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おいで。早く、おいで…。
第113話 ソフウィンド of view
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「…ロワン……。良くなればいいけど……」
寺院からの帰り道。家に向かう草原の中で、俺は、ボソリと呟いた。
あの病を患って、回復した人間は、誰もいないと言う。
…まぁ、ロワンの倒れた原因が、例の病と言う確証はないし…。
……あの病を患った人間が多くいた寺院に、ロワンを置いてきたのは間違いだったかもしれない。
もし、倒れた原因が別にあって、弱っているロワンに、例の病がうつったら……。
「……あ、俺もやばいか?」
例の病気は、あの村の中でのみ、流行っており、俺達の家族には、まだ感染者がいなかった。
「持ち帰ったら、目覚め悪いなぁ……」
家へと向かう足が止まる。もう、夕闇が、すぐ後ろまで迫っていた。
「…さっぶっぅ……」
冷たい夜風が、俺の体温を奪っていく。ここに突っ立っている方が、風邪をひいてしまいそうだ。
……よし、誰か手ごろな奴に声をかけて……。
「こらぁ!返しなさぁ~い!」
丁度、丘の向こうから聞き覚えのある声が響いて来る。
「だめだ!お前、また無茶したろ!今度と言う、今度は返さん!」
どうやら、コランとベルが、例の薙刀をめぐって、追いかけっこをしているようだった。
俺は、またか、と思いつつも、声のする方向に近づく。
あの薙刀には、如何やら、特殊な力があるようで、力を授ける代わりに、体力を吸い取るそうだ。
加えて、不用意に触れると、適性のない物は命を落とす恐れがある為、触れないように。と、元気になった……。元気を取り繕った、コランが皆に教えてくれた。
まぁ、コランが皆にその秘密を打ち明ける羽目になったのは、コランが放心している内に、ベルが何度も無断で薙刀を使い、倒れていたせいなのだが……。
「何よ!あんたには関係ないでしょ!」
遠くに、青々と葉を茂らせた木を振りまわし、ベルを追うコランの姿が見える。木の枝ではなく、木そのものとは…。喧嘩のスケールが違う。
「そんな訳あるか!倒れたお前を介抱するこっちの身にもなってみろ!」
そんな木を避けつつ、文句を言う、ベル。
薙刀を持っているのはベルだと言うのに、どんどんと距離が縮まって行く。
「そんなの!誰も!頼んで!なぁ~い!」
コランは声を張って叫ぶと、自分の数倍はある木を投擲する。
ベルは、不意の飛来物に気付く事なく、走り続け……。
ドーン!と言う衝撃音と共に、砂埃の中へと、姿を消した。
俺は、頭を抱えながら、ベルの消えた方へと近寄る。
「あ!ソフィー!お帰りぃ~!」
こちらに気が付いた悪魔が、天使の笑顔を携えつつ、手を振って、近づいて来た。
「あんまり近づくなよ!もしかしたら、病気がうつるかもしれない!」
こちらに駆け寄ってくるコランを制止しつつ「あと、ソフィーって呼ぶな!」と、付け加える。
「そうだった、そうだった。ごめんね、ソフィー」
そう言って、俺の近くで制止するコラン。何一つ、話を聞いていなくて、ため息が出る。
「大丈夫、大丈夫!私、風邪だってやっつけちゃうからね!」
……まぁ、強ち、嘘ではないような気も、しないでもないが…。
「それでもダメだ。万が一うつったら責任が取れない」
俺は、コランを突き放すと、晴れて来た砂埃の向こうに目をやる。
如何やら、木はベルの目の前に落下していたらしく、それに正面から衝突したのか、ベルが目を回していた。
「あぁ~あ。気絶しちゃった。これで、お相子だね」
気絶したベルを担ぎ上げ、薙刀を回収すると、こちらに向けてウィンクをしてくる。
お前が、生き証人だとでも言いたいのだろうか。
「さ、暗くなってきたし、早く帰ろ。……あ、ソフィーも担いであげようか?」
…女の子に抱えられるのも嫌だが、コランの場合、その移動速度で、第二の屍になりかねない。
俺は天然な悪魔の誘いをやんわり断り、念の為、隔離小屋の方に帰る。との伝言を頼んで、その背中を見送った。
……風のような速度で消えて行く、彼女の背中。
担がれなくて良かった…。と、安堵の息を零す。
「………」
ふと、先程まで感じていた不安感が、吹き飛んでいる事に気が付いた。
