、それ?
 普通に会ったり電話してくれればいいじゃないですか
 僕は先輩の事好きだから会いたくて、会えないかって聞いたし、声が聞きたくて電話したのに」

「あお、もう1回言ってくんない?」

「普通に会ったり電話してくれればいいじゃないですか?」

「その後」

「会えないか聞いたし、電話したし?」

「その前」

「何か言いました?」

「どうして会えないか聞いてきたり、電話くれたりしたの?」

「だって先輩のことが……」

 あれ、僕なんて言った?
 さっき好きって口走ったりしてないよね?

「なに?」

「いや、あの……」

「あお?」
 
 もう誤魔化しても仕方がない。

「……好きだからです
 大好きだから会いたかったし、声が聞きたかった」

「そうなの?」

「そうです」

「もう1回聞かせて」

「えぇ!?
 もう恥ずかしいです……」

「何回でも聞きたくなる」

「どうしてですか?」

「嬉しいから」

「嬉しいんですか?」

「嬉しいに決まってるじゃん
 だってあおのこと好きだもん」

 好き?
 僕の事を?

「僕の事好きなんですか?」

「好きだよ、じゃなきゃストーカーみたいな事しないって」

「どうしてそうなっちゃったんですか?」

「見たんだよ
 あの女とキスしてるとこ」

「キス??
 女の子とキスしたことないんですけど……
 先輩としかしたことないし」

「だって、隣の席のやつとご飯食べてた時してたじゃん」

 隣の席の子?
 白石さん?
 ……まさかあの時の?
 キスしてるように見えたの!?

「ちがっ、誤解です
 まつげ取ってくれただけで……」

「仲良さげに歩いてたし、いい感じなのかと思った
 だからもう連絡しないほうがいいと思って」

「そんな訳ないじゃないですか
 それなら先輩に好きな人がいるからやめたいって言ってます」

「俺そんな事言われたら立ち直れなかったかも」

「言ってないからショック受けた顔しないで下さい
 僕は先輩が好きだって言ってるでしょ?」

「でもあっちは好きだっただろ?」

「……そうですね、告白はされました」

「やっぱり、あの女わざとやりやがったな
 手紙は別の女?」

「あれも彼女です」

「はぁ……」

「ものすごい勘違いですね
 1回見たくらいでそんなふうにならないでくださいよ
 僕なんて先輩が女の子とイチャついてるとこ何回見てきたと思ってるんですか?」

「イチャついてねーし
 あいつらが勝手に纏わりついてくるだけだし」

 そうかもしれないけど。
 めちゃくちゃ嫌な気持ちにさせられたのに。
 
「もう他のやつに優しくすんな」

「別に優しくしてないです」

「あおのこと誰にも取られたくない」

 先輩が僕の事を抱きしめた。
 
「取られないです」

「俺しか見んな」

「先輩しか見えてないです」

 抱きしめられた体を離して、優しくキスをした。
 どうしてこんなに愛おしいんだろう。

「もう全部言うけど、俺さ、あおのことずっと前から見てた」

「ずっと前?」

「花壇の写真撮ってた時から」

 花壇の写真?

