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試されているのは誰でしょう?
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今日は学園の卒業パーティの日。
明日から大人の仲間入りをする学生たちのために教師たちすらも参加しない卒業生による卒業生のためのパーティ。
そんな学生時代最後の楽しい時間は第一王子バランシスによって壊された。
「ジャスティア公爵令嬢!其方との婚約を破棄する!」
パーティ会場のど真ん中で婚約者のジュスティ・ジャスティア公爵令嬢に指をさしながら宣言した。
「バランシス・オーディアル殿下。理由を窺っても?」
「ふん!しらばっくれても無駄だぞ!アクティー!」
王子に名前を呼ばれてできたのは一人の少女だった。
可憐な見た目の少女の名はアクティー・ネロ男爵令嬢。
学園においてバランシスと仲睦まじい姿を目撃されていた少女である。
「はい…殿下…うっ!?」
「どうしたアクティー!」
「いまジュスティににらまれました~」
「なんだって!?ジュスティ貴様!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明らかな茶番にワタシは小さくため息をついた。
なぜなら目の前で繰り広げられている婚約破棄騒動は巷で流行りの小説の一つと全く同じだからだ。
「(殿下たちはなぜこんな茶番をしているのかしら?)」
申し遅れましたがワタシはトゥルース・オブサヴ。オブサヴ侯爵家の長女でございます。
ちなみにバランシス殿下とジュスティ様とアクティー様とは幼馴染の親友ですの!
またワタシは我がオブサヴ侯爵家の立場上、殿下とジュスティ様が相思相愛であることもアクティー様のお家であるネロ男爵家が王家の隠密であることも昔からよく知っております。
いえ私でなくとも殿下とジュスティ様が相思相愛であることは結構有名だったはず…
えっと、とにかく幼馴染なのにこの茶番については何一つ知らされなかったために大変驚いていますわ。
「(ワタシだけ仲間外れなんてずるいですわ!)」
そう思いながらも茶番の行く末を見守っていましたが、公爵令嬢が男爵令嬢に行ったといういじめの内容もそれについての反論も見事に小説通り過ぎてだんだんと舞台を見ている気分になってきました。
「(劇場の座席に座ってじっくり拝見したいですわね…)」
殿下たちの見事な演技にくだらないことを考えていると背後から小さく声が聞こえてきましたの。
「…前からジュスティ様は怪しいと思っていたのよ。とんだ猫かぶりでしたのね!」
「あの純真無垢のアクティー嬢に嫉妬したからって物を捨てたり壊したりするのはないわー」
「そもそも婚約自体がジュスティ様のわがままという話よ…」
ワタシは思わずあげそうになる声を何とか寸前で抑えることに成功しましたわ。
「(こんなにわかりやすい演技なのに騙されているの?えっとあの方は子爵令息であの方は伯爵令嬢でしたわね)」
ワタシは明らかな失言をしている者たちを記憶していく。
小説の内容を知らなくとも真面なものであるならば婚約者がいながら浮気をしている殿下のほうに非があると判断しますし、そもそも学園内で物を壊したり隠したりといったことも不可能であることも知っているはずです。
だというのに、ジュスティ様を批判しているということは学園の決まりもどころか常識も理解できていないお方と言えますのよ。
更に王国でも有数の名門校であるこの学園の卒業生は高位の学園に入学するもの以外は貴族平民出身問わず、それなりに責任のある良い仕事就くことが大半なのでこれは大問題と言えますわ。
「(いったい今まで何を学んできたのか…!まさか)」
ワタシはふと気が付いて殿下たちの方を見る。
