おっさん救世主はふたつの世界を救うため、両世界をまたにかけ異世界ウェディング事業を立ち上げる事にした

紅葉ももな(くれはももな)

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言うことを聞かない若いのは八人。 

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第41話 言うことを聞かない若いのは八人

 愛娘からの救難要請を受けた俺は、同級生で大手企業に妻と勤務していたが、不景気によるリストラを期に実家のある土地へ帰ってきた無職仲間の白河彰吾(しらかわしょうご)と、同じく同級生で地元でレストラン兼居酒屋を営む磯野幸広(いそのゆきひろ)の運転で娘が待っているはずのお屋敷へ急行していた。

「もしもし?そちらでお世話になっております、沖田美枝子(おきたみえこ)の主人ですが、いつも妻がお世話になっております。 申し訳ありませんが美枝子をお願いしたいのですが、電話を代わっていただけませんでしょうか……はい、すみません」

 電話の相手は我が家の大黒柱であらせられる美枝子様の職場だ。

 どの様な事態になっているかわからないが、最悪の場合暴走したと言う蛍の友人に怪我人や死人が出かねない。

 只でさえ高校生と言う思春期の若者は危険な事を怯えずに出来ちゃう俺、カッコ良くない? と言う大人になってから周囲にバラされて悶絶するような黒歴史をついつい打ち立てちゃうお年頃だ。

 俺も若い頃はスクーターに二人乗りしてパトカーに追い掛けられたり、自動車学校の路上教習中の大型教習車を追い越して白バイに捕まってみたり……。

 まぁ、色々やったが美咲ちゃんの説明が正しければ、言葉の通じない異世界へ飛び出していった彼等に降りかかりかねない危険は、命に関わる怪我をおいかねない。

 そうなった場合、回復魔法が使えるかわからない俺では、使えなかった場合対処できない可能性が高い、それなら確実に使える人を読んだ方が良いだろう。

『はい、美枝子ですけど、一成さん珍しいわね? 職場に電話を掛けてくるなんて……』

「あぁ、仕事中に邪魔してすまない。 蛍が友人を何名かあちらに連れていってしまったらしくてな、そのうち数名が消息不明になってる」

『何ですって!? あーもーわかったわ。 直ぐ早退して直接お屋敷に向かうから、貴方は先行してその子供達を連れ戻して』

「ごめんなぁ」

『仕方無いわよ、後で蛍はお説教ね。 それじゃぁ切るわよ、すいませーん! 社長~早退させてくださーい……』

 スマートフォンの通話を切ると言っていたはずだが、受話器の向こうからガサゴソと音がするため、切り損なったのだろう。

 俺の方から通信を切るとどうやら目的地が近いようだったので、ハンドルを握る幸広に経路を案内すれば、屋敷の門の前で落ち着きなく歩き回る蛍と、スレンダーな体躯にショートカットの髪の少女が待ち構えていた。

「蛍、美咲ちゃん!」

「パパぁ!」

「おじさん!」

 門の前で彰吾と一緒に先に下車すると、蛍が胸に飛び込んできた。

「うぅ~、ごめんなさ~い」

 だいぶ泣いたのか目元が真っ赤に腫れている。

「話は後から美枝子と一緒に聞かせてもらう
、俺は先にあちらに渡るから二人は美枝子と来るんだ、良いね?」

「う、うん。 パパ皆を助けて……」

 不安げな蛍の頭を撫でる。 高校生になってだいぶ背が伸びたと言ってもまだまだ子供だ。

「あぁ、行ってくる」

「おじさん、翼(たすく)もあちらに行ってしまって行方が分からないんです」
 
「わかった、何人あっちに迷い込んだかわかるかな?」 

「翼の他に七名です、全員男子生徒です」

「うん、わかった。 ありがとう……彰吾、幸広は……うん、来たね。 二人とも付いてきて」

「おう! 心配すんなちゃーんとおじさん達が連れ戻してやっからよ」

「自分で自分のことおじさんって言うなよ。悲しくなるだろうが、おじ様なら許すけどな!」

 「たいして変わらないだろうが」

 昔と変わらないような軽口を叩きあう彰吾と幸広を引き連れて俺はエレベーターを降りていった。 
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