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本当の恋人として過ごす日々*
付き合い始めて1週間。須藤は隙あらばキスをしようとしてくる。
「チューしていい?」
「ダメだ。学校だぞ」
「いいじゃん」
「早くパンを食べろ」
「りとちゃんを食べたいのに」
「なっ……何を言い出すんだ」
須藤が僕の体を撫でた。
「ちょっと……須藤!?」
「早く食べたいなー」
「近い、離れろ」
須藤を引き剥がして呼吸を整える。食べるなんてそんな……そんな……。
「あっ、りと大丈夫?すぐフリーズするな」
「大丈夫……」
「ちょっとずつ食べさせてくれたらいいから」
「その言い方やめろ」
「アハハ、りとちゃんかーわいい」
須藤といると心臓がいくつあっても足りない気がする。ドキドキし過ぎて壊れてしまいそうになる。
「そうだ、今日は塾だから一緒に帰れない」
「つまんないの。浮気すんなよ」
「勉強をしに行くのに何が浮気だ」
「だって俺達のことを知らないやつだらけだし。知ってても未だに告白するやつがいるのに」
「知ってたんだ」
「見た事あるから。絶対に狙ってるやついるって」
「あぁ、まぁ……」
「何?告白されたりしてんの?」
「うーん……」
「めちゃくちゃ心配なんだけど」
「僕は須藤しか見てないから安心して?」
「めちゃくちゃ嬉しいこと言ってくれてるけど」
「心配性だな」
「そりゃそうだろ。顔がいい男が彼氏だと心配にもなるって」
「須藤も塾来ればいいじゃん」
「俺は家庭教師だけでいい」
「あの人か」
思い出して少し嫌な気分になる。
「長いの?家庭教師の人」
「高校入ってからだから1年半くらいかな」
「ふーん」
「気になる?」
「別に」
高校に入ってから荒れてたって聞いたのに、あの人の授業はちゃんと受けてたのか。
「この前婚約者候補って言ったけどあれ嘘。あの人αだし、付き合ってる人いるから心配しなくていいよ」
「そうなのか?早く言えよ」
「気になってるじゃん」
何も言い返せず弁当の残りを口に運ぶ。気になっていた。図星だ。よかった、付き合っている人がいて。
「俺もりとしか見てないからな?」
僕って凄いこと言ったんだ。言われて恥ずかしくなってしまう。
「ごちそうさまでした」
「かわいい、俺のりと」
「あっ、こら抱きしめるな」
「好きだよ」
耳元で囁かれて全身の力が抜けそうになる。また心拍数が上がってきた。僕の心臓壊れるんじゃないだろうか。
「もう昼休み終わるんじゃないか?」
「うん」
「だからもう離せ」
「分かった」
返事に行動が伴ってないんだが?まったくしょうがないやつだ。あともう少しだけ許してやるか。彼の背中に腕を回して、彼の温もりを感じることにした。
◆◆◆
日曜日の昼下がり。今日も須藤の家に遊びに来ている。
「なぁ、りと?位置共有アプリって入れてる?」
「あぁ、家族で共有するものは入れてるな」
「俺も共有していい?」
「別にいいけど。家か学校か塾にしかいないぞ?」
「やったね。りとのことは何でも把握しておきたいんだよね」
「ちょっと言い方が怖いけどな」
「何かあったらすぐに駆けつけられるだろ?突然ヒートが起きる可能性だってあるし」
「薬を飲んでるから大丈夫だと思うけど」
「イレギュラーだってありえるだろ」
「まぁ、備えあれば憂い無しか」
「りとー、チューしていい?」
「お母さんが来るかもしれないからダメ」
「じゃあいつならいいんだよ?学校もダメ、家もダメ。外か?外ならいいのか?」
「いや、そうじゃないけど」
「じゃあ、はい」
目を閉じて待つ須藤。僕からするのか!?ハードルが高い。ジッと須藤を観察する。まつげ長いな。鼻も高いし、ピアスこんなに開けて痛くないのかな。
