花盛りの頃 俺の頂

光輔

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捧げたい貴方に

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タケルと結ばれて気付いた。

俺は真っ先に兄ちゃんを思い浮かべていた。

俺の中にある僕は、

本気で兄ちゃんを欲していた。

残された時間はわずか。

俺は兄ちゃんに捧げる決心がついた。

年が明けた真冬の事、

既に部活を引退したタクミくんとは、

受験が迫ったこともあり、

関係はどんどん薄くなった。

たまにすれ違っても、

昔のようにはいかなかった。

もう俺の手には届かない、

大人の階段を、

先に登っているように見えた。

無事受験を終えた兄ちゃんは、

部活に顔を出した。

俺は忘れられてしまう気がした。

思い切って、

2人で遊ぶ約束をする。

タクミくんの家にした。

「先輩、もうすぐですね」

「だな。東京だしな。」

「寂しくないすか?」

「こないだまではな。でも、いざ進路が決まるとヤバいくらい寂しい」

「俺も弟として寂しいけど、兄ちゃんの夢の為、笑顔で送りますよ!」

「あの時以来だな、兄ちゃんって呼ぶの」

「可愛かった弟も、こんな野郎になっちゃいました!笑」

俺も身体的に成長し、

身長は低めだけど、

筋肉質で毛深くなり、

男臭さが出ていた。

「見た目じゃないの!可愛さは」

「まだ可愛い弟ですか?」

「ずっと弟だよ!」

「先輩、誰もいないの?相手…」

「以外にモテない!笑 あんまり喋るタイプじゃないからかな。お前となら話せるけど。」

「弟ですから!」

あの出来事を兄ちゃんは、

どう捉えていたのだろう。

多分ノーマルだけど、

俺がまだ可愛らしかったから、

魔が差しただけかな。

今の俺なら拒絶されるかな。

でも僕はそれでもよかった。

俺と僕、

初めて一致した結論だった。

「先輩、俺、もう兄ちゃんって呼ぶのやめるわ」

唐突に言ってみた。

「なんで?離れ離れになるからか?」

「違う。俺…もう一回タクミくんとしたい…だから、兄ちゃんじゃダメなんだよ…」

「…まぁ言いたいことはわかる」

「ごめん!タクミくんが欲しい。俺のわがままさ」

「俺もお前が欲しい。あれから言い出せずにいたけど、踏み出せなくてさ」

「じゃあ、今日俺を抱いてくれる?本気のやつだよ!俺初めてだからね!」

「俺もずっと想像だけしてたから、覚悟しろよ」

俺はタクミくんの胸に顔を埋め、

あの懐かしい匂いを嗅いだ。

背中に回した腕に力を入れながら、

抱きしめた。

タクミくんからは激しい確認、

ビリビリと電気が走るような、

感度が異常にあった。

あの夜よりも、

紅潮したタクミくんを、

最高潮にした後、

「欲しいか?」

「うん、いっぱい想像したんだよ。タクミくんと一体になる瞬間」

「俺でいいんだな?」

「タクミくんじゃなきゃやだ」

ゆっくりと、

ぎこちなく、

2人がジリジリと繋がる、

痛さと嬉しさが、

当時に起こる。

俺は唇と目を潤ませながら、

タクミくんをじっと見つめた。

言葉は出なかった。

僕はタクミくんの笑顔に見つめられ、

気を失うほどの幸せを感じた。

「最後は?」

「一緒に出来る?」

「このままで…か?」

「うん、タクミくんの女にして!」

「愛してる!」

ありきたりな表現の後、

わずかに俺の方が先走り、

間もなく、

タクミくんの一瞬の愛が、

俺の奥深くに押し寄せた。

俺はタクミくんに僕を捧げた。

俺は僕に感謝した。

これからは、

俺も僕もない。

俺一本で、

俺を生きられる。

目覚めを与え、

気付きを与え、

経験を与えてくれた。

愛も知った。

それが瞬間的な、

継続性のないものだとしても。

俺は俺を初めて好きになれた。

タクミくんとは、

もちろん、

それっきりとなりました。

俺も捧げるなら彼しかいない、

タクミくんも初めてなら、

俺しかいないと思っていたと信じたい。

例えば付き合うとか、

兄弟のような関係は、

あくまでも表面的なものに過ぎなかった為、

実現しなかった。

もう二度とあの感覚、

熱量は戻らない。

ただそれが2人の中に微かな火種として、

灯り続ける事は、

俺の生きる証になっている。
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