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招かれた者たち
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突如として現れた妖精にドンキホーテは警戒をしていた。
妖精というのはイタズラ好きで有名で、様々な人から恐れられている存在である。なぜ恐れられているかといえば、妖精のイタズラというのは最悪の場合、命の危険に晒される場合もあるからだ、子供のイタズラとはわけが違う。
ドンキホーテはマリデにこっそりと話しかける。
「ボス…まずいぜ妖精だ、何をされるかわかったもんじゃねぇぜ」
マリデは頷き、「そうだね」と小さい声で言うと、妖精に対して話しかけた。
「その気持ちははありがたいのだが、僕たちは大丈夫だ、せっかくの申し出なのにすまないね」
妖精を刺激しないように穏便にマリデはそういった。妖精はその言葉を聞くと和かに笑う。
「大丈夫よ、遠慮しないで!それに…別に貴方がどう返答しようが関係ないもの私達は私達のやりたいことをするだけだわ」
その時だアレン先生が何かに気がつく。
「ドンキホーテ、マリデ、まずいぞ!」
その言葉を最後にアレン先生は突如、足元に現れた穴に落ちて行ってしまった。
「先生!」
そうドンキホーテが叫んだ途端、彼もまた抱えたエイダとともに落ちていった。
「うわあああ!!」
落ちた先は、坂になっておりそのままドンキホーテは滑り落ちていく、ツタや木の根がちょうど良く洞窟のように形作っているその滑り台はドンキホーテとエイダを地下へ連れて行く。ドンキホーテはエイダをしっかりと抱きしめ、落ちないように細心の注意をしながら再び叫ぶ。
「どうなってんだ!?こりゃあ!」
その問いに答えるものは誰もいない、代わりに返ってくるのは滑り落ちる際に聞こえる鎧と木の根が擦れる音だけであった。
そして長い、長い滑落ののちにドンキホーテは視界に光を捉える。どうやら出口のようだ。
ここまで来たのだ、もはやジタバタするのはやめよう、そう思ったドンキホーテはもう身を任せてそのまま滑り落ちる事にした。あの光に飛び込んだ先がもし危険な場所であることを想定して様々な手段を考えながら。
そしてドンキホーテはその出口の光の中に吸い込まれていった。
光の先はドンキホーテが予想外のものが待っていた。当初の予測では、地面に叩きつけられるだとか、飛び出たら針の山が下に、だとかを考えていたのだが待ち構えていたのは人を何百人と包み込むことが出来そうな、巨大なツタのハンモックだった。
「はあ、もう叫び疲れたぜ…」
エイダ抱えながら、そのツタのハンモックに着地したドンキホーテは苦笑いをしながらそう言う。
「お主も来たか、ドンキホーテ」
「よぅ…アレン先生」
「疲れておるようじゃな」
半分笑いながらそういうアレン先生に対して「そうだな」と力なくドンキホーテは返す、そしてドンキホーテは辺りを見回した。
そこは、地下でありながら黄金の夕陽に照らされたかのような光に包まれており、様々見たこともないような美しい花、たくましい木々が生い茂っていった、加えて広さはかなりのものである。
どうやら地下に広大な空洞がができていて、天井が崩れないように巨大な木々の根が柱の代わりになっているようだった。
もうなんとなく予想はついていたがここは恐らく妖精の里なのだろう。ドンキホーテはそう思った
「しかしここまでの規模は見たことねぇな」
そう感心しているとハンモックが大きく揺れる。アレン先生とドンキホーテはその揺れに耐えきれず、よろめいてしまう。アレン先生はよろめく体なんとか立て直し言う。
「どうやら来たようじゃな」
震源をみるとどうやらドンキホーテ達と同じく上から降ってきたであろうマリデが大の字で寝っ転がっていた。
「ようボス、元気かい?」
ドンキホーテは少々笑いながらそういった、もはやこのような状況、笑うしかないのだ。
マリデは寝転がったまま手を天井に伸ばして親指だけを伸ばして自分は大丈夫だと伝える。
「あとはロシナンテだけか」
ドンキホーテがそう言った途端、頭上からラバのいななきが聞こえた。ロシナンテだ。
「おーいロシナン…テ…?!」
ドンキホーテは目を皿のように丸くする、あろうことかロシナンテはドンキホーテの丁度頭上に馬車ごと落ちてきていた。
「やっべ!」
ドンキホーテはエイダを抱えツタを蹴り跳ぶ、ドンキホーテがツタを蹴った部分に丁度、ロシナンテが落ちてきた。馬車ごと。その揺れは凄まじいものでアレン先生に至っては高く跳ねあげられてしまった。
「ぐわあああ!」
アレン先生の叫びが木霊する。
するとどこからか笑い声が聞こえる。可憐でまるで少年と少女のような笑い声が、普通なら子供の笑い声は微笑ましさ感じるところだが、この笑い声の主がわかっているドンキホーテにはとても笑えない。
「何、笑ってんだ!正々堂々と出てきやがれ!」
その言葉に誘われて一つの浮遊する光がドンキホーテ達に近づいてきた。クスクスと笑い声が漏れている。