「ちょっと……いつまで待てばいいんだよ?」
我慢しきれなくなった須藤が目を開けた。
「今しようと思ってた」
目を開けた須藤の唇に自分の唇を重ねた。唇を離すと「足りない」と言われてまたキスをされた。何度も啄むようなキスを交わしていると、須藤の舌が僕の口内に入ってきた。戸惑いながら自分の舌を絡める。
「ンッ――」
「いやだった?」
「あんなにしておいて聞く?」
「いきなりしちゃったから」
「嫌じゃない。もっとして欲しい」
「うわ、りとのおねだりかわいい」
ふわっと笑って僕を見る。あぁ、この顔とても好きだ。
「俺の上座って?」
言われた通りに座る。密着していて恥ずかしい……。
「りと、顔上げてくれないとキスできないよ?」
「……分かってる」
「りーと?」
おずおずと顔を上げるとギュッと抱きしめられながらキスをされた。チュッチュッと音を立てながら何度もするキスはとても気持ちよくて、頭がフワフワしてくる。須藤の手が体をなぞり、乳首に触れた。
「ちょ……須藤……どこ触ってるの!?」
「乳首」
「ちょっと、アッ……直接……」
服の中に手を入れられて直接刺激され変な声が出てしまう。
「ヤダ……すどう……変になる」
股間が熱を持ち始めて、思わず腰を引いてしまう。
「今日は挿れないけど、一緒に気持ちよくなろ?俺もヤバい」
確かに須藤の硬くなったものがあたっている。どうしよう。続きをしてもいいんだろうか。二人で一緒に気持ちよくなるってどういうものなのか気になる。
「どう……したらいい?」
「服脱げる?」
頷いて服を脱いだ。須藤も同じように服を脱ぐ。意外と鍛えられていて程よく筋肉がついた裸体に見惚れてしまう。
「りとは体もきれい」
「そんな事ないよ。筋肉がつきにくいからあまりいい体じゃない。須藤は意外と筋肉ついてる」
「りとを守れるように鍛えてる」
「初めて聞いた」
「そんな事言わないだろ」
「それもそうか」
顔を近づけてキスをするとそれが始まりの合図かのように、須藤が乳首を触りながら僕のペニスに触れた。同じように触れてみる。須藤のものは僕と違って大きくて驚いてしまう。
「アッ……」
また声が出てしまった。声が出ると須藤の動きが激しくなってまた出してしまう。
「アッ……ンッ、ごめん……」
「何が?」
「変な声出して」
「出させてるから気にしないで。もっと聞きたい」
「ヤダ……アァ……ッ……すどう――」
先走りで濡れたペニスを卑猥な音を立てながら扱かれて堪らずに声を上げる。
「聞きたいけどちょっとだけ我慢して?」
そう言ってキスされてお互いのペニスを擦り付けるようにしてさらに扱かれる。須藤のが当たってめちゃくちゃ気持ちいい。頭の中が真っ白になって、ビュルビュルと精液が迸った。少ししてから須藤も射精した。荒い息を吐きながら優しい口づけを交わす。
「めちゃくちゃ汚してしまった……」
我に返って精液にまみれた体を見て青ざめる。
「拭けばいいだけじゃん。気にするとこないって」
「でも……」
「ここに挿れたらもっと汚れちゃうかもしれないよ?」
そう言ってお尻を撫でられた。
「なっ何言ってるんだ」
「1回で終わる自信ないし」
「え……何回もするの?」
「うん、そうだよ。何回もすんの」
「そういうものなの?」
「うん、そういうもの。楽しみだなぁ」
「ここで?」
「ちょうど今度の日曜日、親が出かけるって言ってたんだよね。あっ、赤くなってる」
「なってない」
「期待して待ってて?」
なんてことを言うんだ。どうやって過ごせばいいんだよ。
手際よく体を拭かれて、ベッドの上に寝転がった。すごく須藤の匂いがしてドキドキしてしまう。須藤が僕の頭に触れて髪を梳くように撫で始めた。
