74 / 115
第七十四話 さめる
しおりを挟む
テーブルが壁がシチューがそして床がガラガラと崩れていく。
「おわぁ!!」
エルマーはそんな間抜けな声を出しながら落ちていく。
エルマーだけではない。
「なんだ! これは!」
「アールさん!」
カミネもアールも、その場にいる全員が床の崩落に飲み込まれる。
「みんなおおおお落ち着くのである!!」
「バカ! 理性を保てラクレ!」
カミネ達が落ちた先は、不自然なほど何もない空間だった。
白い白い、どこまでも白が続いていく、不可思議な世界やがて真っ白な大地にカミネはうつ伏せに着地する。
「うぐ!?」
柔らかい、いやそれどころか衝撃がなかった。まるで大地の感触がない。
だが明らかに何かに着地はしている、その実感をカミネは感じていた。
ここはどこだ、とカミネは空を見上げる。
上空には、先ほどまでいたであろう、エルマーの家の天井が白い空間にポツリと浮かんでいた。
まるで白い色付きのガラスが割れたかのようにひび割れたジグザグの穴が広がりその奥にエルマーの家が広がっているのだ。
そのガラス窓の割れたようなその穴が徐々に狭まっていく。
「まずい……!」
ミラナの焦りの籠った声が響く。その声に後押しをされるようにエルマー家の景色が白いタイル片で埋め尽くされていった。
そしてそこは何もない白の空間となった。
「スカーレット! どこなの、ここは!!」
エルマーの叫びが響く。
「ここは人々の無意識の牢獄だよ、リーンならわかるんじゃないかな?」
「……スカーレット! 母さん達を巻き込むつもり」
「違う、リーン。ここで夢に浸かってもらう。そしてまた夢を見てもらうんだ」
「そのためにアタシのように監禁するつもり!?」
「それは姉さんが夢を受け入れなかったからだ!!」
スカーレットの怒りの声が白い空間に響く。
「どう言うこった? 無意識の牢獄!?」
エルマーはそう言って辺りを見回す、しかしここは何もない。
まるでそれが世界の全てなのだと白の空間そのものが語っているかのようだ。
「無意識、夢が生み出される心の源……この都の人々、全員の無意識がここに集まっている」
スカーレットの口から冷たい言葉が。
「僕は正と負を操る神獣だ。故に僕は本来、現実世界に有るもの無いものに出来るし、現実世界に無いものを有るものに出来る」
スカーレットはギロリと、カミネ達を見下した。
「今からここの無意識の夢の源を現実に有るものにする、僕の力を全力で使ってね、それに巻き込まれたら君たちはどうなると思う?」
「やめろ、スカーレット!!」
「やめないよ母さん、もういいだろ、現実なんてくだらないことばかりだよ。もう僕は母さん達と離れるようなことはしたく無い」
だから、とスカーレットは右手を掲げる。
「おやすみ、母さん父さん。そして──」
「夢を壊そうとした不届き者たち」
スカーレットは右手を振り下ろした。
その須臾の時の間、カミネ達に突然睡魔が訪れる。
ただ眠くなっていく。
そしてそんな白い空間にただ、カミネ達は倒れ込みただ夢に飲まれていった。
「おわぁ!!」
エルマーはそんな間抜けな声を出しながら落ちていく。
エルマーだけではない。
「なんだ! これは!」
「アールさん!」
カミネもアールも、その場にいる全員が床の崩落に飲み込まれる。
「みんなおおおお落ち着くのである!!」
「バカ! 理性を保てラクレ!」
カミネ達が落ちた先は、不自然なほど何もない空間だった。
白い白い、どこまでも白が続いていく、不可思議な世界やがて真っ白な大地にカミネはうつ伏せに着地する。
「うぐ!?」
柔らかい、いやそれどころか衝撃がなかった。まるで大地の感触がない。
だが明らかに何かに着地はしている、その実感をカミネは感じていた。
ここはどこだ、とカミネは空を見上げる。
上空には、先ほどまでいたであろう、エルマーの家の天井が白い空間にポツリと浮かんでいた。
まるで白い色付きのガラスが割れたかのようにひび割れたジグザグの穴が広がりその奥にエルマーの家が広がっているのだ。
そのガラス窓の割れたようなその穴が徐々に狭まっていく。
「まずい……!」
ミラナの焦りの籠った声が響く。その声に後押しをされるようにエルマー家の景色が白いタイル片で埋め尽くされていった。
そしてそこは何もない白の空間となった。
「スカーレット! どこなの、ここは!!」
エルマーの叫びが響く。
「ここは人々の無意識の牢獄だよ、リーンならわかるんじゃないかな?」
「……スカーレット! 母さん達を巻き込むつもり」
