二回目の異世界では見た目で勇者判定くらいました。ところで私は女です。逆ハー状態なのに獣に落とされた話。

吉瀬

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「ほんでな!この義眼、透視もできれば魔力量も見れるし録画もできんねん!リオネット様、様様様や!」
「うん」
「せやから、カリンはもう気にしたらあかんにゃで?」
「うん、ありがとう」

 パーティーのある当日に、雨情の手術後の眼帯が外された。義眼というには特殊すぎる機能満載のギミックの使い方を教えてもらって、雨情はウッキウキ。使い勝手の問題で両目を手術したそうで、両目にかけて赤い手術痕が残り、ブラウンだった瞳は薄く灰色がかっていた。

 ナルさんの言っていた通り、当日に全員出席と知らされて、雨情も騎士風の準正装、そしてアンズも同じ様な服を着せられている。

「はぁー、カリンかわいいー」

 うっとりとアンズは私を眺めていて、私はまさかのドレス姿。一週間前に私が女だと公表された際、私は黒魔道士、ナルさんと雨情もパーティーの補助の役割を頂いたので、正装で言えば、女王陛下より拝命頂いた黒魔導士か勇者の格付け二位なのでそちらの服装になるはずなんだけど、「今回は私的な集まりですし、女性でいる事を知らせる事の方が重要です」というリオネット様のお言葉でドレスを着る事になった。
 絶賛してくれるアンズには申し訳ないが、似合ってないのは私が一番よく分かっている。ドレスって着る人を選ぶよね。正直、動きづらい事この上無いとしか思えん。

「私は商談がありますので、雨情はカリンの護衛を。アンズはカリンのエスコートをお願いしますね」
「うん!練習したからだいじょぶ!」

 最近時々消えてるなと思っていたけど、アンズはリオネット様の所でお作法を習っていたらしい。

「アンズも似合っていて可愛いよ」
「ありがとう」

 ヒールを履くと、アンズの方が少し小さい。それでも頑張って練習してくれたのか、歩き慣れない私を補佐してくれる程に上手く誘導してくれる。

 会場はホールで一階と二階に分かれていた。一階にナルさんと、妙齢のナルさん一族の男子、それから美しい女性達。どうやらナルさんだけでは無くて、合同お見合いと言った感じだ。ナルさんは男性陣の中では多分1番年上だけど、

「ねーねー、ナルニッサが一番目立ってるねー」

 二階はどうやら保護者席。私達は二階の手すりにもたれながら、ナルさんを観察だ。

「せやろ。カリンが『ナルさん』とか軽く言うてたから女友達やと思ってた俺の、初めてナルニッサ様見た時の心境分かるか?」
「あー」
「ボク分かんないー」

 到着して早々、リオネット様は商談に消えたので、私達は並べられている料理を食べたり気ままに過ごしている。

「というか、雨情。そんなのどこにあったの?」
「入り口のとこにあったお肉だよ」

 一応正装をしているが、残念ながら所詮は付け焼き刃。オサレな立食パーティーのどこにあったのよ?と思うギャートルズの肉を雨情は握りしめていた。

「それ、多分シェフが切り分けてお皿に盛ってくれるやつじゃない?」
「せやねん、一切れとか二切れとかしか、他の客言いよらへんから、切っとるおっさんがあっち向いてこっち向いてしてる間にもうてきた」
「なるほど」
「いーけないんだー、いけないんだ」

 連れてきたのはリオネット様だ。私のせいじゃ無い。
 一方突っ込んでるアンズは、ちゃんと小皿に少量とって普通に食事かできている。人間歴は長く無いのに、ここまでちゃんと出来るなんて、相当頑張ったんだろうなと思うと感動すら覚える。

 雨情はさっさとギャートルズを片付けて、ソーセージの盛り合わせを手にしていた。今度は一応皿に取ってはきたけれど、どうやって積んだのか謎なくらいてんこ盛り。振る舞いはアレだが、タッパがあって骨格が良いから無駄に映えてより目立つ。

「雨情、意外と正装も似合うよね」
「意外やろ。俺も思ったよりイケてると思てん。せやけど、ちょっと動きにくいわ」
「正装は基本がナイトの服だもんね。体術向きじゃ無いかぁ。身長あるからかっこよく着れてるのにね」
「僕は?」
「アンズは可愛い」
「えー、僕もかっこいいが良い!」
「しゃあないわ。もうちょい身長伸びて身体ゴツくなったら似合うんちゃう?そういう服やねんし」

 アンズさんがゴツくなるのは嫌です。

 一階を眺めると今回初めてのダンスの申し込みをナルさんが断っているところだった。
 遠巻きにしていた中で勇気を出した彼女の事を思うと、とりあえず一回くらい踊ってあげれば良いのにと思う。ナルさんは固い表情のまま、美しすぎる壁の花になっていた。
 その彼が、私に気が付いた。軽く頭を下げたので手を振ると、頬を染めて嬉しそうに笑った。犬の様だ。

「ナルニッサは頑固ですね」

 呆れた様に商談を終えたリオネット様が合流。合流早々、雨情がしばかれた。

「カリン、流石に雨情も躾けてください」
「リオネット様のものなんですよね?お任せします」
「リオネットは教えるの上手だよ。僕もすぐ覚えられたし」
「アンズ殿は素直で躾もしやすかったです」
「えへへ」

 この二人のやりとりを見てると、アンズがリオネット様のしもべっぽく見えてくる。というか、リオネット様にかかると全員しもべっぽくなる。例外はナルさんか。

「さて、頑固者すぎてつまらない。少し掻き回しに行きますか」
「掻き回すって?」
「このままでは、カリンがけしかけてナルニッサの見合いを妨害していると取られかねません。それはいけない」

 言葉はそれっぽい事を吐いているが、その目が何か楽しげなことを思いつきました、と言っている。
 それを感じたのは私だけじゃ無くて、雨情も苦笑していた。

「ナルニッサ!」

 1階と2階は行き来ができない様に大階段にきっちりと柵が張られていた。その大階段のギリギリでリオネット様はナルさんを呼んだ。

「何用だ?」
「ナルニッサ、本気を見せてください」
「断る」

 本気とはなんぞやと思ってが、ナルさんには通じてるらしい。

「このままでは、カリンがあなたに命令して見合いをダメにしている様に見えます。それにここでは、こちら側は区切られている。カリンにあなたのスキルの力を披露する滅多と無いチャンスです」
「……色香を我が君に披露する必要があるのか?」
「一生を共にする主人があなたの特性を知らなくても良いのでしょうか?今日ニ階にいる者は一階の色香の影響を受けない様、色香減弱の結界で守られている。あなたの本気の影響を冷静に知る事ができます。これから先そのスキルを使ってもらうかも知れません。その時にカリンにショックを与えるのはよろしく無い」
「それは、一理ある、な」
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