「りとの髪の毛ってサラッサラだな」
「人に触れられるのは初めてだけど、気持ちいいな」
「一緒に風呂入って洗ってやりたい」
「洗われるんだ?いいかもしれないな」
「本当に?やりたい」
「いいよ。はぁ、頭撫でられてると眠くなってくる」
「寝てもいいけど、ケーキ買ってあるって言ってたからそれは食べろよ?」
「いつも申し訳ないな」
「いつも楽しそうに買いに行ってるから気にしなくてもいいよ。りとのことすごく気に入ってるから」
「えー、嬉しいなぁ」
「ちょっとだけ一緒に寝ようか。俺も眠くなってきた」
「うん……寝る……」
「おやすみ、りと」
おでこに口づけを落とされた後に抱き寄せられて、須藤に包まれながら意識を手放した。
◆◆◆
学校帰り、塾に向かう電車内。なぜか須藤もいる。
「須藤の降りる駅は過ぎてるぞ?」
「知ってる」
「なぜついてくる?」
「りとちゃんに手を出そうとする不届き者がいないかチェックする」
「この前付き合ってるのかとか色々聞かれて大変だったんだぞ」
「ちゃんと言った?」
「前はまだフリだったから友達って」
「今日聞かれたらちゃんと彼氏ですって言えよ?」
「恥ずかしいから嫌だ」
「俺と付き合ってるのが恥ずかしいって言うのか?」
「違うよ。彼氏だって口にするの照れる」
「かわいいから許してやりたいけど、ちゃんと言え」
「まぁ、聞かれたらな」
「絶対だぞ?」
めちゃくちゃ念押ししてくる須藤に笑ってしまう。まぁ、須藤はかっこいいと騒がれていたからな。きちんと言っておいたほうがいいかもしれない。
「今日は改札でなくていいから」
「えー、意味ないじゃん」
「いいから。また明日な」
「分かった。じゃあまた明日」
渋々帰る背中を見送る。また明日も会えるのにとても寂しく感じてしまう。ため息をついて改札を出た。
「理仁」
「あぁ、誠一」
「またあの人と一緒だったんだ」
「心配性だから」
「友達なんだよな?」
「えっと……少し前から付き合ってる」
「はぁ!?付き合ってるの?」
「うん。ちょっとまだ慣れないんだけどさ」
「へー、そうなんだ」
「誠一?どうした?怖い顔して」
「いや、なんでもない」
「そうか」
空気が冷たく感じたのは気のせいだろうか。
「そうだ、来週の土曜日って時間ある?」
「たぶん大丈夫だけど」
「塾始まる前にさ、参考書買うの付き合ってくれない?」
「いいよ」
教室に入ると特に触れられることはなく胸を撫で下ろす。
「模試の結果出てるみたいだよ」
「そうなの?」
「また負けてるんだろうな」
「そんな事ないだろ」
「いつも勝てないし」
「僕には勉強しかなかったからな」
須藤に出会う前の僕は友達がいないから遊びに行くこともなく勉強ばかりしていた。今はただがむしゃらにやる訳ではない。両親のためにというのももちろんあるが、須藤に好きでいてもらえるように、須藤が誇れるようなそんな男になりたいというモチベーションでやってるところがある。まぁ、須藤のことを考えてぼんやりしてしまうことはあるけれど。
スマホを取り出して位置共有アプリを開く。よしよし、ちゃんと家に帰ってるな。たまに確認したくなって見てしまう。須藤も見てくれたりするのだろうか。離れていても僕の事を考えてくれていると嬉しい。
もうすぐヒートの時期か。日付を見て気付く。幸い薬のおかげで症状は抑えられているけれど、気怠さがあるから考えると憂鬱になる。
「授業始まるよ?」
誠一に言われてぼんやりしていた意識を取り戻す。しっかりしないと。
「ありがとう。ぼーっとしてた」
画面閉じて意識を集中させた。
「チューしていい?」
「ダメだ。学校だぞ」
「いいじゃん」
「早くパンを食べろ」