「違う、リーン。ここで夢に浸かってもらう。そしてまた夢を見てもらうんだ」
「そのためにアタシのように監禁するつもり!?」
「それは姉さんが夢を受け入れなかったからだ!!」
スカーレットの怒りの声が白い空間に響く。
「どう言うこった? 無意識の牢獄!?」
エルマーはそう言って辺りを見回す、しかしここは何もない。
まるでそれが世界の全てなのだと白の空間そのものが語っているかのようだ。
「無意識、夢が生み出される心の源……この都の人々、全員の無意識がここに集まっている」
スカーレットの口から冷たい言葉が。
「僕は正と負を操る神獣だ。故に僕は本来、現実世界に有るもの無いものに出来るし、現実世界に無いものを有るものに出来る」
スカーレットはギロリと、カミネ達を見下した。
「今からここの無意識の夢の源を現実に有るものにする、僕の力を全力で使ってね、それに巻き込まれたら君たちはどうなると思う?」
「やめろ、スカーレット!!」
「やめないよ母さん、もういいだろ、現実なんてくだらないことばかりだよ。もう僕は母さん達と離れるようなことはしたく無い」
だから、とスカーレットは右手を掲げる。
「おやすみ、母さん父さん。そして──」
「夢を壊そうとした不届き者たち」
スカーレットは右手を振り下ろした。
その須臾の時の間、カミネ達に突然睡魔が訪れる。
ただ眠くなっていく。
そしてそんな白い空間にただ、カミネ達は倒れ込みただ夢に飲まれていった。
1
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です
小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)
ファンタジー
元々、トラブルに遭いやすい体質だった男の異世界転生記。
トラブルに巻き込まれたり、自分から飛び込んだり、たまに自分で作ったり、魔物と魔法や剣のある異世界での転生物語。余り期待せずに読んで頂ければありがたいです。
戦闘は少な目です。アルフレッドが強すぎて一方的な戦いが多くなっています。
身内には優しく頼れる存在ですが、家族の幸せの為なら、魔物と悪人限定で無慈悲で引くくらい冷酷になれます。
転生した村は辺境過ぎて、お店もありません。(隣町にはあります)魔法の練習をしたり、魔狼に襲われ討伐したり、日照り解消のために用水路を整備したり、井戸の改良をしたり、猪被害から村に柵を作ったり、盗賊・熊・ゴブリンに襲われたり、水車に風車に手押しポンプ、色々と前世の記憶で作ったりして、段々と発展させて行きます。一部の人達からは神の使いと思われ始めています。………etc そんな日々、アルフレッドの忙しい日常をお楽しみいただければ!
知識チート、魔法チート、剣術チート、アルは無自覚ですが、強制的に出世?させられ、婚約申込者も増えていきます。6歳である事や身分の違いなどもある為、なかなか正式に婚約者が決まりません。女難あり。(メダリオン王国は一夫一妻制)
戦闘は短めを心掛けていますが、時にシリアスパートがあります。ご都合主義です。
基本は、登場人物達のズレた思考により、このお話は成り立っております。コメディーの域にはまったく届いていませんが、偶に、クスッと笑ってもらえる作品になればと考えております。コメディー要素多めを目指しております。女神と神獣も出てきます。
※舞台のイメージは中世ヨーロッパを少し過去に遡った感じにしています。魔法がある為に、産業、医療などは発展が遅れている感じだと思っていただければ。
中世ヨーロッパの史実に出来るだけ近い状態にしたいと考えていますが、婚姻、出産、平均寿命などは現代と余りにも違い過ぎて適用は困難と判断しました。ご理解くださいますようお願いします。
俺はアラサーのシステムエンジニアだったはずだが、取引先のシステムがウイルスに感染、復旧作業した後に睡魔に襲われ、自前のシュラフで仮眠したところまで覚えているが、どうも過労死して、辺境騎士の3男のアルフレッド6歳児に転生? 前世では早くに両親を亡くし、最愛の妹を残して過労死した社畜ブラックどっぷりの幸薄な人生だった男が、今度こそ家族と幸せに暮らしたいと願い、日々、努力する日常。
※最後になりますが、作者のスキル不足により、不快な思いをなされる方がおられましたら、申し訳なく思っております。何卒、お許しくださいますようお願い申し上げます。
この作品は、空想の産物であり、現実世界とは一切無関係です。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる