異世界転生 ~生まれ変わったら、社会性昆虫モンスターでした~

おっさん。

文字の大きさ
2 / 172
目覚め

第1話

しおりを挟む
 ………?
 俺は、目を覚ます。
 いや、実際には、何も見えないが、意識が覚醒した。
 
 俺は、おもむろに、体を動かそうとする。
 ………ダメだ。動かない。まるで、簀巻すまきにでもされているようだった。
 
 (もしかして、ここは病院で、アイマスクを付けられて、手足を縛られているのか?……最悪、手足切断のショックを受けて、暴れないように、アイマスクを付けられている可能性も……)

 (…いや、病院は、こんなに、ギチギチギチギチ、五月蠅い物か?)
 意識が目覚めてから、常になり続けている異音に、俺は違和感を覚える。

 そんな事を考えていると、何かの振動が伝わって来た。
 俺は、無意識に、歯をギチギチと鳴らす。
 恐怖している訳ではない。お腹が減ったからだ。

 (……お腹が減ったから?)
 自身の行為に疑問を抱いていると、何かが、更に近づいて来る。

 俺は無心で、歯をこすり合わせ、ギチギチと音を鳴らした。
 そうしなければ、ならない気がしたからだ。
 
 すると、俺の口に、何か、甘みと旨味を含んだ、ドロドロとした液体が、垂らされる。
 俺は、必死にその、何かを貪った。俺は、思っていた以上に、お腹が減っていたらしい。
 
 (……あぁ。もう、行ってしまった……)
 口から離れて行った、何かに、未練を感じていると、次第に、冷静さが戻ってくる。

 (……なんだあれは?最近の医療食か何かか?
 それに、なんで俺は、歯なんて鳴らし始めたんだ?
 なんで、声が出ないんだ?)

 次々と浮かぶ疑問を解決する前に、俺は、何かに、ひょいっと、持ち上げられた。
 
 (ちょ、どういうこと?!)
 ひょぃっと、硬い何かで、挟まれるように、持ち上げらえた俺は、ブラシの様な物で、体全体を撫で上げられる。

 (き、きもちぃぃ……)
 恥ずかしいはずなのに、気持ちが良くて、快楽に、全身を預けてしまう。
 どれだけの時間そうした居たのだろうか、ブラッシングが終わると、また俺は、下へと降ろされる。

 (………はっ!)
 またも、正気を失っていた俺は、ブラッシングの感触を名残惜しく思いながらも、思考を回した。
 
 (今のブラッシングの感触からするに、俺の手足は、無くなっている可能性が高い。そして、看護師たちは、俺に意識がある事に気が付いてない?)

 (いや、体をくねらせたり、歯を鳴らしたりはしているんだ。声が出せないからと言って、通じていないと言う事は……。はっ!まさか、ここはSFの世界?!)

 そんな事を考えていると、また、食べ物を運んで来る振動が伝わって来る。

 (なんだ、何なんだあれは?!……ひょっとして、あの装置で、人間を太らせて、食べる気なのか?!)

 俺は、食われてなるものかと、きつく歯を閉じる。
 横から漂ってくる、美味しそうな香りは、拷問、そのものだった。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...