「見てたんですか?
 何か視線を感じた気がしたんです」

「あんな事されたの初めてでさ
 すげー嬉しくて 
 こいつどんなやつなんだろうって
 見た目のインパクトもあったから気になって、ずっと目で追ってた」

「だから顔をあげるといつもいたんですね
 僕はとても怖かったです」

「そうなの?
 確かに目合ったと思ったらすごい勢いで逸してたもんな」

「先輩見た目怖かったし
 今は怖くないですよ、全然」

「あおは優しいし真面目だから困ってる人がいたら助けてあげるし、率先してみんなやりたがらない片付けやったりゴミ捨てたりしてた」

「いや、それ僕じゃないです」

「あおだよ
 こいつすげーなって思った
 誰に褒められるわけでもないのにさ」

 僕そんな事していたかな?
 全然知らない人のことみたいで自分の事とはやっぱり思えない。

「それでぶつかった時に初めて顔を見て、めちゃくちゃタイプだし、こいつしかいない、絶対に逃さないって思った」

「先輩ってどうして抱かれたいって思うようになったんですか?」

「たまたま見たゲイビの影響
 気になってアナルいじってたらどんどんはまって、本物のチンコ欲しくなった」

「だからあの時チンコゲットって言って喜んでたんだ」

「よく覚えてんな」

「忘れられませんよ
 衝撃的だったんで」

「あの時はごめん
 めちゃくちゃ必死だったから」

「お陰で先輩と過ごせるようになったからいいです」

「あおが思ってるより、俺あおの事好きなんだよ
 自分から連絡すんのやめたのに、あおのこと好き過ぎてストーカーになっちまうくらい」

「僕もたぶん先輩が思ってるより先輩の事好きですよ」

「あお、俺と付き合ってくれる?」

 先輩が僕の手に口付けた。

「よろしくお願いします
 でいいんですかね?
 初めてだから何て返事をしたらいいか分からないで……」

 言い終わる前にキスをされた。

「かわいいな、あおは」

 かわいいって言葉は嫌いだけど、先輩にだけはかわいいと思われてもいい。

「もっといっぱいして下さい」

 目を閉じて先輩がキスしてくれるのを待つ。

「はぁー、かわいい顔しやがって」

 先輩が笑いながらキスをしてくれた。
 初めてこの顔でよかったと思った。
 チュッチュッと軽く何度も唇を合わせていく。
 
「物足りない?」

「ンッ、足りない」

 舌を出して先輩の口に含んでもらう。
 先輩の舌が入ってきて僕の口の中を舐める。
 舌を絡ませていると先輩の手が僕の股間に触れた。
 
「勃ってきた」

 僕も先輩の股間に触れる

「先輩も人のこと言えない」

「しよっか?」

「する
 今日はバスタオル敷いてないんですか?」

「いつもはあお来るって分かってるから」

「じゃあ用意したほうがいいですよ?
 いっぱい汚しちゃいそう」

「めちゃくちゃ煽ってくるじゃん
 持ってくるから服脱いで待ってて」

 服を脱いで、パンツ姿になると先輩がたくさんバスタオルを持ってきて笑ってしまった。
 僕が敷いてる間に先輩が服を脱いで、ベッドに上がってきた。
 ベッドに寝転んだ先輩の上に覆い被さって何度もキスをしていると、先輩が股間を擦り付けるように腰を揺らし始めた。

 唇を離して先輩の体をくまなく味わっていく。
 甘い香りが僕の欲を唆る。
 パンツ越しに先輩のものに触れると反応した。
 中に手を入れてガチガチになっている先輩のものを出してあげる。
 そのままパンツをおろして、先輩のものを触りながら口に含んでジュボジュボと音を立てて吸い上げると、先輩が甘い声を上げた。

 「あおのも甜めたい」と言われて、パンツを脱ぎ先輩の顔の方に僕のものを向ける。
 気持ちが良くて力が入らなくなってくる。

「アッアッ……あお、イク……」

「ン……僕も……ア゛ッ…………!!」

 僕は先輩の口の中に吐精した。
 先輩の精液も僕の口の中に入ってきて、それを全て飲み干す。

 先輩の方を見ると舌をぺろりと舐めて、物欲しそうな顔をしていた。

「ここに欲しい?」

 先輩の後孔に手を這わせて尋ねる。

「欲しい」

 体制を変えようと離れると先輩が四つん這いになってお尻を向けてきた。
 孔の中に指を差し挿れる。
 しばらくしていなかったのに、すんなりと入った。

「先輩一人でしてたんですか?」

 僕は先輩の好きなところを刺激しながら問いかけた。

「ア゛っ、アァっ……そこ……アッァ」

「すんなり入るですよね」

「アゥ……した……してた」

「ゲイビ見ながら?」

「違う、あおのこと」

「僕の事を想像して?」

「ウッ……アッぁ、そう……」

「そっか」

 嬉しくて先輩の中を掻き回す。
 先輩の声が止まらない。

「あお、挿れて欲しい……」

「うん、僕も入りたい」

 指を引き抜き、素早くゴムをつけて、腰を持ってそのまま一気に貫く。
 バックが好きな先輩は嬌声を上げた。
 中をゆっくりと堪能していると、また先輩はイッてしまった。

