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うふふ
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「おばあちゃーん!ピンクのお花が咲いたよーう。」
「おばあちゃん、春がいっぱいたまってるよー。」
ワンダーたちは大きな声で、ジョセフィーヌのうちの前で叫びました。
ひぃちゃんは、入口の落ち葉に両手をついて、
「おばあちゃん!ジョセフィーヌおばあちゃん!」
中に聞こえるように、おなかの底から声を出して呼びました。
「…―い」
え?ひぃちゃんは、中から小さい声がしたのを聞き逃しませんでした。(だって、いつも落ち葉を掘って、ミミズの音を探していますからね。)
「ジョセフィーヌおばあちゃん!」
めずらしく、無口なロックが呼びました。
「は、あ、い。」
「!」
みんな、目を見開いて顔を見合わせました。
「おばあちゃん、もう、ここ、開けていいよね?」
ひぃちゃんは入口の落ち葉をさくさくと掘り出しました。
ニコルが飛び出して、ひぃちゃんを手伝い出しました。
と、言っても、ちいさなハツカネズミです。落ち葉をいちまい、いちまい、口でくわえて運びます。
ワンダーが言いました。
「よし、手伝おう!」
みんなおばあちゃんに早く会いたくて、何かしたくてたまらなかったのです。
「お、ばあ、ちゃん、あのねえ、き、れいな、おはな、もって、きたのよー。」
ニコルははっぱを一枚ずつ運びながら、向こう側のジョセフィーヌに話しかけました。
「あらあ。」
ヒミズモグラのひぃちゃんが、どんどん落ち葉を取り除くので、ジョセフィーヌの声がだんだん大きく聞こえます。
たぶん、向こうも同じなのでしょう。返事がはっきりしてきました。
「あのね、おばあちゃん、あのね、」
ゴータは待ちきれずに落ち葉に向かって話し始めています。
「うふ、うふふ…」
おばあちゃんだ!
「ひぃちゃん、ありがとうねえ。」ジョセフィーヌの声は、もう、すぐそこでした。
「おばあちゃん、ぼくたち、待っていたんだよ!」
そういいながらひぃちゃんは、最後のひとかきで入口の落ち葉に穴を開けました。
そこには大きく両手を広げたジョセフィーヌがいました。
「わーい!」
なんと、真っ先に飛びついたのはヨセフとロックでした。
「あーっ!」
けらけらと笑いながら、みんな団子になってジョセフィーヌの腕の中に飛び込んだのでした。
「みんな、会いたかったー。」
ジョセフィーヌも、みんなをまとめてぎゅっと抱きしめました。
「こっち、こっち。」
ゴータがジョセフィーヌの手を引っ張って、入口の横まで連れて行きます。
日陰に差してあるハンノキ、マンサク、梅、そして今差したヤマザクラ。
二カ月たっているのにみんななんとか枯れずに持っていました。
「まあー!」
ジョセフィーヌはひとつひとつ、びっくりして眺めました。
みんなはかわるがわる、それぞれの木の花が咲き始めるころの様子をおばあちゃんに話しました。
ジョセフィーヌも夢中になって聞いていました。自分が寝ている間に、こうやって春は始まるのか、と。
「みんな、ばあちゃん、こんなに生きてきたけど、寝ている間に少しずつ春が来ることをはじめて知った。みんなのおかげだわ!ありがとう!」
ジョセフィーヌは、もう一度、みんなをぎゅっとしてから、みんなと手をつないであたりを見回し、
「さあ、これからの春はばあちゃんと一緒。どんな楽しいことがあるのかしらね。」
…と、笑って言いました。
おしまい
「おばあちゃん、春がいっぱいたまってるよー。」
ワンダーたちは大きな声で、ジョセフィーヌのうちの前で叫びました。
ひぃちゃんは、入口の落ち葉に両手をついて、
「おばあちゃん!ジョセフィーヌおばあちゃん!」
中に聞こえるように、おなかの底から声を出して呼びました。
「…―い」
え?ひぃちゃんは、中から小さい声がしたのを聞き逃しませんでした。(だって、いつも落ち葉を掘って、ミミズの音を探していますからね。)
「ジョセフィーヌおばあちゃん!」
めずらしく、無口なロックが呼びました。
「は、あ、い。」
「!」
みんな、目を見開いて顔を見合わせました。
「おばあちゃん、もう、ここ、開けていいよね?」
ひぃちゃんは入口の落ち葉をさくさくと掘り出しました。
ニコルが飛び出して、ひぃちゃんを手伝い出しました。
と、言っても、ちいさなハツカネズミです。落ち葉をいちまい、いちまい、口でくわえて運びます。
ワンダーが言いました。
「よし、手伝おう!」
みんなおばあちゃんに早く会いたくて、何かしたくてたまらなかったのです。
「お、ばあ、ちゃん、あのねえ、き、れいな、おはな、もって、きたのよー。」
ニコルははっぱを一枚ずつ運びながら、向こう側のジョセフィーヌに話しかけました。
「あらあ。」
ヒミズモグラのひぃちゃんが、どんどん落ち葉を取り除くので、ジョセフィーヌの声がだんだん大きく聞こえます。
たぶん、向こうも同じなのでしょう。返事がはっきりしてきました。
「あのね、おばあちゃん、あのね、」
ゴータは待ちきれずに落ち葉に向かって話し始めています。
「うふ、うふふ…」
おばあちゃんだ!
「ひぃちゃん、ありがとうねえ。」ジョセフィーヌの声は、もう、すぐそこでした。
「おばあちゃん、ぼくたち、待っていたんだよ!」
そういいながらひぃちゃんは、最後のひとかきで入口の落ち葉に穴を開けました。
そこには大きく両手を広げたジョセフィーヌがいました。
「わーい!」
なんと、真っ先に飛びついたのはヨセフとロックでした。
「あーっ!」
けらけらと笑いながら、みんな団子になってジョセフィーヌの腕の中に飛び込んだのでした。
「みんな、会いたかったー。」
ジョセフィーヌも、みんなをまとめてぎゅっと抱きしめました。
「こっち、こっち。」
ゴータがジョセフィーヌの手を引っ張って、入口の横まで連れて行きます。
日陰に差してあるハンノキ、マンサク、梅、そして今差したヤマザクラ。
二カ月たっているのにみんななんとか枯れずに持っていました。
「まあー!」
ジョセフィーヌはひとつひとつ、びっくりして眺めました。
みんなはかわるがわる、それぞれの木の花が咲き始めるころの様子をおばあちゃんに話しました。
ジョセフィーヌも夢中になって聞いていました。自分が寝ている間に、こうやって春は始まるのか、と。
「みんな、ばあちゃん、こんなに生きてきたけど、寝ている間に少しずつ春が来ることをはじめて知った。みんなのおかげだわ!ありがとう!」
ジョセフィーヌは、もう一度、みんなをぎゅっとしてから、みんなと手をつないであたりを見回し、
「さあ、これからの春はばあちゃんと一緒。どんな楽しいことがあるのかしらね。」
…と、笑って言いました。
おしまい
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