83 / 107
終章・魔王大戦
71 制限解除
しおりを挟む
アレクシスは帝国の神殿にて瞑想をしていた。
帝国の地下を流れる大地の力を取り込むことで一時的なパワーアップを得るためと制限を解除するためである。
アレクシスは大聖人の中でも特に力の強い…いや強すぎる存在であった。
そのままだと身から漏れ出る聖霊力に当てられ体調を崩す者もいたくらいだ。
そのため彼は所属する帝国の皇帝に申請し、力そのものに制限をかける術を施していた。
制限さえなければ実は最初のルナライズ侯爵家襲撃事件の時点でアリーぐらいであれば仕留めることが出来ていたりする。
「…制限解除…完了」
ふうっと息を吐いたアレクシスは久しぶりに枷を外した体を確かめる。
驚くほど体が軽かった。
必要最低限しか制限していないつもりであったが、自覚するよりもはるかに強い制限がかかっていたようだ。
彼は力を確かめると特注で作っておいた衣服に着替える。
これは制限を解除した彼の力に当てられるものが出ないようにするための防護服である。
制限がない今、普段の服装では少し街を歩くだけでも倒れるものが出てしまうだろう。
「今日から本格的な調査だったはずだが…レイヴンたちは大丈夫だろうか?」
地下にある神殿から地上に上がりながらアレクシスはつぶやいた。
魔王と戦うには神器の存在は欠かせない。
聖霊力の使える彼は大丈夫であるが、レイヴンやイリスなどの魔法しか使えない面子は神器が無ければ戦うことすら難しいだろう。
「それに精神的な修行も必要になるな…相手は不の感情の塊のようなものだ心の弱い部分に付け込んでくるだろう…」
歩きながらディートたちの精神的な修行について思案するアレクシスであるが、考案する必要すらすでに無いことはまだ知らない。
聖獣とその巫女や巫達が集まっていた。
「我ら聖獣を統べる王にして神たる聖獣王より許可が出た」
狼の姿をした聖獣が集まった者たち全員に聞こえるように言った。
「魔王との決戦において力の解放を許可する。神器に選ばれし者たちが無事に魔王を倒せるように全力で露払いせよとのことだ」
「「「「「「御心のままに」」」」」
聖獣たちもまたアレクシスとおなじく強すぎる力で他者を傷つけないように制限をかけている。
ただし、アレクシスと異なり本人たちの意思で解除しようとすれば一応できる。
しかしそれは緊急時の一時的なもののみとされているため、長期間開放する必要があるときはあらかじめ聖獣王が許可を出しているのだ。
「制限解除か…だが我らの役目が露払いとは…運命というやつか…ずるいな」
「そういうなアルマ。彼を軸に時が戻された時点で決まっていたことだ。それに魔王の眷属は強敵ぞろい。相手にとって不足はない」
魔王と戦えないことが心底残念だという様子のアルマリアを白虎の聖獣ハクエイがなだめていた。
戦闘狂のアルマリアとしてはすべてを理解していても残念なものは残念なのだ。
「まあ、久しぶりに全力で暴れられると思えば…悪くはないか…」
そういって彼女はディートたちがいるであろう方向を向く。
「運命だから今回は譲ってやろう…だから確実に仕留めろよ?」
にやりと笑う彼女は狂気的で美しかった。
帝国の地下を流れる大地の力を取り込むことで一時的なパワーアップを得るためと制限を解除するためである。
アレクシスは大聖人の中でも特に力の強い…いや強すぎる存在であった。
そのままだと身から漏れ出る聖霊力に当てられ体調を崩す者もいたくらいだ。
そのため彼は所属する帝国の皇帝に申請し、力そのものに制限をかける術を施していた。
制限さえなければ実は最初のルナライズ侯爵家襲撃事件の時点でアリーぐらいであれば仕留めることが出来ていたりする。
「…制限解除…完了」
ふうっと息を吐いたアレクシスは久しぶりに枷を外した体を確かめる。
驚くほど体が軽かった。