「りとちゃんを食べたいのに」
「なっ……何を言い出すんだ」
須藤が僕の体を撫でた。
「ちょっと……須藤!?」
「早く食べたいなー」
「近い、離れろ」
須藤を引き剥がして呼吸を整える。食べるなんてそんな……そんな……。
「あっ、りと大丈夫?すぐフリーズするな」
「大丈夫……」
「ちょっとずつ食べさせてくれたらいいから」
「その言い方やめろ」
「アハハ、りとちゃんかーわいい」
須藤といると心臓がいくつあっても足りない気がする。ドキドキし過ぎて壊れてしまいそうになる。
「そうだ、今日は塾だから一緒に帰れない」
「つまんないの。浮気すんなよ」
「勉強をしに行くのに何が浮気だ」
「だって俺達のことを知らないやつだらけだし。知ってても未だに告白するやつがいるのに」
「知ってたんだ」
「見た事あるから。絶対に狙ってるやついるって」
「あぁ、まぁ……」
「何?告白されたりしてんの?」
「うーん……」
「めちゃくちゃ心配なんだけど」
「僕は須藤しか見てないから安心して?」
「めちゃくちゃ嬉しいこと言ってくれてるけど」
「心配性だな」
「そりゃそうだろ。顔がいい男が彼氏だと心配にもなるって」
「須藤も塾来ればいいじゃん」
「俺は家庭教師だけでいい」
「あの人か」
思い出して少し嫌な気分になる。
「長いの?家庭教師の人」
「高校入ってからだから1年半くらいかな」
「ふーん」
「気になる?」
「別に」
高校に入ってから荒れてたって聞いたのに、あの人の授業はちゃんと受けてたのか。
「この前婚約者候補って言ったけどあれ嘘。あの人αだし、付き合ってる人いるから心配しなくていいよ」
「そうなのか?早く言えよ」
「気になってるじゃん」
何も言い返せず弁当の残りを口に運ぶ。気になっていた。図星だ。よかった、付き合っている人がいて。
「俺もりとしか見てないからな?」
僕って凄いこと言ったんだ。言われて恥ずかしくなってしまう。
「ごちそうさまでした」
「かわいい、俺のりと」
「あっ、こら抱きしめるな」
「好きだよ」
耳元で囁かれて全身の力が抜けそうになる。また心拍数が上がってきた。僕の心臓壊れるんじゃないだろうか。
「もう昼休み終わるんじゃないか?」
「うん」
「だからもう離せ」
「分かった」
返事に行動が伴ってないんだが?まったくしょうがないやつだ。あともう少しだけ許してやるか。彼の背中に腕を回して、彼の温もりを感じることにした。
◆◆◆
日曜日の昼下がり。今日も須藤の家に遊びに来ている。
「なぁ、りと?位置共有アプリって入れてる?」
「あぁ、家族で共有するものは入れてるな」
「俺も共有していい?」
「別にいいけど。家か学校か塾にしかいないぞ?」
「やったね。りとのことは何でも把握しておきたいんだよね」
「ちょっと言い方が怖いけどな」
「何かあったらすぐに駆けつけられるだろ?突然ヒートが起きる可能性だってあるし」
「薬を飲んでるから大丈夫だと思うけど」
「イレギュラーだってありえるだろ」
「まぁ、備えあれば憂い無しか」
「りとー、チューしていい?」
「お母さんが来るかもしれないからダメ」
「じゃあいつならいいんだよ?学校もダメ、家もダメ。外か?外ならいいのか?」
「いや、そうじゃないけど」
「じゃあ、はい」
目を閉じて待つ須藤。僕からするのか!?ハードルが高い。ジッと須藤を観察する。まつげ長いな。鼻も高いし、ピアスこんなに開けて痛くないのかな。
「ちょっと……いつまで待てばいいんだよ?」
我慢しきれなくなった須藤が目を開けた。
「今しようと思ってた」
目を開けた須藤の唇に自分の唇を重ねた。唇を離すと「足りない」と言われてまたキスをされた。何度も啄むようなキスを交わしていると、須藤の舌が僕の口内に入ってきた。戸惑いながら自分の舌を絡める。
