90 / 194
第一二章 絶えマない望み
絶えマない望み(09)◆
しおりを挟む「――んっ、んちゅ、あっ……」
クロスの優しくも力強い唇が、ゆあんの震えた唇をじっくりと責め立てる。時折、舌を出して攻めてくる唇に、ゆあんは恥ずかしくて口を開けないでいた。
「唯衣子……舌出して」
「んっ、やっ……」
あくまでクロスを拒むゆあんに、クロスの舌は少々強引に攻め入ってくる。さらにはゆあんの胸元に手を当てて、サワサワと身体を撫で回していく。
「大丈夫だよ」
「でも――んっ、んくちゅ…んあっ、んちゅる……」
唇を重ね、舌を這わせたまま、クロスはゆあんの服を一気に捲り上げて下着を露わにする。勢いが過ぎて、下着から薄い桃色の乳首がはみ出ていた。
「んああっ、だめっ……」
「大丈夫だから」
恥じらうように乳房を腕で隠すが、クロスは半ば強引に腕をどかす。ついでに下着も捲り、綺麗な形で張りのある乳房が現れる。
クロスは、乳房に吸い込まれるように口を付けた。
「やんっ、んあっ…だめっ、はずかしいっ……」
初めて感じる乳首への刺激、こそばゆい中に痺れるような感覚が走る。
ゆあんは、体をくねらせてその刺激から逃げようとする。
「やっ、だめだよぉ…はずかしいって――んんっ……」
クロスは、乳房に吸い付いたまま離れようとしない。
それどころか、ゆあんの太もも辺りを撫で回して全身を責め立てる。
「あっ、んっ…クロス、さんっ……んあ゛っ!」
そして、飽き足りないクロスは、ついにゆあんの股に手を掛けた。
ゆあんは慌てて股を閉じ、両手でクロスの腕を制する。
「だめっ、んいやっ……」
「大丈夫だって」
「だめっ、ほんとにっ…んんっ……」
クロスの腕は、男の力で容赦なく侵入してくる。
股を押し広げ、細長くもゴツゴツとした指をゆあんの下着に押し当てる。
「ちょっと湿ってるよ?」
「ちがっ、んんあっ!」
下着の上から指を動かし、上下に素早く擦って刺激を加える。
慣れない刺激に、ゆあんは戸惑いながらも、多少の快感を覚え始めていた。微かな喘ぎ声に合わせ、色の付いた吐息が溢れてしまう。
「あっ、あっ、んっ……だめっ、そこはっ!」
クロスは、機を逃さまいと一気に下着の中へ侵入した。ゆあんは身体をくねらせて逃げようとするが、突然のことで逃げ切れなかった。
「はっんっ…だめっ、いやっ……」
クロスの指が直接動き回る。陰部の突起に当たるたび、震えるような刺激が脳にまで走る。
下着の湿り気も増し、クロスは下着の奥へとさらに指を進めていく。
「やっ、んいやっ…おねがい……っ」
途中で、ゆあんは快感よりも怖さが勝った。
クロスの腕を掴み、股を閉じようと強い抵抗を見せるが、クロスは決して侵入を止めない。
「だめっ、だめだめっ、んっ――」
そして、ゆあんの膣内に容赦なく指を突っ込む――
「ん゛っ、ああ゛っ!」
ミチミチと膣内を引き裂く音が鳴り、激しい痛みが股の中心から広がっていく。ゆあんは咄嗟に後ろへと下がり、クロス自身から距離を置いた。
「はあ、はあ…ん゛っ……」
わずかだが、ソファに真っ赤な鮮血が滲む。
ジンジンと巡る痛みでゆあんは冷静さを取り戻し、同時に涙が溢れ出す。
「ごめん、痛いよな」
「(こくこく……)」
ゆあんは、べそを掻いて痛みを訴えた。
クロスは申し訳なさそうな顔を作るが、反省しているようにも見えない。証拠に、すぐに距離を縮めて再び身体を触ろうとしている。
ゆあんは、そっぽを向いて拒絶の意を示した。
「悪い、いきなりだったよな」
身体の震えも止まらない。すぐにでもシャワーを浴びて、家の布団に潜り込みたかった。
「でも、最初はそうだから」
「……帰る」
幻滅――とでも言うだろうか。
とにかく今、この瞬間は全てに嫌気が差していた。ゆあんはとっとと衣服を整え、足早に出口へと向かう。
「また連絡するよ」
クロスの言葉には返事せず、ゆあんは真っ暗で寂しい帰路についた。
***
「――はあ……」
あれから1週間、クロスからは一切の連絡も無く、奇しくも大きなタメ息が溢れる。
クロスのことを嫌いになったわけではなく、始めは受け入れた自分もいる訳で、むしろ申し訳ない気持ちだった。
「きりかえ、きりかえ」
落ち込んでいる場合じゃない。今からメンバー全員の命運を掛けた打合せが始まるのだ。
新しいグループ名はあらかじめ伝えられていた。
――さ~もんデビる’s
1stシングル『アニサキス』でメジャーデビュー
膨らんだ期待が、大きな妄想を掻き立てる。
「……ここだ」
指定された場所は、都内の一流らしきホテル――多忙の中スケジュールを合わせてくれたらしい。
フロントの待合室だろうか、それとも1階のカフェ?
時間は夜を回り、周りにヒトが減って心臓の鼓動も早くなる。
「うーん、いないなあ」
会議室でも取ったのだろうか。だとすれば、他のメンバーも連れてきていいはずだ。てっきり、騒がしくしてはならないから、ゆあんだけを指定してきたと考えていた。
「つきました、どこにいますか」
プロデューサーにメッセージを送り、返事はすぐに帰ってくる。
『1303に来て!』
疑いの念が増していく。
だからと言って、尻尾を撒いて帰るわけにもいかない。
もしかしたら、それこそ会議室のような部屋なのかもしれない。
ゆあんは、自分を騙してエレベータに乗る。
指示された部屋の前に立ち、仕方なしにインターホンを押す。
「――やあ」
扉を開けたのは、バスローブ姿で湯気を出す小太りの男性――
「ちょうどシャワー浴び終わったところ、入って入って」
少ない髪の毛が頭皮にくっ付いて、薄さがより際立って見える。
ゆあんは言葉を失い、動けなくなって言われるがまま部屋に通される。
「いやあ、疲れちゃったよお。たっぷり癒しが欲しい感じ」
「……あの、打合せ――」
「ゆあんちゃんはどんなプレイがお好みかなあ」
キングサイズのベッドに腰を掛け、鼻歌交じりで髭を剃り終えた男は、剃刀を横のテーブルに置いてゆあんをイヤらしい目で舐め回す。
ゆあんは、部屋の入り口付近で固まって動けないでいた。
「どうしたの? 早く来なよ」
男が立ち上がり、気持ちの悪い笑みを浮かべながら近づいてい来る。
どれだけ美容に気を遣っていても
どれだけ肌が潤っていても
どれだけ香水を振りまいて誤魔化そうが、ゆあんには分かる。
キモい、汚い、臭い
汚らしい心――
「……すみません、帰ります」
早々に振り返って扉に手を掛ける。だが、男の動きは素早かった。後ろから動きを封じるように、ゆあんの全身を抱き締めてくる。
「どうして? これからだよね?」
――どうして
――どうして、わたしばっかり……
そうか、期待するからイケないんだ。
何度も何度も……
何度も何度も何度も、期待するだけバカだった――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる