俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太

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第百五話 遺伝子研究

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「なるほど、まあいい、遊んでやろう」

 リルクス達のうち一人がそういい地面に降りる。

「前回は性能試験もしないまま、安全装置を起動させていたからな、子の成長を見守るのもまぁ、親の勤めだろう」

 虫酸が走る白々しい言葉と、それを挑発とも思ってなさそうな顔。
 小気味なジョークでも言っているつもりなのか?

「お前、自分を面白いタイプだと思ってるだろ」

「当然だ、魔法使いからユーモラスさを取ったら何が残るというのだ?」

「ぶん殴るべきカス野郎が残るな」

「なるほど、ジョークのセンスは遺伝したようだ」

「ぶっ飛ばすぞ」

 俺は言霊の剣を握りしめる。

「もう一つ聞きたい……お前、スライムの神獣を襲ったことはあるか?」

「ほう、それにお前がなんの関係がある?」

「答えろ!!」

 ミラナは言っていた、レミーラムに呪いをかけた魔法使いを追っていたと、その容疑者であるのが、この神獣の密猟の経験もあるこの男だ。

 間違いない、俺の親だというこの男は……神獣に深く関わっているに違いない。
 レミーラムを襲ったのも、魔男という長命種ならばたとえ100年前だろうと説明がつく。

「あるな……確か……ああ、そうだレミー……? だとか名乗っていたな」

「ッ!!」

 俺の探し求めていた答えは、まるで雨のように唐突に当然の如く降ってきた。

「それで、それがなんの意味がある? サンプルだけ取ってそれで満足した奴だ」

 その答えで、充分だこいつは倒すしかない。

「その子はいまだにお前の呪いで苦しめられている!」

「呪い……? ああ、捕獲用のガンドか、まだ効いているのか?……ああ、確か私が死ぬまで効くようにしているんだったか」

「で、なぜそのスライムにこだわる」リルクスはそう俺に問う。
 こいつが知らないのも無理はない、だがこいつは知らなければならない。

「そいつは!! 俺の家族だ! 義理だが、息子なんだ!!」

 俺はそう叫んだ、有らんばかりの怒りを込めてリルクスに叩きつけてやった。
 だが奴は、目の前の男はただ皮肉げに笑う。

「息子?」

 リルクスの口から出る空気に嘲笑いが混じっている。

「おかしなことを言う、そのスライムのサンプルでお前は作られたのに」

「な……」

 一瞬、俺は何も考えられなくなった。敵の前だと言うのに敵の言葉で頭がいっぱいになってしまった。

 集中を欠いたのだ。致命的に。

「そういえば、お前の作り方を言ってなかったな、お前は神獣級のスライムの遺伝情報をベースに様々な神獣の遺伝子を組み合わせ、私の遺伝子を組み合わせて作った。ホムンクルスだ」

「故に」とリルクスは続ける。

「お前は、特別だ。神獣であり、人でもある、世界初の神獣と獣のキメラ……になる筈だった」

「だが」と、リルクスは見下すように俺を見た。

「結果は散々だ……一度神獣の血を発現させれば、お前は暴走した。だからセーフティをつけさせた、複数の神獣の血を一度に発現しないように、制限をかけたのだ。それではキメラとはいえないだろう?」

 リルクスは俺を嘲るように言い放った。

「故にお前は失敗だ、半殺しにして、奴隷商人に売った。ああ、心配するな、お前を産んだ意味はあった。お前を売った金で研究費用の採算は黒字寄りになった。まあ、まさか神獣の聖人の与太話を商人が信じるとは思わなかったが……」

 そこまで聞いて俺はかけだした。

「黙れぇぇぇぇ!!!」

 言霊の剣を振るう。自分の中に湧いた怒りや、悔しさを乗せて。

「ショックか? 随分と情緒が育っているのだな、くだらん」

 情報がリルクスに伝わる。
 その瞬間だった。

 リルクスの髪の色が変わっていく白髪から、青髪へ。

 そして、手のひらから光が迸り、真鍮の槍が現れた。

 情報の斬撃が防がれた。

「なるほど、情報を斬撃として、具現化させる力……言霊の剣だな……? 私でも防ぐのは難しい……だが……」

 目の前の男はもはやリルクスの容姿ではなかった。

ジャイルなら、容易い」

「な……!」

 目の前にいたのは、前大戦の英雄のジャイルだった。
 リルクスの顔が……いや肉体そのものがジャイルに変容していた。

「ジャイル……!?」

 あの時、ドンキホーテさんと戦っていた、槍使いの英雄が目の前に立っている。

「空から隕石などを落とすから……空の魔男などと私は呼ばれているがな……」

 混乱する俺にリルクスは語る。

「私の専門は遺伝子の改造と複製だ」 
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