するとワタシの視線に気が付いたバランシス殿下とアクティー様が目で答えた。ちなみにワタシの位置だとジュスティ様の背後になので視線が合わず気が付いたのは2人だけですわ。
「(その通り)」
「(仲間はずれにしてごめんね!)」
ああやっぱり。
この茶番は最後の卒業試験でしたのね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「というわけで!ジュスティの悪事と婚約破棄をこれから父上に進言してくる!皆はパーティーを楽しんでくれ!…兵士たちそこの悪女を連れて行け!」
バランシスの一言で兵士たちがジュスティを囲み彼女を連れて行く。
しかし実際のところは彼女を愚か者たちの好奇な目から守り安全に侯爵家に送り届けるための護衛である。
「ああ、ちなみに今日のことはことが正式に決まるまで他言無用とする」
そう言ってバランシスとアクティーもまた会場から出て行った。
残された会場ではすべてを理解しているもの、王子の行いに腹を立てているもの、アクティーに怒っているもの、ジュスティをあざ笑うものなど様々だったが、その様子を侍女や執事たちが観察していることに気が付いていたのは一体何人だったのだろうか。
「なんで僕たちの卒業が取り消しなんだ!」
「そうですわ!それに殿下とジュスティ様の婚約破棄が無かったってどういうことなんですの!?」
「お父上にもお話してしまったのに!」
翌日学園では最終試験で不合格になった生徒が集められていた。
彼らは特別棟にてさらに一年間授業を受けることになる。
ただし、その後の再試験で不合格になれば退学となり二度と学園を卒業することはかなわなくなる。
「ちゃんと物事を学んで冷静に見ていればまず不合格になることなんてないのに…自業自得ですわ」
合格者として別室で試験の説明と卒業証書をもらった帰り、わめく不合格者を横目に見ながらトゥルース・オブサヴ侯爵令嬢はつぶやいた。
「ああでも、不合格者の方々は日ごろから嫌味や見下しが酷かった方たちばかりなのでちょっといい気分ですわね」
これがざまぁってやつなのかしら?
「どうでもいいことですわね。さて、ワタシを仲間はずれにした皆さまにきっちりと説明をしてもらわないと」
気持ちを切り替えてトゥルースは幼馴染たちのまつ王宮に向かった。
学園を上位の成績で卒業した彼女は数日後から王太子妃となるジュスティの側近となるのだ。
トゥルースを含めた卒業生たちの未来は明るい。
明日から大人の仲間入りをする学生たちのために教師たちすらも参加しない卒業生による卒業生のためのパーティ。
そんな学生時代最後の楽しい時間は第一王子バランシスによって壊された。
「ジャスティア公爵令嬢!其方との婚約を破棄する!」
パーティ会場のど真ん中で婚約者のジュスティ・ジャスティア公爵令嬢に指をさしながら宣言した。
「バランシス・オーディアル殿下。理由を窺っても?」
「ふん!しらばっくれても無駄だぞ!アクティー!」
王子に名前を呼ばれてできたのは一人の少女だった。
可憐な見た目の少女の名はアクティー・ネロ男爵令嬢。
学園においてバランシスと仲睦まじい姿を目撃されていた少女である。
「はい…殿下…うっ!?」
「どうしたアクティー!」
「いまジュスティににらまれました~」
「なんだって!?ジュスティ貴様!」
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明らかな茶番にワタシは小さくため息をついた。
なぜなら目の前で繰り広げられている婚約破棄騒動は巷で流行りの小説の一つと全く同じだからだ。
「(殿下たちはなぜこんな茶番をしているのかしら?)」
申し遅れましたがワタシはトゥルース・オブサヴ。オブサヴ侯爵家の長女でございます。
ちなみにバランシス殿下とジュスティ様とアクティー様とは幼馴染の親友ですの!
