【完結】大聖女の息子はやり直す

ゆるぽ

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終章・魔王大戦

69 ディートの覚悟

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シェリィが殺された後の世界は滅茶苦茶であった。

前の世界においてジュディとアリーはいつの間にか魔王に精神を支配されていたらしく、彼の手足として世界を破壊しつくしていた。

そしてアレクシスや母シャーリィをはじめとした大聖人や大聖女たちと聖獣と巫達、世界各国の優秀な魔導士や騎士戦士を集めた総力戦でも魔王を倒すことはできずに世界は原初の混沌のごとくに形を失くした。





「…僕に精神逆行の大魔法が発動したのは世界の崩壊を防ぐためだったのか…」



そして、これから起こるであろう戦いで敗れれば同じことが起こる。



「…もう…僕一人の罪の話じゃない…」





ディートはこぶしを握り締める。





ずっと後悔があった。

大切な妹を傷つけたこと、イリスとイザベラ達が体を奪われ苦しんでいたことに気が付かなかったこと、なにも知ろうとせず朽ち果てたこと。

それらすべては己の精神的、肉体的な弱さが招いた罪だとディートはずっと思っていた。





だから未来を変えるためにできることをしたし、努力をした。

それでも罪という重しが心を体を締め付け重くしている自覚がずっとあったのだ。





「できる出来ないじゃない出来なければすべてが終わる。もう一度戻れる保証もない…やるしか…ないんだ!!」




そう叫び顔を上げた瞬間混沌の暗闇が晴れる。


真っ白で何もない空間にポツンとそれは浮かんであった。


その剣はガードまでしかなく刃がついておらず、剣とは本来呼べない代物である。


だがディートはそれが剣であると直感で理解していた。





「最初に見たときは普通の剣に見えた…これが神器の本来の姿…?」


「いかにも」


「!?」







「我が其方に与えた試練は罪の克服。其方はすでに失われた時に捕らわれありもしない罪に縛られていた…」


「ありもしない罪…」







そう、前の時は精神逆行の大魔法が発動した時点ですでになかったことになっているのだ。


ディートの記憶の中にあるその光景はあった現実ではなくなのだ。





「罪に捕らわれたものは罰を求める。断罪を求めるものが他者に断罪を下すことが出来ようか」






魔王を倒すには負の感情に負けない迷いのない心を持つ必要がある。

罪に捕らわれたままでは魔王に付け入られる可能性があったのだ。






「だが、そなたは罪を乗り越えた。あり得たかもしれない記録過去より未来を選ぶことが出来たのだ」





神器がディートの胸の前までやってくる。



「我こそは神器・曙光の剣。其方を主と認めよう」



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