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男として
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俺は自我を認め、大人になった。
そして最上級生になり、
いよいよ、鳥籠からの旅立ちが迫っていく。
問題は、周囲の環境だった。
最上級生ともなれば、
そのほとんどが、
男としての禊を済ませ、
それを誇示するようになる。
男だらけの2年間、
俺は内なる自分との戦いだけに、
終始していた。
ただ、周りはそれを知る由もない。
どことなく級友達との距離を感じ、
俺がどう見られているか、
気付かれてしまっていないか、
遅れをとっていないか、
それを払拭する事が、
俺の優先順位になっていった。
盛りにいる俺を自覚しつつ、
俺は、
一度体裁を整える事にした。
最大の盛りは、
まだ先にあると、
高を括っていたからだ。
ここからは単純な振り返り。
彼女もちの同級生から、
紹介してもらった他校のヒロミが、
俺の最初の彼女。
ヒロミは、
俺が好きなアーティストのファンだった事もあり、
一緒にライブを見に行ったり、
普通に遊びに行ったり、
彼女なんだか、
友達なんだか、
よくわからない付き合い方だった。
俺はそれで良かった。
一応、俺から告白した。
ヒロミには申し訳ないが、
ステータスでしかなかったし。
これで既成事実を作れた。
3ヶ月付き合い、
一度だけキスした。
それ以上の事は、
正直起こらなかった。
そんな俺に愛想を尽かしたのか、
ヒロミは、
俺とあまり親しくない同級生と、
距離が近づいていると知らされた。
なぜか悔しい、負けたような思いもあった。
キス以上がなかったとは言え、
俺は優しかったはずだし、
ましてや俺の深層を
悟られるような振る舞いは
一切してない。
俺は自然消滅となるように、
ヒロミから離れた。
そして11月、
最後の彼女であるユマと付き合い始めた。
ユマは、俺らと良く男女4人ずつくらいでカラオケに行ったり、ゲーセンに行ったりするような遊び仲間であり、
その女子内では見た目も含めて中心だ。
彼氏は半年くらい居ない。
そして、俺のいつも連んでたAが、
ユマをずっと好きだったのも知っていた。
俺はAとユマを何とかくっ付けようと、
ユマとも良く連絡を取り合ったり、ご飯食べたりしている中で、
どうやら俺を好きになってしまったようだ。
もちろん、付き合わない事も出来た。
と同時に、
ユマと付き合う事で、Aより優位性を感じられると思った。
Aは俺より背も高く、しゃべりも上手い、頭も少し良い。
仲間というよりも親友に近い関係が、
俺を卑屈にさせていたのかもしれない。
俺はユマと付き合い始め、Aには誤り、それで友情にヒビが入る事もなかった。
ユマは交友関係も広かったが、
ほぼ毎日、帰る時には
わざわざ俺が乗るバス停で途中下車し、俺を待っててくれて一緒に帰った。
お菓子やケーキをよく手作りして、持ってきてくれた。
彼女や奥さんとしては、申し分ない子。
クリスマスには、マフラーと手袋をプレゼントしてくれた。
初めてのプレゼントらしいプレゼントだった。
そんなユマと付き合う中で、
俺はもしかしたら、
このまま、
周囲と同じように、
一般の男として生きれるのかもしれないと淡い期待を持った。
そして、クリスマスが過ぎた頃、
俺はユマと関係を持った。
女性は初めてだったから、
ユマがうまくリードしていた記憶がうっすらある。
しかし、淡い期待はユマとの最中に、幻想だったと改めて感じた。
俺はユマを抱いている間、
全く別な人を思い浮かべていたからだ。
具体的な誰かではなく、
俺が興奮する誰か。
それは紛れもなく、
同性だった。
なかなか俺は最後を何とか迎え、
一応の男女の事を終えた。
年が明け、
俺もユマも受験が迫ると、
距離は広がっていった。
ユマを踏み台にしてしまった、
人として後悔した。
ユマの愛情に俺は応えられない。
それだけが俺に虚しさを覚えさせた。
でも、俺は自分を偽る事はできないとはっきりわかった。
俺はわざとユマに嫌われるように、
別れを決めた。
卒業。
俺の3年間は、まさに頂だった。
喜びも、
空しさも、
虚勢も、
自分の魅力も、
知った。
まだ春は遠い3月、
俺は籠から一歩二歩と、
噛み締めるように、
自分の足で歩き出した。
