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1章 ようこそエルデネンスへ!
チーター達の夜明け
しおりを挟むこれは女神と共有した智と、この地に降り立った日本人が残した歴史から導き出した、真実の歴史に近い物語。
今から200年ほど前の話です。
不運の女神に選ばれて命を落としていく者の多さに日頃から嘆いていた女神が一つの決断をしたのでした。
10歳よりも若い子供は生まれ変わるためにさほど時間はかかりませんが、それ以上のものには生まれ変わるまでの時間が長く、苦痛が続くために女神は心を痛めていたのです。
「彼らに第二の人生を与えましょう」
子を授かることも無いまま、親よりも先に死んでしまった若者たち
女神はまず、彼らが元いた地と同じように生活できる世界を探しました。
彼らの地と同じように人が住み、言語を用いて生活をしている世界を。
すると、そのような世界は何百とある事が分かったのです。
しかし、どの世界も完璧なものではなく、魔物が現れる世界であったり数年に一度ひどい天変地異が起こる世界であったりと、彼らが暮らしていた世界のように不自由のない世界は一つとして無かったのです。
「これではまた彼らがすぐに命を落としてしまう」
女神は悩み、その末に彼らに特別な能力を与える事を決めました。
あるものには武の力を、あるもの癒やしの力を、あるものには創造する力を与えてそれぞれの世界に送り込みました。
それぞれの力は膨大と呼べるようなものではありません。争いを産むことを女神は理解していたからです。
生きる力を持った彼らが元々使っていた言語に似た言語を持った世界へと送られ、不自由の少ない生活を送るようになりました。
そして、生前の知識を利用して元暮らしていた世界に近づけていきました。
衛生観念を元の世界に近付けるために伝導したものも居ました。
日本建築を再現しようとしたものも居ました。
魔法がある分、0から開拓するよりもずっと簡単でしたでしょうし、何より彼らには人を魅了する容姿と女神の加護があったのです。
こうしてこの世界を含む、異世界はどこも居心地の良い世界へと姿を変えました。
ここエルデネンスを含むこの世界……日本で死んだ者の世界と同じように。
正確な数は把握されていません。ただ、今はこの世界には100人に1人ほどの割合で日本から来た転生人、エルデネンスの人はイミグイの民と呼ぶこの国に住んでいるそうです。
のどかで美しいゆっくりと流れる時間の中でも生活に不便をする事が無いのは、過去にここに訪れたイミグイの民の努力の賜物なのです。
イミグイの民は、この世界の原住民と同じように年をとり、やがて本当に死んでいきます。
それまでにこの世界に何を残せるか、何を残せなくとも幸福に暮らせるかがイミグイの存在理由です。
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