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森の生活スペースは整えられていて、皆が寝泊まりできる様になっていた。そのために索冥は忙しかったのだそうだ。昔、私のいた部屋はそのままで、その夜も私はそこで寝る事になった。
懐かしい。雨をしのげる葉っぱの屋根、星は多く、火は必要も無い。虫の声が心地よく、温かさを感じる静寂。
なのに、横になっても眠れない。今日は色々ありすぎた。一方、隣でアンズはスヤスヤと眠っている。
一応区切られてはある部屋の戸が、小さく揺れた。誰かノックしようとしたのだろう。
「誰?」
「索冥なり、少し話をしたく思う」
迎え入れて、ベッドの半分を座席として譲る。
「ナルニッサより、アンズ殿とおもとの話を聞いた。故に、ルシファーの話も知りたかろうと参った」
「ありがとう。でも、話、聞きたいのに、何を聞けば良いか判らないの」
「判らぬ?」
索冥に、アンズを異性としても好きな事、おそらくアンズも私を異性として望んでいる事を話す。そして、それなのに私は索冥に「どうすればアンズと添い遂げれるのか」とか、「添い遂げるために必要な事や困る事は何か」と聞きたいと思えない心境であることをが伝えた。
「……おもとは、アンズ殿とそのままでいたいのかえ?」
「多分。ずっとそばにいて欲しい。手放したくない。けど、それは子狐アンズでいて欲しくて、決して人型のアンズも嫌いな訳じゃないのに、男性として向かい合われると頭が真っ白になる」
「カリン様はどうされたい?男としてのアンズ殿に?」
「触れられたりしたら嬉しいのに、何故か拒否したくなる。でも、それはアンズを傷つけそうで怖い。いっそ100%そう言うのが嫌なら自分の気持ちが分かるのに、凄く幸せで、嬉しくて、でも受け入れられない」
「ふむ」
索冥は扇子を口に当てた。
「それは、難儀な」
「ごめんなさい」
「構わぬ。心がままならぬ事、我も身に覚えはある故」
何かを思い出す様に、索冥は目を細めた。
「いつかもし、心が通ったとして、ただそのまま番う事は容易い。だが、ルシファーの番は人である事を望み、ルシファーも人の世界に力を持ち込む事を望まなかった。何より、獣と人は生きる時が異なる。人は儚く早々に消えゆく。恐らくアンズ殿も不老を捨て、人として生きる事を望むであろ。……不老を捨てさせる程の想いと覚悟、カリン様にはまだ在らぬとみた」
グサリと心に刺さった。その通りだ。今私が一番怖いのはアンズが人間になると言い出す事だ。
アンズが人になれば私は今もらっている魔力も失うだろう。今よりアンズを幸せにできる自信なんてない。
でも、不老のアンズと一緒になる勇気も無い。
私達の先は真っ暗すぎる。
「いささかだか時間はある。アンズ殿は役目が在らず、人になるのはルシファーより容易い。良く悩むが良い」
「……うん、頑張る」
索冥は立ち上がった。
「ひょんな事から解決する事もある。最後まで努努諦めることなき様」
諦めたくはない。だけど。
翌朝、事前の計画通りに兄様と雨情、索冥が南の結界を破壊しに行くことになった。
兄様は森の王の代理として女王に匹敵する魔力を持つが、森の外の世界を知らない。索冥はナルさんの側に侍るまでのほぼ百年国中を調べ回っていたので南の地理に詳しい。結界自体は高度に隠されているので、それを見つけ出すために雨情が同行するという事だ。
南の地は遠く、時短のためにアンズが雨情を運ぶ。索冥は小さくて兄様と雨情両方を同時に運べないサイズだ。
つまり私はアンズのおまけとして同行する。
アッシャーとリオネット様は街に放った使令から情報を集め、時が満ちればすぐに打って出る。ナルさんの色香は元々獣の統率のためのスキルなので、ナルさんは森を守る役割となった。
街に動きが出る前に戻るのを目標に、私達は南へ飛んだ。