必要最低限しか制限していないつもりであったが、自覚するよりもはるかに強い制限がかかっていたようだ。
彼は力を確かめると特注で作っておいた衣服に着替える。
これは制限を解除した彼の力に当てられるものが出ないようにするための防護服である。
制限がない今、普段の服装では少し街を歩くだけでも倒れるものが出てしまうだろう。
「今日から本格的な調査だったはずだが…レイヴンたちは大丈夫だろうか?」
地下にある神殿から地上に上がりながらアレクシスはつぶやいた。
魔王と戦うには神器の存在は欠かせない。
聖霊力の使える彼は大丈夫であるが、レイヴンやイリスなどの魔法しか使えない面子は神器が無ければ戦うことすら難しいだろう。
「それに精神的な修行も必要になるな…相手は不の感情の塊のようなものだ心の弱い部分に付け込んでくるだろう…」
歩きながらディートたちの精神的な修行について思案するアレクシスであるが、考案する必要すらすでに無いことはまだ知らない。
聖獣とその巫女や巫達が集まっていた。
「我ら聖獣を統べる王にして神たる聖獣王より許可が出た」
狼の姿をした聖獣が集まった者たち全員に聞こえるように言った。
「魔王との決戦において力の解放を許可する。神器に選ばれし者たちが無事に魔王を倒せるように全力で露払いせよとのことだ」
「「「「「「御心のままに」」」」」
聖獣たちもまたアレクシスとおなじく強すぎる力で他者を傷つけないように制限をかけている。
ただし、アレクシスと異なり本人たちの意思で解除しようとすれば一応できる。
しかしそれは緊急時の一時的なもののみとされているため、長期間開放する必要があるときはあらかじめ聖獣王が許可を出しているのだ。
「制限解除か…だが我らの役目が露払いとは…運命というやつか…ずるいな」
「そういうなアルマ。彼を軸に時が戻された時点で決まっていたことだ。それに魔王の眷属は強敵ぞろい。相手にとって不足はない」
魔王と戦えないことが心底残念だという様子のアルマリアを白虎の聖獣ハクエイがなだめていた。
戦闘狂のアルマリアとしてはすべてを理解していても残念なものは残念なのだ。
「まあ、久しぶりに全力で暴れられると思えば…悪くはないか…」
そういって彼女はディートたちがいるであろう方向を向く。
「運命だから今回は譲ってやろう…だから確実に仕留めろよ?」
にやりと笑う彼女は狂気的で美しかった。
10
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
【完結】竜王に嫁いだら、推しの半竜皇子の継母になりました〜冷酷な夫には興味ありませんが、闇落ち予定の皇子は私が全力で幸せにします!〜
せりもも
恋愛
転生したのは、web小説の世界だった。物語が始まる前の時間、隣国の竜王へ嫁ぐ薄幸の王女、デジレに。
結婚相手である竜王ワッツァは、冷酷非道で人間を蔑む恐ろしい竜人だ。彼はデジレを、半竜(半分竜で半分人間)である息子の養育係としかみていない。けれどその息子バートラフこそ、前世の「わたし」の最オシだった。
この世界のバートラフはまだ5歳。懸命に悪ガキぶっているけど、なんてかわいいの!? 小説のバートラフは、闇落ちして仲間の騎士たちに殺されてしまうけど、そんな未来は、絶対に許さないんだから!
幼いバートラフに対する、愛情いっぱいの子育ての日々が始まる。やがて彼の成竜への通過儀礼を経て、父の竜王は、デジレに対して執着を見せ始める。
ところが、竜と人間の戦争が始まってしまう。おとなになったバートラフは人間側につき、聖女の騎士団に入った。彼は、父の竜王に刃を向けられるのか? そして、転生者デジレに与えられたスキル「プロットを破断する者」を、彼女はどう発動させるのか。
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる