俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太

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第九十七話 パパ

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「ミラナ、確かなんだな!」

「言っとくけど勘じゃない、風の動きや音が不自然、間違いなくこっちに何かがきてる」

 目の前では、ドンキホーテさんがジャイルとやり合っている。

 助けは期待できそうにない。この状況を作り出すことが、奴のリルクスの目的なのだとしたら、この状況はまさしく奴の掌の上だ。

「ッ! アルバを渡せ、ミラナとやら! 妾たちだけでも逃げるぞ!」

「ダナノさんお言葉だけど、それは無理」

「なぜだ!」

 ダナノニウナの言葉を受け流しながらミラナは心配そうに見つめるケイトネールを抱きしめながら「大丈夫」と呟く。

「リルクスは多分、私たちを逃しはしないここで迎撃する必要がある」

「だが!」

 ダナノニウナの不安もわかる。
 今、狙われているのはダナノニウナ自身だがもしその歯牙がケイトネールに及ぶことを心配しているようだ。

 だが俺もミラナの言うことに賛成だ。
 ここでリルクスを倒すことが先決だどんな能力があるかわからない魔法使いに背を向けるのは正直怖い。

「貴様ら二人ともわかっておるのか! 奴はリルクスなのだぞ! 妾ですら適うかどうかすらわからんのだ!」

 ダナノニウナの言葉に偽りはないのだろう、震える空気がようやく俺に伝わってきた。
 何かの魔法によって特殊な力場を作り推進力を使っているのだろう、そのせいで空気が押し除けられて暴風を生み出している。

 その風に混じる禍々しい魔力は今まで感じたことのない暴力性や、邪悪さを孕んでいた。

「大丈夫だよ、ダナノニウナ……さん」

 だがそれでも俺は、俺たちは笑う。

「俺達は強い」

「……信じていいのだな……!」

 ダナノニウナさんが俺を見つめる

「もちろん!!」

 そう言って俺は叫ぶ。

「ミラナ! 神獣の血を使う!!」

 その言葉にミラナは頷き、ミラナの目に楔を繋ぎ合わせてできた十字架が現れる。
 ミラナがなぜ俺の相棒なのか、なぜヤクザの子飼いの頃から共にいた仲なのか。

 ミラナには氷刃の魔眼ほかにいくつか魔眼を持っている。

 その一つが「鎖の魔眼」。

 効果は単純だ。
 見つめた相手の能力を減少させると言うもの。

 通常ならば相手に妨害をかけるための魔眼だが。副次効果として、俺の血の暴走すら防ぐことができる。

 つまり能力は削がれるがほぼノーリスクで俺は神獣の血の能力を使うことができるのだ。

天喰狼フェンリル・ブラッド発動インストール!!」

 故に全力でこの姿を晒すことができる、神獣の血の力を最大限に発揮した姿、光の毛皮を身に纏った半獣の姿を。

 そして、ついに雲の隙間から何かが飛来してくる。


 雪の積もり始めた山の斜面を抉りながら一つの物体が、ついに降り立った。
 俺と同じ白髪、歳は三十代ぐらいに見える、そして白の魔法陣の描かれたマントと黒いチュニックとズボン。

 そんな俺たちの目視50メートルぐらい先に降り立ったその男は、怪訝そうな顔をしながら俺を見つめた。

「どう言うことだ?」

 その一言からは、明らかな困惑が混じっている。

「テメェがリルクスか! ここでテメェを──!」

 ぶっ倒してやると言おうと思ったその瞬間だった、なぜか俺の視界に白と茶色が映る。

 地面だ、なぜか俺は地面を見つめていた。
 いや、それどころか俺は今──。

「ゴハ……ッ!」

 血を吐いて倒れて……いるのか……?

「久しぶりだな──」

 すると俺の隣から声が響いてくる。

「失敗作の愚息」
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