「…本当に、自由な奴らだよ」
俺は、クククッ。と、小さく笑うと、家族の待つ家へと向かう。
今日の晩御飯は何だろうか。
寺院からの帰り道。家に向かう草原の中で、俺は、ボソリと呟いた。
あの病を患って、回復した人間は、誰もいないと言う。
…まぁ、ロワンの倒れた原因が、例の病と言う確証はないし…。
……あの病を患った人間が多くいた寺院に、ロワンを置いてきたのは間違いだったかもしれない。
もし、倒れた原因が別にあって、弱っているロワンに、例の病がうつったら……。
「……あ、俺もやばいか?」
例の病気は、あの村の中でのみ、流行っており、俺達の家族には、まだ感染者がいなかった。
「持ち帰ったら、目覚め悪いなぁ……」
家へと向かう足が止まる。もう、夕闇が、すぐ後ろまで迫っていた。
「…さっぶっぅ……」
冷たい夜風が、俺の体温を奪っていく。ここに突っ立っている方が、風邪をひいてしまいそうだ。
……よし、誰か手ごろな奴に声をかけて……。
「こらぁ!返しなさぁ~い!」
丁度、丘の向こうから聞き覚えのある声が響いて来る。
「だめだ!お前、また無茶したろ!今度と言う、今度は返さん!」
どうやら、コランとベルが、例の薙刀をめぐって、追いかけっこをしているようだった。
俺は、またか、と思いつつも、声のする方向に近づく。
あの薙刀には、如何やら、特殊な力があるようで、力を授ける代わりに、体力を吸い取るそうだ。
加えて、不用意に触れると、適性のない物は命を落とす恐れがある為、触れないように。と、元気になった……。元気を取り繕った、コランが皆に教えてくれた。
まぁ、コランが皆にその秘密を打ち明ける羽目になったのは、コランが放心している内に、ベルが何度も無断で薙刀を使い、倒れていたせいなのだが……。
「何よ!あんたには関係ないでしょ!」
遠くに、青々と葉を茂らせた木を振りまわし、ベルを追うコランの姿が見える。木の枝ではなく、木そのものとは…。喧嘩のスケールが違う。
「そんな訳あるか!倒れたお前を介抱するこっちの身にもなってみろ!」
そんな木を避けつつ、文句を言う、ベル。
薙刀を持っているのはベルだと言うのに、どんどんと距離が縮まって行く。
「そんなの!誰も!頼んで!なぁ~い!」
コランは声を張って叫ぶと、自分の数倍はある木を投擲する。
ベルは、不意の飛来物に気付く事なく、走り続け……。
ドーン!と言う衝撃音と共に、砂埃の中へと、姿を消した。
俺は、頭を抱えながら、ベルの消えた方へと近寄る。
「あ!ソフィー!お帰りぃ~!」
こちらに気が付いた悪魔が、天使の笑顔を携えつつ、手を振って、近づいて来た。
「あんまり近づくなよ!もしかしたら、病気がうつるかもしれない!」
こちらに駆け寄ってくるコランを制止しつつ「あと、ソフィーって呼ぶな!」と、付け加える。
「そうだった、そうだった。ごめんね、ソフィー」
そう言って、俺の近くで制止するコラン。何一つ、話を聞いていなくて、ため息が出る。
「大丈夫、大丈夫!私、風邪だってやっつけちゃうからね!」
……まぁ、強ち、嘘ではないような気も、しないでもないが…。
「それでもダメだ。万が一うつったら責任が取れない」
俺は、コランを突き放すと、晴れて来た砂埃の向こうに目をやる。
如何やら、木はベルの目の前に落下していたらしく、それに正面から衝突したのか、ベルが目を回していた。
「あぁ~あ。気絶しちゃった。これで、お相子だね」
気絶したベルを担ぎ上げ、薙刀を回収すると、こちらに向けてウィンクをしてくる。
お前が、生き証人だとでも言いたいのだろうか。
「さ、暗くなってきたし、早く帰ろ。……あ、ソフィーも担いであげようか?」
…女の子に抱えられるのも嫌だが、コランの場合、その移動速度で、第二の屍になりかねない。
俺は天然な悪魔の誘いをやんわり断り、念の為、隔離小屋の方に帰る。との伝言を頼んで、その背中を見送った。
……風のような速度で消えて行く、彼女の背中。
担がれなくて良かった…。と、安堵の息を零す。
「………」
ふと、先程まで感じていた不安感が、吹き飛んでいる事に気が付いた。
「…本当に、自由な奴らだよ」
俺は、クククッ。と、小さく笑うと、家族の待つ家へと向かう。
今日の晩御飯は何だろうか。
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