南は砂漠だったが、暑さはそれほどでも無い。オアシスも点在していて、イメージよりは過酷では無さそうだった。
「せやけど、普通の騎獣やったら何日かかんねん」
びゅーんっと飛ぶアンズは、リオネット様に強化してもらった雨情の身体が耐えるギリギリのスピードだ。私は加護のお陰で余裕がある。
朝に出たのに到着は日が落ちかける寸前だった。そこに踏み入れる少し前で雨情が叫ぶ。
「ストップ!」
その場で降り立ってからは、結界を踏まない様に雨情の後ろを一列についていく。
「ここや、こっから先足踏み入れたら魔界が見える様な術がある」
その場所に来て、今日はタイムアップ。作業するには途中で暗くなると危険なので、野営の準備に移る。
「なんか、色々散らばってるね……」
「仏さんのやろ」
砂漠で分解されず、砂より軽い特殊金属は埋もれる事なく転々と落ちていた。
索冥とニイサマがオアシスから薪を集めてきている間、私とアンズと雨情でキャンプを張っていた。
「あ」という声に驚いて雨情を見ると何かを拾っている。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
何か金目の物でもあったのか?それを雨情は大事そうに懐に入れていた。
夜は輪番で薪の番だ。私は明け方の順番なのに、夜中にふと目が覚めた。雨情が薪の番で、その火に照らして何かを眺めている。照らされたその横顔は見た事も無い苦しげな物だった。
「雨情……」
「どした?まだカリンの番やないで」
特に慌てて隠す様子もなかったので、私は雨情の横に座った。
「それ何?なんだか雨情悲しそうだった」
「これ、か。俺の一族のモンが持つ装飾品や。俺のご先祖か親戚か、ここで絶えたんやなって」
「そっか」
火がチラチラとしている。何となく、それが誰か雨情には分かっている気がした。
「それより、カリンさん、最近アンズはんと喧嘩しとんの?」
「え、」
「いや、なんか変な感じやし」
この人、本当に人を見てる。
「嫌や無かったら話聞くで。こう見えて俺無駄に人生経験豊富やねん」
でも雨情×3だしな……。
「おい、こら、口にでとるぞ?」
「ごめん」
「ええけどな。いきなり心臓抉るスタイルとか、喧嘩売りたいんやったら買ったるで?」
「ううん、アンズとの……恋愛系の話だから」
「俺にぴったりな相談して事やんけ」
私は思わず笑った。
「……あのね、アンズに好きって言われてる。その、男女の意味で。私もちゃんとアンズが好きなんだけど、でも、何か前に進めない」
「ほう、なるほど」
「ちっちゃくて可愛いアンズも、男らしいアンズも好き。でも将来とか先の事がチラつくせいか、受け入れる事に凄く抵抗を感じるの」
「そりゃそうやろ」
雨情はあっけらかんとそう答えた。
「え?」
「男女としてちゃんと付き合うっちゅう事は対等やないとあかん。喧嘩したり、すり合わせたり色々ある時に上下ついとったらあかんねん」
「私、アンズを下に見てるつもりは」
「上やとは言わへんあたりお察しやで」
ぐうの音も出ない。
「俺から見たら、カリンのせいだけちゃうわ。アンズはんはまだ子供。結局カリンなりリオネット様なりに甘えとる。つーか、カリンも、まだ子供や。まだ保護者が欲しい歳やと思うで、安心して甘えられる様な」
「私、アンズといると安心するし、心強いよ」
「その安心とちゃうねん」
雨情は手で弄んでいた何かを懐に仕舞った。
「アンズはんが側にいて安心するんは『ああ、アンズはんが無事やわ、良かった』っちゅう母親目線や。心強いってのが自分が守らなかあんしってなるのも庇護欲やろ。そうやない、自分の背中を預ける。万一には助けてもらう位自分を放り投げて預けられる様な相手ちゃうやん?って話や」
危機に瀕してアンズに助けてもらった事があるよ、と言い返そうと止まる。あの時、私はアンズに会いたいと思ったけれど、助けて欲しいとは思わなかった。こんな危ない事に巻き込まなくて良かったと思った。