「ごめんごめん、つい、おかしくって!私、メーム!よろしくねお兄さん!そしてようこそ妖精の里へ!」
ドンキホーテは頭を抱えた。
妖精というのはイタズラ好きで有名で、様々な人から恐れられている存在である。なぜ恐れられているかといえば、妖精のイタズラというのは最悪の場合、命の危険に晒される場合もあるからだ、子供のイタズラとはわけが違う。
ドンキホーテはマリデにこっそりと話しかける。
「ボス…まずいぜ妖精だ、何をされるかわかったもんじゃねぇぜ」
マリデは頷き、「そうだね」と小さい声で言うと、妖精に対して話しかけた。
「その気持ちははありがたいのだが、僕たちは大丈夫だ、せっかくの申し出なのにすまないね」
妖精を刺激しないように穏便にマリデはそういった。妖精はその言葉を聞くと和かに笑う。
「大丈夫よ、遠慮しないで!それに…別に貴方がどう返答しようが関係ないもの私達は私達のやりたいことをするだけだわ」
その時だアレン先生が何かに気がつく。
「ドンキホーテ、マリデ、まずいぞ!」
その言葉を最後にアレン先生は突如、足元に現れた穴に落ちて行ってしまった。
「先生!」
そうドンキホーテが叫んだ途端、彼もまた抱えたエイダとともに落ちていった。
「うわあああ!!」
落ちた先は、坂になっておりそのままドンキホーテは滑り落ちていく、ツタや木の根がちょうど良く洞窟のように形作っているその滑り台はドンキホーテとエイダを地下へ連れて行く。ドンキホーテはエイダをしっかりと抱きしめ、落ちないように細心の注意をしながら再び叫ぶ。
「どうなってんだ!?こりゃあ!」
その問いに答えるものは誰もいない、代わりに返ってくるのは滑り落ちる際に聞こえる鎧と木の根が擦れる音だけであった。
そして長い、長い滑落ののちにドンキホーテは視界に光を捉える。どうやら出口のようだ。
ここまで来たのだ、もはやジタバタするのはやめよう、そう思ったドンキホーテはもう身を任せてそのまま滑り落ちる事にした。あの光に飛び込んだ先がもし危険な場所であることを想定して様々な手段を考えながら。
そしてドンキホーテはその出口の光の中に吸い込まれていった。
光の先はドンキホーテが予想外のものが待っていた。当初の予測では、地面に叩きつけられるだとか、飛び出たら針の山が下に、だとかを考えていたのだが待ち構えていたのは人を何百人と包み込むことが出来そうな、巨大なツタのハンモックだった。
「はあ、もう叫び疲れたぜ…」
エイダ抱えながら、そのツタのハンモックに着地したドンキホーテは苦笑いをしながらそう言う。
「お主も来たか、ドンキホーテ」
「よぅ…アレン先生」
「疲れておるようじゃな」
半分笑いながらそういうアレン先生に対して「そうだな」と力なくドンキホーテは返す、そしてドンキホーテは辺りを見回した。
そこは、地下でありながら黄金の夕陽に照らされたかのような光に包まれており、様々見たこともないような美しい花、たくましい木々が生い茂っていった、加えて広さはかなりのものである。
どうやら地下に広大な空洞がができていて、天井が崩れないように巨大な木々の根が柱の代わりになっているようだった。
もうなんとなく予想はついていたがここは恐らく妖精の里なのだろう。ドンキホーテはそう思った
「しかしここまでの規模は見たことねぇな」
そう感心しているとハンモックが大きく揺れる。アレン先生とドンキホーテはその揺れに耐えきれず、よろめいてしまう。アレン先生はよろめく体なんとか立て直し言う。
「どうやら来たようじゃな」
震源をみるとどうやらドンキホーテ達と同じく上から降ってきたであろうマリデが大の字で寝っ転がっていた。
「ようボス、元気かい?」
ドンキホーテは少々笑いながらそういった、もはやこのような状況、笑うしかないのだ。
マリデは寝転がったまま手を天井に伸ばして親指だけを伸ばして自分は大丈夫だと伝える。
「あとはロシナンテだけか」
ドンキホーテがそう言った途端、頭上からラバのいななきが聞こえた。ロシナンテだ。
「おーいロシナン…テ…?!」
ドンキホーテは目を皿のように丸くする、あろうことかロシナンテはドンキホーテの丁度頭上に馬車ごと落ちてきていた。
「やっべ!」
ドンキホーテはエイダを抱えツタを蹴り跳ぶ、ドンキホーテがツタを蹴った部分に丁度、ロシナンテが落ちてきた。馬車ごと。その揺れは凄まじいものでアレン先生に至っては高く跳ねあげられてしまった。
「ぐわあああ!」
アレン先生の叫びが木霊する。
するとどこからか笑い声が聞こえる。可憐でまるで少年と少女のような笑い声が、普通なら子供の笑い声は微笑ましさ感じるところだが、この笑い声の主がわかっているドンキホーテにはとても笑えない。
「何、笑ってんだ!正々堂々と出てきやがれ!」
その言葉に誘われて一つの浮遊する光がドンキホーテ達に近づいてきた。クスクスと笑い声が漏れている。
「ごめんごめん、つい、おかしくって!私、メーム!よろしくねお兄さん!そしてようこそ妖精の里へ!」
ドンキホーテは頭を抱えた。
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