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序章。
不思議な夢
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「ねぇ、あいつ懲らしめてやろうよ。」
___________________
珍しく夢を見た。いじめとも取れる言葉。それは残酷で冷徹な声により発された。
今日で高校一年生になる。しかしそれにしては良いとは言えない、良くない夢だった。
_______
「おめでとうございます。君達は今日から―」
校長先生の話はすごく長かった。そして1年間クラスでやっていける自信が無かった。あんなにも物静かな寂しいクラス。体育祭や文化祭なんか盛り上がるわけがない。
「チッ。」
私は1組で1番端にいたがその声は聞き取れた。2組の中央から聞こえた。何に対しての舌打ちかは分からない。しかし、校長先生に対しての舌打ちでは無いことは確かだった。
私はあまり気にしなかったが何かが引っかかった。
_______
「白執 夢兎夏(しらとり ゆうか)。ちょっと良いか。」
先生には好かれたかった。いい大学にも行きたいから。
「はい。何でしょうか先生。」
私の声は少しだけ緊張して震えていた。
「白執はこのクラスが嫌か?」
先生の声は少し掠れていた。
「何故ですか?」
「このクラス、少し物静かな感じがするんだ。」
「私もそれは少し感じていました。」
「そこでなんだが、白執には学級委員の様な仕事をして欲しい。」
「私が…ですか…?」
「中学でも好成績を残していたそうで、明るかったとか…だから白執にこのクラスを先導して欲しいんだ。入学して急だが考えておいてくれないか…。」
その声には不安の様な緊張の様な感情が込められていた。
「考えておきます。」
_______
私の親は私が10の時に離婚した。それからは父と二人暮らし。しかし私が15の時、父の単身赴任が決まった。それ以来は一人暮らしと言える生活をしている。
家族が居なくて寂しいと思ったことは無い。
小学校から親に心配をかけまいと、良い子を演じ平凡に、しかし楽しく過ごしてきた。
10の時から親が居ない様な環境だったので慣れてしまった。
今日も時計のカチカチという音が独りのこの部屋に響く。
「デーデーデデデデー♪」
私の携帯が鳴った。この音も部屋に響いた。
「もしもし。どちらさまでしょうか。」
「…。」
「どちら様ですか?」
「…。」
返答はなかった。間違え電話だと思い切るのボタンを押した。
「ピッ」
この部屋に似合わないくらい虚しい音に聞こえた。
_______
「デーデーデデデデー♪」
風呂上がりに誰もいない部屋に響く音。それは私の携帯から出されていた。
「はい。どちらさまでしょうか。」
「…チャン。……ケテ。」
その声を聞いて、小学校で仲の良かった一人の少女を思い出した。
「……ゆう…ちゃ…。たす……て。」
声が出なかった。
小学校の頃呼ばれていたあだ名だった。あだ名と言っても呼んでくれた人は一人しかいなかった。
「ゆうちゃん……。助けて……!!」
華音留(かおる)だ。間違いない。
この声も覚えている。声は少し高くなっているが、華音留だった。
「………ゆうちゃん。」
私は返答が出来なかった。
私の携帯番号も知らない華音留が何を求めているのか。分からなかった。
何をしてあげられるのかも何をしていいのかも分からなかった。
この声の主が華音留だったという事しか分からなかった。
「ピッ」
不意に音が途切れた。その音は恐怖に感じられた。
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珍しく夢を見た。いじめとも取れる言葉。それは残酷で冷徹な声により発された。
今日で高校一年生になる。しかしそれにしては良いとは言えない、良くない夢だった。
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「おめでとうございます。君達は今日から―」
校長先生の話はすごく長かった。そして1年間クラスでやっていける自信が無かった。あんなにも物静かな寂しいクラス。体育祭や文化祭なんか盛り上がるわけがない。
「チッ。」
私は1組で1番端にいたがその声は聞き取れた。2組の中央から聞こえた。何に対しての舌打ちかは分からない。しかし、校長先生に対しての舌打ちでは無いことは確かだった。
私はあまり気にしなかったが何かが引っかかった。
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「白執 夢兎夏(しらとり ゆうか)。ちょっと良いか。」
先生には好かれたかった。いい大学にも行きたいから。
「はい。何でしょうか先生。」
私の声は少しだけ緊張して震えていた。
「白執はこのクラスが嫌か?」
先生の声は少し掠れていた。
「何故ですか?」
「このクラス、少し物静かな感じがするんだ。」
「私もそれは少し感じていました。」
「そこでなんだが、白執には学級委員の様な仕事をして欲しい。」
「私が…ですか…?」
「中学でも好成績を残していたそうで、明るかったとか…だから白執にこのクラスを先導して欲しいんだ。入学して急だが考えておいてくれないか…。」
その声には不安の様な緊張の様な感情が込められていた。
「考えておきます。」
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私の親は私が10の時に離婚した。それからは父と二人暮らし。しかし私が15の時、父の単身赴任が決まった。それ以来は一人暮らしと言える生活をしている。
家族が居なくて寂しいと思ったことは無い。
小学校から親に心配をかけまいと、良い子を演じ平凡に、しかし楽しく過ごしてきた。
10の時から親が居ない様な環境だったので慣れてしまった。
今日も時計のカチカチという音が独りのこの部屋に響く。
「デーデーデデデデー♪」
私の携帯が鳴った。この音も部屋に響いた。
「もしもし。どちらさまでしょうか。」
「…。」
「どちら様ですか?」
「…。」
返答はなかった。間違え電話だと思い切るのボタンを押した。
「ピッ」
この部屋に似合わないくらい虚しい音に聞こえた。
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「デーデーデデデデー♪」
風呂上がりに誰もいない部屋に響く音。それは私の携帯から出されていた。
「はい。どちらさまでしょうか。」
「…チャン。……ケテ。」
その声を聞いて、小学校で仲の良かった一人の少女を思い出した。
「……ゆう…ちゃ…。たす……て。」
声が出なかった。
小学校の頃呼ばれていたあだ名だった。あだ名と言っても呼んでくれた人は一人しかいなかった。
「ゆうちゃん……。助けて……!!」
華音留(かおる)だ。間違いない。
この声も覚えている。声は少し高くなっているが、華音留だった。
「………ゆうちゃん。」
私は返答が出来なかった。
私の携帯番号も知らない華音留が何を求めているのか。分からなかった。
何をしてあげられるのかも何をしていいのかも分からなかった。
この声の主が華音留だったという事しか分からなかった。
「ピッ」
不意に音が途切れた。その音は恐怖に感じられた。
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