「別に危ない目にあった時に限らんでもええけど、今悩んでしんどい訳やん。そんな時に話聞いて欲しいとかな、そんなんでも良い。得意不得意あるからトータルでイーブンな相手やないと、片方はしんどいし、もう片方も辛い。ほんで、カリンもアンズはんも、それがでける程の歳やと俺は思わん」
ふるっと時間を知らせる魔具が震えた。
「次は索冥はんやな。変な気使わせたらあかんし、カリン、先寝とき」
「うん」
横になる私に雨情は背中越しで声をかけた。
「保護者が要るような歳の頃は、ちゃんと甘えとかへんと後から歪むで」
私は……甘えまくっている。周りのみんなに。そう思って、眠りに落ちた。
翌朝、朝の支度を済ませると、昨日見つけた結界を解除していく。
雨情が正確な場所を兄様に伝えると、兄様は遠隔で地雷の様に埋まった魔具を解除して行った。
「難解な魔具を作った物だ。技術は賞賛に値する」
褒めてんだか、なんだかな感想を漏らしながら、それでもチャカチャカ解除されていって、本当に難解なのか?と思わざるを得ない。
「これ、落ちてるー」
「ダメだよ!」
アンズが何かを拾ったので、つい慌てて取り上げてしまった。
途端に、私からぽこんっと丸い玉が飛び出た。
「きゃーカリン!だいじょぶ?」
「あ、うん、なんとも無い……」
その拾った魔具はすぐに兄様に回収された。
「カリン、アンズは保護魔法を使って掴んでいた。お前は素手だ。命が惜しければ、二度と触るな」
「はい、ごめんなさい」
「ねー、ニイサマ、カリンから出たこれ何?」
「カリンの想いだ」
「え?」
「これは対象者の思考を解析して最適な幻覚を見せる装置の一部。その中のカリンの弱みや悩みを炙り出す機械の部分だ。他人が触るとそいつにお前のその時点の心の弱さが知られてしまう」
「えい」
どうやって処理しよう?と考えた一瞬の隙に、アンズがそれを触った。シュワっと溶けて、玉は消える。
「きゃーアンズ!なんて事を!」
「……」
アンズは固まって、それからほにゃっと笑った。
懐かしい。雨をしのげる葉っぱの屋根、星は多く、火は必要も無い。虫の声が心地よく、温かさを感じる静寂。
なのに、横になっても眠れない。今日は色々ありすぎた。一方、隣でアンズはスヤスヤと眠っている。
一応区切られてはある部屋の戸が、小さく揺れた。誰かノックしようとしたのだろう。
「誰?」
「索冥なり、少し話をしたく思う」
迎え入れて、ベッドの半分を座席として譲る。
「ナルニッサより、アンズ殿とおもとの話を聞いた。故に、ルシファーの話も知りたかろうと参った」
「ありがとう。でも、話、聞きたいのに、何を聞けば良いか判らないの」
「判らぬ?」
索冥に、アンズを異性としても好きな事、おそらくアンズも私を異性として望んでいる事を話す。そして、それなのに私は索冥に「どうすればアンズと添い遂げれるのか」とか、「添い遂げるために必要な事や困る事は何か」と聞きたいと思えない心境であることをが伝えた。
「……おもとは、アンズ殿とそのままでいたいのかえ?」
「多分。ずっとそばにいて欲しい。手放したくない。けど、それは子狐アンズでいて欲しくて、決して人型のアンズも嫌いな訳じゃないのに、男性として向かい合われると頭が真っ白になる」
「カリン様はどうされたい?男としてのアンズ殿に?」
「触れられたりしたら嬉しいのに、何故か拒否したくなる。でも、それはアンズを傷つけそうで怖い。いっそ100%そう言うのが嫌なら自分の気持ちが分かるのに、凄く幸せで、嬉しくて、でも受け入れられない」
「ふむ」
索冥は扇子を口に当てた。
「それは、難儀な」
「ごめんなさい」
「構わぬ。心がままならぬ事、我も身に覚えはある故」
何かを思い出す様に、索冥は目を細めた。
