3 / 172
目覚め
第2話
しおりを挟む
(ッ~~~!ハァ~~~~!蜜うめぇ!)
自分に言い訳をさせて欲しい。あれから、丸一日は耐えた。
決して、即落ち1コマなどではないのだ。
え?一日も、一コマも変わらないって?
……聞いてくれ、これには深い、深い訳があるんだ……。
心して聞いてくれ……。
…………この体、めっちゃ、お腹が減るんです……。
めっちゃ減るんですよ!お腹!それはもう、お腹と背中がくっつかんばかりに減るんです!
そんな真横で、美味しそうな匂いが、四六時中……。耐えられる訳がない!
それが、その食べ物に含まれる、副作用だとしたら、どうするって?
そんな事言ったって、しょうがないじゃないか!
もう、食べるか、死ぬかしかないんだよ?!どうせ死ぬなら、お腹いっぱい食べて、死にたいじゃないか!
俺は、駄々をこねるように、体をうねらせ、辺りを転がる。
(……はぁ。無意味だ……)
急に我に返った俺は、体を、だらんと、伸ばす。
ここ数週間。誰とも話していない。
まぁ、数週間と言っても、常に真っ暗、食事も時間に関係なく運ばれてくるので、時間感覚など、あった物ではないのだが……。
(あぁぁぁ!気が狂いそうだ!)
真っ暗な世界で、くっちゃね生活。湿度も気温も適度で、体も綺麗にしてくれる。最初は、天国だと思っていたのだが……。
最近に至っては、先程のような一人芝居も増えて来た。
……もう既に、気が狂い始めているのかもしれない。
(はぁ……。何かないかな……)
体をモニョモニョと動かしてはみる物の、何も起きない。する事がない。
周りの振動から感じるに、辺りにも、俺と同じ存在が、転がされているようだが、意思疎通は出来なかった。
(……それにしても、振動に敏感になったな……)
ちょっとした振動でも感じ取る事が出来、餌の時の振動と、掃除のときの振動、移動させられるときの振動など、事細かに変化を感じる事ができるようになっていた。
得られる情報が限られると、その情報を得る為、感覚が鋭敏になる。と、何処かで聞いた事がある。これは、そう言った類の物なのだろうか。
俺は、そんな無駄な事を延々と考えながら、自らの発する音で、辺りを感覚的に、見る事ができるようにならないかと、練習したりもした。
…まぁ、結果から言えば、多少、初めよりも、振動の感覚を敏感にとらえる事は出来るようになった。
しかし、精々、相手が振動を発している時、どこで、どの程度の振動が発されているか、分かる程度。
動いていない相手や、障害物は感じる事ができない上に、範囲もそれほど広くない。自身が音を出して、ソナーのように……。とは、行かなかった。
……それにしても、太って来た。
食べ過ぎのせいか、最近、お腹がむかむかする。
喉に何かが突っかかったような気がした俺は、無理やり、それを吐き出そうと、喉と首を動かす。
……何だろう?何か、口からベトベトしたものが……。
それに触れると、何故か安心する。
俺は、必死に、そのベトベトした物を、体中に巻き付けた。
自分に言い訳をさせて欲しい。あれから、丸一日は耐えた。
決して、即落ち1コマなどではないのだ。
え?一日も、一コマも変わらないって?
……聞いてくれ、これには深い、深い訳があるんだ……。
心して聞いてくれ……。
…………この体、めっちゃ、お腹が減るんです……。
めっちゃ減るんですよ!お腹!それはもう、お腹と背中がくっつかんばかりに減るんです!
そんな真横で、美味しそうな匂いが、四六時中……。耐えられる訳がない!
それが、その食べ物に含まれる、副作用だとしたら、どうするって?
そんな事言ったって、しょうがないじゃないか!
もう、食べるか、死ぬかしかないんだよ?!どうせ死ぬなら、お腹いっぱい食べて、死にたいじゃないか!
俺は、駄々をこねるように、体をうねらせ、辺りを転がる。
(……はぁ。無意味だ……)
急に我に返った俺は、体を、だらんと、伸ばす。
ここ数週間。誰とも話していない。
まぁ、数週間と言っても、常に真っ暗、食事も時間に関係なく運ばれてくるので、時間感覚など、あった物ではないのだが……。
(あぁぁぁ!気が狂いそうだ!)
真っ暗な世界で、くっちゃね生活。湿度も気温も適度で、体も綺麗にしてくれる。最初は、天国だと思っていたのだが……。
最近に至っては、先程のような一人芝居も増えて来た。
……もう既に、気が狂い始めているのかもしれない。
(はぁ……。何かないかな……)
体をモニョモニョと動かしてはみる物の、何も起きない。する事がない。
周りの振動から感じるに、辺りにも、俺と同じ存在が、転がされているようだが、意思疎通は出来なかった。
(……それにしても、振動に敏感になったな……)
ちょっとした振動でも感じ取る事が出来、餌の時の振動と、掃除のときの振動、移動させられるときの振動など、事細かに変化を感じる事ができるようになっていた。
得られる情報が限られると、その情報を得る為、感覚が鋭敏になる。と、何処かで聞いた事がある。これは、そう言った類の物なのだろうか。
俺は、そんな無駄な事を延々と考えながら、自らの発する音で、辺りを感覚的に、見る事ができるようにならないかと、練習したりもした。
…まぁ、結果から言えば、多少、初めよりも、振動の感覚を敏感にとらえる事は出来るようになった。
しかし、精々、相手が振動を発している時、どこで、どの程度の振動が発されているか、分かる程度。
動いていない相手や、障害物は感じる事ができない上に、範囲もそれほど広くない。自身が音を出して、ソナーのように……。とは、行かなかった。
……それにしても、太って来た。
食べ過ぎのせいか、最近、お腹がむかむかする。
喉に何かが突っかかったような気がした俺は、無理やり、それを吐き出そうと、喉と首を動かす。
……何だろう?何か、口からベトベトしたものが……。
それに触れると、何故か安心する。
俺は、必死に、そのベトベトした物を、体中に巻き付けた。
0
あなたにおすすめの小説
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる