種々雑多(しゅじゅざった)

梁瀬

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伐性の斧

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 今日は小寒、〝寒の入り〟と言われ、これから更に寒さが厳しくなるという。
今日から節分までの間を〝寒の内〟と言い、寒の内が明けると立春になります。

 冬の時期に咲く花といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?

 私は蝋梅ろうばいです。
 蝋梅は、寒さに強く1月~2月に開花、葉が出る前に、甘い香りが特徴的な花を
咲かせます。
蝋細工のような花弁で、花が梅に似ている事から蝋梅という名前になったそうです。
 ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で、学名はChimonanthus praecoxといい、〝Chimonanthusチモナンサス〟は〝Chimonが冬〟で〝 anthusが花〟「冬の花」を意味し、
さらに〝praecoxは早咲き〟を意味しているそうです。


 本日も、どうぞよしなに。 



 本日は、中国の逸話。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、お付き合いください。

 昔、ある北の村に、李という長者の屋敷がありました。
長者の屋敷の前には、河があり橋が架かっていました。その河は、毎年冬になると
凍り、人々は、橋の下の氷の上を歩いて、往来していたそうです。

 ある年の冬、1人の乞食が、橋の下を通り掛かると、焚き火の後の灰の中に、
まだ火種が残っているのを見つけ、火を熾して、暖をとりました。
 乞食は、久しぶりの暖かさに思わず、
「満足だ、満足だ」 
と声を上げました。

 その声を聞いた長者が、屋敷から出て来て、乞食に
「何が満足なのか?」
と尋ねました。乞食は、
「3年間、乞食をしているが、こんなに暖まったのは、初めてで満足した。」
と答えました。

 乞食の名前は、常楽と言い、寅年の7月15日生まれで、65歳でした。
長者は、乞食と生まれた年と月が同じだったので、貧乏な乞食に同情し、
乞食を、自分の屋敷に住まわせる事にし、名前を〝満足〟と改めさせました。
 それ以降、満足は、楽な暮しが出来るようになりました。

 ある日、満足の世話をしてくれている女中の〝臘梅〟の手を撫でてしまいました。臘梅は、そのことを李長者に話したが、長者は、満足に何も言いませんでした。
 満足は、その事を咎められなかったのを良い事に、翌日、臘梅を抱いて、キスを
しようとしました。
 再び臘梅は、そのことを長者に話しました。すると長者は、手紙を書きました。

 翌朝に李長者は、満足を呼んで、
「この手紙を、江南にいる私の従兄弟に、届けてくれ。」
と言い、馬1頭と銀50両を渡しました。
 満足は、手紙に記された江南の小さな町で、李長者の従兄弟を捜しましたが、
一向に見つからず、遂にはお金を使い果たし、さらに馬も売ってしまいました。
 
 途方に暮れた満足は、仕方なく手紙を開けてみました。
しかし、字が読めなかったので、人に頼んで、読んで貰いました。
そこには、こんな詩が書かれていました。

〝満足、橋下の灰を忘れ、臘梅に戯れる 
江南に我が従兄弟無し、汝、江南より帰ることなし 
全てを使い果せし、汝に残されしは飢え”

満足は、泣いて悔やみましたが、既に手遅れでした。
そしてまた、元の乞食に戻ってしまいました。

〝満足が臘梅に戯れる〟という中国の逸話でした。 

〝常楽〟という名の貧乏な乞食が、
焚き火の後の火種で、火を熾して暖をとり満たされ、〝満足〟の名を与えられ改名。
満たされた生活の中で、欲が出て、全てを失う事になる話。
 これを読み終えて、伐性ばっせいの斧という諺が浮かびました。
文字通り、命を絶ち切る斧。意味は、女に溺れ、自らの寿命を縮める事を言います。 
 
 
 皆さま、お気を付けくださいませ。



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