異世界転生 ~生まれ変わったら、社会性昆虫モンスターでした~

おっさん。

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旅立ち

第19話

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 (!!)
 警戒信号の匂いで目が覚める。
 俺は、急いで辺りを見回したが、夜の、それも、暗い落ち葉の下では、何も見えない。
 と、触覚に、何かに掴み上げられ、藻掻くように暴れる、自身と同じほどの大きさの振動が。
 クリナかもしれない。
 
 (くそっ!!またか!!)
 駆け寄って確認しようとするが、またも、低体温で、体が上手く動かせなくなっていた。
 
 (ふざけるなよ!!このっ!!)
 俺は体温を上げる為、めちゃくちゃに藻掻く。
 その間にも、感じる振動は、段々と弱々しくなっていった。
 
 (クソッ!遅すぎんだろ!)
 何とか動くようになった体で、振動の方向へと走り出す。
 
 (クリナ!!)
 あともう少しで、届くと言った瞬間。クリナは後ろに下がる。
 いや、クリナを捕まえていた何かが、クリナごと、跳ねる様に後ろに下がった。

 弱っていくクリナ。警戒している余裕はない。
 俺は移動の時に感じた振動を元に、見えない敵へ噛み付く。
 
 ピョンと、横に跳ね、移動する何か。
 すると、落ち葉の隙間から零れる、月明かりに照らされ、その姿が見えた。
 その口には、しっかりとクリナが咥えられている。
 
 (同族か?!……いや、でも、あの動き、あの目の感じ……。クモに似ている)
 まぁ、今は、そんな事はどうでも良い。

 機動力で負けている俺は、お尻を向けて、酸を吹きかける。射程は短く、量もそれほどは出ないが、当たれば確実にダメージが与えられるはずだ。
 
 しかし、その戦法は知っているとばかりに、お尻を向けた瞬間、距離を取ってくる同族モドキ。
 と、その瞬間。拘束が弱まったのか、クリナが身をよじり、相手の口元に噛み付く。
 
 不意の、それも、獲物としていた者の反撃に驚いたのか、同族モドキは、クリナを地面に落とした。
 
 クリナに駆け寄る俺。
 駆け寄って来た俺を警戒したのか、同族モドキは、こちらを見つめたまま、バックステップで、暗闇の中に消えて行った。
 
 (だ、大丈夫か!クリナ!)
 脚を折りたたみ、うずくまるクリナ。……これは、死にそうな時の……。
 
 俺は弱っているクリナを咥えると、急いで、当初の目的地を目指した。
 
 途中、尻尾の生えていない、サソリのような生き物に出くわしたり、ムカデのような生き物にも遭遇した。
 ……夜の森は、俺が思っていた以上に、危険だった。
 俺の考えが甘かった。
 
 (………クソッ!)
 前回の匂い違いもそうだ。いつも、俺の考えが甘いせいで、クリナを巻き込んでしまう。

 この体なら、無理すれば、ずっと起きている事だって、可能だったんだ!
 せめて、目的地に着くまでは、起きているべきだったっ!
 
 (……着いた……)
 辺りが、日の光で白み始めた頃、俺は目的の木の根元に到着していた。
 
 (…………もう少しだぞ、クリナ)
 未だに蹲るクリナを舐めて、元気付けようとする。
 
 (……よし、登るか……)
 再びクリナを掴み上げると、洞に向かって、木の幹を登っていく。
 
 (大丈夫だよな。クリナ……)
 登り始めた朝日が、静かに、二人を照らしていた。
 
 
 
 ======
※補足。
 実際に、蟻に擬態するアリグモと言う生物がいますが、彼らは、蟻に擬態し、身を守っているだけで、基本的に、蟻を襲いません。ご注意を。
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