「ンッ――」
「いやだった?」
「あんなにしておいて聞く?」
「いきなりしちゃったから」
「嫌じゃない。もっとして欲しい」
「うわ、りとのおねだりかわいい」
ふわっと笑って僕を見る。あぁ、この顔とても好きだ。
「俺の上座って?」
言われた通りに座る。密着していて恥ずかしい……。
「りと、顔上げてくれないとキスできないよ?」
「……分かってる」
「りーと?」
おずおずと顔を上げるとギュッと抱きしめられながらキスをされた。チュッチュッと音を立てながら何度もするキスはとても気持ちよくて、頭がフワフワしてくる。須藤の手が体をなぞり、乳首に触れた。
「ちょ……須藤……どこ触ってるの!?」
「乳首」
「ちょっと、アッ……直接……」
服の中に手を入れられて直接刺激され変な声が出てしまう。
「ヤダ……すどう……変になる」
股間が熱を持ち始めて、思わず腰を引いてしまう。
「今日は挿れないけど、一緒に気持ちよくなろ?俺もヤバい」
確かに須藤の硬くなったものがあたっている。どうしよう。続きをしてもいいんだろうか。二人で一緒に気持ちよくなるってどういうものなのか気になる。
「どう……したらいい?」
「服脱げる?」
頷いて服を脱いだ。須藤も同じように服を脱ぐ。意外と鍛えられていて程よく筋肉がついた裸体に見惚れてしまう。
「りとは体もきれい」
「そんな事ないよ。筋肉がつきにくいからあまりいい体じゃない。須藤は意外と筋肉ついてる」
「りとを守れるように鍛えてる」
「初めて聞いた」
「そんな事言わないだろ」
「それもそうか」
顔を近づけてキスをするとそれが始まりの合図かのように、須藤が乳首を触りながら僕のペニスに触れた。同じように触れてみる。須藤のものは僕と違って大きくて驚いてしまう。
「アッ……」
また声が出てしまった。声が出ると須藤の動きが激しくなってまた出してしまう。
「アッ……ンッ、ごめん……」
「何が?」
「変な声出して」
「出させてるから気にしないで。もっと聞きたい」
「ヤダ……アァ……ッ……すどう――」
先走りで濡れたペニスを卑猥な音を立てながら扱かれて堪らずに声を上げる。
「聞きたいけどちょっとだけ我慢して?」
そう言ってキスされてお互いのペニスを擦り付けるようにしてさらに扱かれる。須藤のが当たってめちゃくちゃ気持ちいい。頭の中が真っ白になって、ビュルビュルと精液が迸った。少ししてから須藤も射精した。荒い息を吐きながら優しい口づけを交わす。
「めちゃくちゃ汚してしまった……」
我に返って精液にまみれた体を見て青ざめる。
「拭けばいいだけじゃん。気にするとこないって」
「でも……」
「ここに挿れたらもっと汚れちゃうかもしれないよ?」
そう言ってお尻を撫でられた。
「なっ何言ってるんだ」
「1回で終わる自信ないし」
「え……何回もするの?」
「うん、そうだよ。何回もすんの」
「そういうものなの?」
「うん、そういうもの。楽しみだなぁ」
「ここで?」
「ちょうど今度の日曜日、親が出かけるって言ってたんだよね。あっ、赤くなってる」
「なってない」
「期待して待ってて?」
なんてことを言うんだ。どうやって過ごせばいいんだよ。
手際よく体を拭かれて、ベッドの上に寝転がった。すごく須藤の匂いがしてドキドキしてしまう。須藤が僕の頭に触れて髪を梳くように撫で始めた。
「りとの髪の毛ってサラッサラだな」
「人に触れられるのは初めてだけど、気持ちいいな」
「一緒に風呂入って洗ってやりたい」
「洗われるんだ?いいかもしれないな」
「本当に?やりたい」
「いいよ。はぁ、頭撫でられてると眠くなってくる」