「いつかもし、心が通ったとして、ただそのまま番う事は容易い。だが、ルシファーの番は人である事を望み、ルシファーも人の世界に力を持ち込む事を望まなかった。何より、獣と人は生きる時が異なる。人は儚く早々に消えゆく。恐らくアンズ殿も不老を捨て、人として生きる事を望むであろ。……不老を捨てさせる程の想いと覚悟、カリン様にはまだ在らぬとみた」
グサリと心に刺さった。その通りだ。今私が一番怖いのはアンズが人間になると言い出す事だ。
アンズが人になれば私は今もらっている魔力も失うだろう。今よりアンズを幸せにできる自信なんてない。
でも、不老のアンズと一緒になる勇気も無い。
私達の先は真っ暗すぎる。
「いささかだか時間はある。アンズ殿は役目が在らず、人になるのはルシファーより容易い。良く悩むが良い」
「……うん、頑張る」
索冥は立ち上がった。
「ひょんな事から解決する事もある。最後まで努努諦めることなき様」
諦めたくはない。だけど。
翌朝、事前の計画通りに兄様と雨情、索冥が南の結界を破壊しに行くことになった。
兄様は森の王の代理として女王に匹敵する魔力を持つが、森の外の世界を知らない。索冥はナルさんの側に侍るまでのほぼ百年国中を調べ回っていたので南の地理に詳しい。結界自体は高度に隠されているので、それを見つけ出すために雨情が同行するという事だ。
南の地は遠く、時短のためにアンズが雨情を運ぶ。索冥は小さくて兄様と雨情両方を同時に運べないサイズだ。
つまり私はアンズのおまけとして同行する。
アッシャーとリオネット様は街に放った使令から情報を集め、時が満ちればすぐに打って出る。ナルさんの色香は元々獣の統率のためのスキルなので、ナルさんは森を守る役割となった。
街に動きが出る前に戻るのを目標に、私達は南へ飛んだ。
南は砂漠だったが、暑さはそれほどでも無い。オアシスも点在していて、イメージよりは過酷では無さそうだった。
「せやけど、普通の騎獣やったら何日かかんねん」
びゅーんっと飛ぶアンズは、リオネット様に強化してもらった雨情の身体が耐えるギリギリのスピードだ。私は加護のお陰で余裕がある。
朝に出たのに到着は日が落ちかける寸前だった。そこに踏み入れる少し前で雨情が叫ぶ。
「ストップ!」
その場で降り立ってからは、結界を踏まない様に雨情の後ろを一列についていく。
「ここや、こっから先足踏み入れたら魔界が見える様な術がある」
その場所に来て、今日はタイムアップ。作業するには途中で暗くなると危険なので、野営の準備に移る。
「なんか、色々散らばってるね……」
「仏さんのやろ」
砂漠で分解されず、砂より軽い特殊金属は埋もれる事なく転々と落ちていた。
索冥とニイサマがオアシスから薪を集めてきている間、私とアンズと雨情でキャンプを張っていた。
「あ」という声に驚いて雨情を見ると何かを拾っている。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
何か金目の物でもあったのか?それを雨情は大事そうに懐に入れていた。
夜は輪番で薪の番だ。私は明け方の順番なのに、夜中にふと目が覚めた。雨情が薪の番で、その火に照らして何かを眺めている。照らされたその横顔は見た事も無い苦しげな物だった。
「雨情……」
「どした?まだカリンの番やないで」
特に慌てて隠す様子もなかったので、私は雨情の横に座った。
「それ何?なんだか雨情悲しそうだった」
「これ、か。俺の一族のモンが持つ装飾品や。俺のご先祖か親戚か、ここで絶えたんやなって」
「そっか」
火がチラチラとしている。何となく、それが誰か雨情には分かっている気がした。
「それより、カリンさん、最近アンズはんと喧嘩しとんの?」
「え、」
「いや、なんか変な感じやし」
この人、本当に人を見てる。
「嫌や無かったら話聞くで。こう見えて俺無駄に人生経験豊富やねん」
でも雨情×3だしな……。
「おい、こら、口にでとるぞ?」
「ごめん」