満開になる桜を思い浮かべて。
俺の頂も、
まだ頂点ではない事を信じて。
次作へ続く
そして最上級生になり、
いよいよ、鳥籠からの旅立ちが迫っていく。
問題は、周囲の環境だった。
最上級生ともなれば、
そのほとんどが、
男としての禊を済ませ、
それを誇示するようになる。
男だらけの2年間、
俺は内なる自分との戦いだけに、
終始していた。
ただ、周りはそれを知る由もない。
どことなく級友達との距離を感じ、
俺がどう見られているか、
気付かれてしまっていないか、
遅れをとっていないか、
それを払拭する事が、
俺の優先順位になっていった。
盛りにいる俺を自覚しつつ、
俺は、
一度体裁を整える事にした。
最大の盛りは、
まだ先にあると、
高を括っていたからだ。
ここからは単純な振り返り。
彼女もちの同級生から、
紹介してもらった他校のヒロミが、
俺の最初の彼女。
ヒロミは、
俺が好きなアーティストのファンだった事もあり、
一緒にライブを見に行ったり、
普通に遊びに行ったり、
彼女なんだか、
友達なんだか、
よくわからない付き合い方だった。
俺はそれで良かった。
一応、俺から告白した。
ヒロミには申し訳ないが、
ステータスでしかなかったし。
これで既成事実を作れた。
3ヶ月付き合い、
一度だけキスした。
それ以上の事は、
正直起こらなかった。
そんな俺に愛想を尽かしたのか、
ヒロミは、
俺とあまり親しくない同級生と、
距離が近づいていると知らされた。
なぜか悔しい、負けたような思いもあった。
キス以上がなかったとは言え、
俺は優しかったはずだし、
ましてや俺の深層を
悟られるような振る舞いは
一切してない。
俺は自然消滅となるように、
ヒロミから離れた。
そして11月、
最後の彼女であるユマと付き合い始めた。
ユマは、俺らと良く男女4人ずつくらいでカラオケに行ったり、ゲーセンに行ったりするような遊び仲間であり、
その女子内では見た目も含めて中心だ。
彼氏は半年くらい居ない。
そして、俺のいつも連んでたAが、
ユマをずっと好きだったのも知っていた。
俺はAとユマを何とかくっ付けようと、
ユマとも良く連絡を取り合ったり、ご飯食べたりしている中で、
どうやら俺を好きになってしまったようだ。
もちろん、付き合わない事も出来た。
と同時に、
ユマと付き合う事で、Aより優位性を感じられると思った。
Aは俺より背も高く、しゃべりも上手い、頭も少し良い。
仲間というよりも親友に近い関係が、
俺を卑屈にさせていたのかもしれない。
俺はユマと付き合い始め、Aには誤り、それで友情にヒビが入る事もなかった。
ユマは交友関係も広かったが、
ほぼ毎日、帰る時には
わざわざ俺が乗るバス停で途中下車し、俺を待っててくれて一緒に帰った。
お菓子やケーキをよく手作りして、持ってきてくれた。
彼女や奥さんとしては、申し分ない子。
クリスマスには、マフラーと手袋をプレゼントしてくれた。
初めてのプレゼントらしいプレゼントだった。
そんなユマと付き合う中で、
俺はもしかしたら、
このまま、
周囲と同じように、
一般の男として生きれるのかもしれないと淡い期待を持った。
そして、クリスマスが過ぎた頃、
俺はユマと関係を持った。
女性は初めてだったから、
ユマがうまくリードしていた記憶がうっすらある。
しかし、淡い期待はユマとの最中に、幻想だったと改めて感じた。
俺はユマを抱いている間、
全く別な人を思い浮かべていたからだ。
具体的な誰かではなく、
俺が興奮する誰か。
それは紛れもなく、
同性だった。
なかなか俺は最後を何とか迎え、
一応の男女の事を終えた。
年が明け、
俺もユマも受験が迫ると、
距離は広がっていった。
ユマを踏み台にしてしまった、
人として後悔した。
ユマの愛情に俺は応えられない。
それだけが俺に虚しさを覚えさせた。
でも、俺は自分を偽る事はできないとはっきりわかった。
俺はわざとユマに嫌われるように、
別れを決めた。
卒業。
俺の3年間は、まさに頂だった。
喜びも、
空しさも、
虚勢も、
自分の魅力も、
知った。
まだ春は遠い3月、
俺は籠から一歩二歩と、
噛み締めるように、
自分の足で歩き出した。
満開になる桜を思い浮かべて。
俺の頂も、
まだ頂点ではない事を信じて。
次作へ続く
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