「寝てもいいけど、ケーキ買ってあるって言ってたからそれは食べろよ?」
「いつも申し訳ないな」
「いつも楽しそうに買いに行ってるから気にしなくてもいいよ。りとのことすごく気に入ってるから」
「えー、嬉しいなぁ」
「ちょっとだけ一緒に寝ようか。俺も眠くなってきた」
「うん……寝る……」
「おやすみ、りと」
おでこに口づけを落とされた後に抱き寄せられて、須藤に包まれながら意識を手放した。
◆◆◆
学校帰り、塾に向かう電車内。なぜか須藤もいる。
「須藤の降りる駅は過ぎてるぞ?」
「知ってる」
「なぜついてくる?」
「りとちゃんに手を出そうとする不届き者がいないかチェックする」
「この前付き合ってるのかとか色々聞かれて大変だったんだぞ」
「ちゃんと言った?」
「前はまだフリだったから友達って」
「今日聞かれたらちゃんと彼氏ですって言えよ?」
「恥ずかしいから嫌だ」
「俺と付き合ってるのが恥ずかしいって言うのか?」
「違うよ。彼氏だって口にするの照れる」
「かわいいから許してやりたいけど、ちゃんと言え」
「まぁ、聞かれたらな」
「絶対だぞ?」
めちゃくちゃ念押ししてくる須藤に笑ってしまう。まぁ、須藤はかっこいいと騒がれていたからな。きちんと言っておいたほうがいいかもしれない。
「今日は改札でなくていいから」
「えー、意味ないじゃん」
「いいから。また明日な」
「分かった。じゃあまた明日」
渋々帰る背中を見送る。また明日も会えるのにとても寂しく感じてしまう。ため息をついて改札を出た。
「理仁」
「あぁ、誠一」
「またあの人と一緒だったんだ」
「心配性だから」
「友達なんだよな?」
「えっと……少し前から付き合ってる」
「はぁ!?付き合ってるの?」
「うん。ちょっとまだ慣れないんだけどさ」
「へー、そうなんだ」
「誠一?どうした?怖い顔して」
「いや、なんでもない」
「そうか」
空気が冷たく感じたのは気のせいだろうか。
「そうだ、来週の土曜日って時間ある?」
「たぶん大丈夫だけど」
「塾始まる前にさ、参考書買うの付き合ってくれない?」
「いいよ」
教室に入ると特に触れられることはなく胸を撫で下ろす。
「模試の結果出てるみたいだよ」
「そうなの?」
「また負けてるんだろうな」
「そんな事ないだろ」
「いつも勝てないし」
「僕には勉強しかなかったからな」
須藤に出会う前の僕は友達がいないから遊びに行くこともなく勉強ばかりしていた。今はただがむしゃらにやる訳ではない。両親のためにというのももちろんあるが、須藤に好きでいてもらえるように、須藤が誇れるようなそんな男になりたいというモチベーションでやってるところがある。まぁ、須藤のことを考えてぼんやりしてしまうことはあるけれど。
スマホを取り出して位置共有アプリを開く。よしよし、ちゃんと家に帰ってるな。たまに確認したくなって見てしまう。須藤も見てくれたりするのだろうか。離れていても僕の事を考えてくれていると嬉しい。
もうすぐヒートの時期か。日付を見て気付く。幸い薬のおかげで症状は抑えられているけれど、気怠さがあるから考えると憂鬱になる。
「授業始まるよ?」
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「ありがとう。ぼーっとしてた」
画面閉じて意識を集中させた。
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※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
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