「ええけどな。いきなり心臓抉るスタイルとか、喧嘩売りたいんやったら買ったるで?」
「ううん、アンズとの……恋愛系の話だから」
「俺にぴったりな相談して事やんけ」
私は思わず笑った。
「……あのね、アンズに好きって言われてる。その、男女の意味で。私もちゃんとアンズが好きなんだけど、でも、何か前に進めない」
「ほう、なるほど」
「ちっちゃくて可愛いアンズも、男らしいアンズも好き。でも将来とか先の事がチラつくせいか、受け入れる事に凄く抵抗を感じるの」
「そりゃそうやろ」
雨情はあっけらかんとそう答えた。
「え?」
「男女としてちゃんと付き合うっちゅう事は対等やないとあかん。喧嘩したり、すり合わせたり色々ある時に上下ついとったらあかんねん」
「私、アンズを下に見てるつもりは」
「上やとは言わへんあたりお察しやで」
ぐうの音も出ない。
「俺から見たら、カリンのせいだけちゃうわ。アンズはんはまだ子供。結局カリンなりリオネット様なりに甘えとる。つーか、カリンも、まだ子供や。まだ保護者が欲しい歳やと思うで、安心して甘えられる様な」
「私、アンズといると安心するし、心強いよ」
「その安心とちゃうねん」
雨情は手で弄んでいた何かを懐に仕舞った。
「アンズはんが側にいて安心するんは『ああ、アンズはんが無事やわ、良かった』っちゅう母親目線や。心強いってのが自分が守らなかあんしってなるのも庇護欲やろ。そうやない、自分の背中を預ける。万一には助けてもらう位自分を放り投げて預けられる様な相手ちゃうやん?って話や」
危機に瀕してアンズに助けてもらった事があるよ、と言い返そうと止まる。あの時、私はアンズに会いたいと思ったけれど、助けて欲しいとは思わなかった。こんな危ない事に巻き込まなくて良かったと思った。
「別に危ない目にあった時に限らんでもええけど、今悩んでしんどい訳やん。そんな時に話聞いて欲しいとかな、そんなんでも良い。得意不得意あるからトータルでイーブンな相手やないと、片方はしんどいし、もう片方も辛い。ほんで、カリンもアンズはんも、それがでける程の歳やと俺は思わん」
ふるっと時間を知らせる魔具が震えた。
「次は索冥はんやな。変な気使わせたらあかんし、カリン、先寝とき」
「うん」
横になる私に雨情は背中越しで声をかけた。
「保護者が要るような歳の頃は、ちゃんと甘えとかへんと後から歪むで」
私は……甘えまくっている。周りのみんなに。そう思って、眠りに落ちた。
翌朝、朝の支度を済ませると、昨日見つけた結界を解除していく。
雨情が正確な場所を兄様に伝えると、兄様は遠隔で地雷の様に埋まった魔具を解除して行った。
「難解な魔具を作った物だ。技術は賞賛に値する」
褒めてんだか、なんだかな感想を漏らしながら、それでもチャカチャカ解除されていって、本当に難解なのか?と思わざるを得ない。
「これ、落ちてるー」
「ダメだよ!」
アンズが何かを拾ったので、つい慌てて取り上げてしまった。
途端に、私からぽこんっと丸い玉が飛び出た。
「きゃーカリン!だいじょぶ?」
「あ、うん、なんとも無い……」
その拾った魔具はすぐに兄様に回収された。
「カリン、アンズは保護魔法を使って掴んでいた。お前は素手だ。命が惜しければ、二度と触るな」
「はい、ごめんなさい」
「ねー、ニイサマ、カリンから出たこれ何?」
「カリンの想いだ」
「え?」
「これは対象者の思考を解析して最適な幻覚を見せる装置の一部。その中のカリンの弱みや悩みを炙り出す機械の部分だ。他人が触るとそいつにお前のその時点の心の弱さが知られてしまう」
「えい」
どうやって処理しよう?と考えた一瞬の隙に、アンズがそれを触った。シュワっと溶けて、玉は消える。
「きゃーアンズ!なんて事を!」
「……」
アンズは固まって、それからほにゃっと笑った。
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