「先輩、顔見てしたい」

 一度引き抜いて仰向けになってもらい、足を持ち上げて限界まで挿れる。
 乱れる先輩を見下ろしながら僕は夢中で腰を振った。

「アッァッ、はげしい……
 ヤダ、また……イク……」

 先輩が激しく叫びながらイッた。

「アッアァ……ヤバい
 イグの止まんない゛……」

 ビクビクと何回も先輩がイッてる。
 締め付けが半端ない。
 僕の動きに合わせて先輩が喘ぐ。
 それがたまらなくかわいい。

「いっぱいイッて下さいね
 僕も気持ちいいから」

 腰を振って先輩の中に僕を刻みつける。
 この中に入っていいのは僕だけ。
 誰にも渡さない。

「先輩、大好き」

「うん……おれも……」

 限界が近づいてくる。
 律動を早めて、一気に高みへ駆け上がる。
 
「クッ……アァっ」

「ア゛ッ――――――!!」

 先輩の上に倒れ込んで荒い息を吐く。
 少し体を起こして先輩にキスをした。
 僕の事を優しい目で見つめてくれる。
 あぁ、好きだ。
 好きすぎておかしくなりそう。

「あお、好きだ」

「もう言わなくていいです
 はずかしくなってきた……」

「言わせてよ、いっぱい
 今まで言えなかった分も
 こんなんじゃ足りないくらい好きなんだから」

「嬉しすぎてどうにかなっちゃいそうです」

「アハハ
 かわいいなー、あおは」

「先輩こそかわいい」

「俺が?」

「うん、すっごくかわいいですよ?
 特にエッチしてる時」

「なんだよ、それー」

 見つめ合って笑う。
 ずっとこうしていられればいいのに……。

「もう1回してもいいですか?」

「いいよ、あおの好きなだけ
 何回でも」

「そんな何回もできないです」

「そうかー?
 あおの性欲の強さは俺が一番分かってるんだけど」

「先輩限定です」

「またそういうこと言う」

「もう動いてもいいですか?」

「いつの間にか大きくなってるじゃん……」

「もう1回やってるし、いいですよね?」

「あぁ……ッ!?」

 また律動を再開させる。
 僕が反応するのは先輩だけ。
 尽きることのない欲をたくさんぶつけて、それを全部受け入れてもらった。

「先輩ごめんなさい
 体大丈夫ですか?」

「平気、あおとすんのやっぱ気持ちいい」

「僕も気持ちよかったです」
 
 先輩と離れたくなかったけど、泣く泣く帰り支度を始める。
 心配だから送ると言ってくれた先輩の言葉に甘えてお願いした。

 すっかり日が落ちた道を先輩と手を繋いで歩く。
 地獄から天国へ駆け上がったようだ。
 夢なんじゃないかと思うほどの奇跡が起きて、幸せで地面に足がついていないみたい。

「先輩?」

「ん?」

「受験勉強で忙しいと思うんですけど……
 たまにでいいんで会ってもらえませんか?」

「うん、なるべく時間作る」

「ありがとうございます」

 家までの道のりは結構距離があるのに、あっという間で離れがたい。

「帰りたくない……」

「また連絡するから
 そんな顔すんなって」

「うん……」

 先輩が辺りを見回して、軽くキスをしてくれた。
 もう、そんな事をされたら余計に帰りたくなくなるじゃん。

「またな、ほら家入って」

「うん、またね」

 後ろ髪を引かれながら家に入った。
 階段を駆け上がって、部屋の窓から顔を出す。

 先輩の後ろ姿が見えた。
 見えなくなるまで、ずっとその姿を眺めていた。
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