またワタシは我がオブサヴ侯爵家の立場上、殿下とジュスティ様が相思相愛であることもアクティー様のお家であるネロ男爵家が王家の隠密であることも昔からよく知っております。
いえ私でなくとも殿下とジュスティ様が相思相愛であることは結構有名だったはず…
えっと、とにかく幼馴染なのにこの茶番については何一つ知らされなかったために大変驚いていますわ。
「(ワタシだけ仲間外れなんてずるいですわ!)」
そう思いながらも茶番の行く末を見守っていましたが、公爵令嬢が男爵令嬢に行ったといういじめの内容もそれについての反論も見事に小説通り過ぎてだんだんと舞台を見ている気分になってきました。
「(劇場の座席に座ってじっくり拝見したいですわね…)」
殿下たちの見事な演技にくだらないことを考えていると背後から小さく声が聞こえてきましたの。
「…前からジュスティ様は怪しいと思っていたのよ。とんだ猫かぶりでしたのね!」
「あの純真無垢のアクティー嬢に嫉妬したからって物を捨てたり壊したりするのはないわー」
「そもそも婚約自体がジュスティ様のわがままという話よ…」
ワタシは思わずあげそうになる声を何とか寸前で抑えることに成功しましたわ。
「(こんなにわかりやすい演技なのに騙されているの?えっとあの方は子爵令息であの方は伯爵令嬢でしたわね)」
ワタシは明らかな失言をしている者たちを記憶していく。
小説の内容を知らなくとも真面なものであるならば婚約者がいながら浮気をしている殿下のほうに非があると判断しますし、そもそも学園内で物を壊したり隠したりといったことも不可能であることも知っているはずです。
だというのに、ジュスティ様を批判しているということは学園の決まりもどころか常識も理解できていないお方と言えますのよ。
更に王国でも有数の名門校であるこの学園の卒業生は高位の学園に入学するもの以外は貴族平民出身問わず、それなりに責任のある良い仕事就くことが大半なのでこれは大問題と言えますわ。
「(いったい今まで何を学んできたのか…!まさか)」
ワタシはふと気が付いて殿下たちの方を見る。
するとワタシの視線に気が付いたバランシス殿下とアクティー様が目で答えた。ちなみにワタシの位置だとジュスティ様の背後になので視線が合わず気が付いたのは2人だけですわ。
「(その通り)」
「(仲間はずれにしてごめんね!)」
ああやっぱり。
この茶番は最後の卒業試験でしたのね。
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「というわけで!ジュスティの悪事と婚約破棄をこれから父上に進言してくる!皆はパーティーを楽しんでくれ!…兵士たちそこの悪女を連れて行け!」
バランシスの一言で兵士たちがジュスティを囲み彼女を連れて行く。
しかし実際のところは彼女を愚か者たちの好奇な目から守り安全に侯爵家に送り届けるための護衛である。
「ああ、ちなみに今日のことはことが正式に決まるまで他言無用とする」
そう言ってバランシスとアクティーもまた会場から出て行った。
残された会場ではすべてを理解しているもの、王子の行いに腹を立てているもの、アクティーに怒っているもの、ジュスティをあざ笑うものなど様々だったが、その様子を侍女や執事たちが観察していることに気が付いていたのは一体何人だったのだろうか。
「なんで僕たちの卒業が取り消しなんだ!」
「そうですわ!それに殿下とジュスティ様の婚約破棄が無かったってどういうことなんですの!?」
「お父上にもお話してしまったのに!」
翌日学園では最終試験で不合格になった生徒が集められていた。
彼らは特別棟にてさらに一年間授業を受けることになる。
ただし、その後の再試験で不合格になれば退学となり二度と学園を卒業することはかなわなくなる。
「ちゃんと物事を学んで冷静に見ていればまず不合格になることなんてないのに…自業自得ですわ」
合格者として別室で試験の説明と卒業証書をもらった帰り、わめく不合格者を横目に見ながらトゥルース・オブサヴ侯爵令嬢はつぶやいた。
「ああでも、不合格者の方々は日ごろから嫌味や見下しが酷かった方たちばかりなのでちょっといい気分ですわね」
これがざまぁってやつなのかしら?
「どうでもいいことですわね。さて、ワタシを仲間はずれにした皆さまにきっちりと説明をしてもらわないと」
気持ちを切り替えてトゥルースは幼馴染たちのまつ王宮に向かった。
学園を上位の成績で卒業した彼女は数日後から王太子妃となるジュスティの側近となるのだ。
トゥルースを含めた卒業生たちの未来は明るい。
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