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旅立ち
第42話
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……クリナの香りがする。
俺は、白が支配する空間で目を覚ます。
白以外何も見えない。見えるのは、自分の体だけ。
ここは天国なのだろうか?
体が、魂が、溶けていく感覚。
いや、実際に、少しずつ溶けているのだ。この世界の白に。
不思議と不安はなかった。それどころか、世界と一つになるような、心地の良い、安心感が心を満たす。
体が薄れていくほど、意識も薄れていく。
このまま、俺は消えていくのだろうか?
……まぁ、良いか。俺に思い残す事なんて……。
事なんて……?
何かが頭に引っかかる。
……駄目だ。頭が朦朧として、なにも思い出せない……。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
……あれ?誰かが泣いている。一体、どこで……。
俺は、辺りを見回すが、誰もいない。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
……何故、君は泣いているんだ?
何処から聞こえているかも分からない声に、俺は問いかけた。
「ごめんなっ!ごめんなざいっ!!」
しかし、当然、答えは返ってこず、泣き声だけが、響き続ける。
「全部、全部、私のせいなんです!全員、私が殺したんです!私が!私が生まれて来なければ良かった!あの時死ねばよかった!」
そんな……。そんな悲しい事言うなよ……。
誰の物かも分からない嗚咽に、俺の心は掻き乱される。
お前のせいじゃない。生まれてきたのも、間違いじゃない。強く生きて欲しい。
どんな方法でも良い。泣き声の主に、伝えたかった。
「神様。私は悪い子です。悪いのは私です。私が罰を受けます。私が死にます。だから、だから、全部元通りに……」
次第に弱まって行く、少女の声。
……駄目だ。
駄目だ、駄目だ、駄目だ!
そんな事、許さない!絶対に許さない!
世界が許しても、俺が許さない!
神が彼女の命を奪うと言うならば、俺は、神であろうと、絶対に赦さない!
……そうだ。これはクリナの香りじゃない、もう、彼女の香りだ。
それに気が付いた瞬間、誰かの気配を感じ、振り返る。
…あぁ、クリナ……。ここにいたんだな。
姿は光のように揺らいで見えないが、紛れもなく、それはクリナだった。
でも、ごめん。……また、一人にしちゃうけど、もう少ししたら、また迎えに来るから……。その時まで、待っててくれるか?
光の影が、首を振るように揺らめくと、俺の頬に触れて来た。
え?神様に逆らったら、地獄行きだから、もう、帰って来るなって?
そんな、つれない事、言うなよ……。
俺の中に、言葉や感情が流れ込んでくる。
うん。うん。うん……。
そうか、クリスもこっちに来ちゃったんだな……。
……はははっ。確かに、お互い、一人じゃないなら、寂しくないな。
…うん、うん。……え?二人から、あいつに?
うん。うん。……きっと、喜ぶよ。絶対に届ける。
…そうだな……。長くなるかも知れないからな。先に行ってくれていて、良いよ。
うん。うん。
うん。色々と、ごめん……。助かるよ。
うん。最後まで、ありがとう。
うん。うん。……うん。
……じゃあ、行って来るな。
俺はちょっと出かける様な口調で、挨拶を済ませると、光から、一歩、遠ざかった。
光の影は、笑うように、優しく揺らめくと、そのまま風のように消えてしまう。
俺は、それを見届けると、彼女の香りが、漂ってくる方向へ歩き出す。
どれほどの距離があるかは分からない。
俺の体がもつかも、分からない。
しかし、この心は、名前だけは、絶対に届ける。彼女が強く生きて行けるように。
俺は、白が支配する空間で目を覚ます。
白以外何も見えない。見えるのは、自分の体だけ。
ここは天国なのだろうか?
体が、魂が、溶けていく感覚。
いや、実際に、少しずつ溶けているのだ。この世界の白に。
不思議と不安はなかった。それどころか、世界と一つになるような、心地の良い、安心感が心を満たす。
体が薄れていくほど、意識も薄れていく。
このまま、俺は消えていくのだろうか?
……まぁ、良いか。俺に思い残す事なんて……。
事なんて……?
何かが頭に引っかかる。
……駄目だ。頭が朦朧として、なにも思い出せない……。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
……あれ?誰かが泣いている。一体、どこで……。
俺は、辺りを見回すが、誰もいない。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
……何故、君は泣いているんだ?
何処から聞こえているかも分からない声に、俺は問いかけた。
「ごめんなっ!ごめんなざいっ!!」
しかし、当然、答えは返ってこず、泣き声だけが、響き続ける。
「全部、全部、私のせいなんです!全員、私が殺したんです!私が!私が生まれて来なければ良かった!あの時死ねばよかった!」
そんな……。そんな悲しい事言うなよ……。
誰の物かも分からない嗚咽に、俺の心は掻き乱される。
お前のせいじゃない。生まれてきたのも、間違いじゃない。強く生きて欲しい。
どんな方法でも良い。泣き声の主に、伝えたかった。
「神様。私は悪い子です。悪いのは私です。私が罰を受けます。私が死にます。だから、だから、全部元通りに……」
次第に弱まって行く、少女の声。
……駄目だ。
駄目だ、駄目だ、駄目だ!
そんな事、許さない!絶対に許さない!
世界が許しても、俺が許さない!
神が彼女の命を奪うと言うならば、俺は、神であろうと、絶対に赦さない!
……そうだ。これはクリナの香りじゃない、もう、彼女の香りだ。
それに気が付いた瞬間、誰かの気配を感じ、振り返る。
…あぁ、クリナ……。ここにいたんだな。
姿は光のように揺らいで見えないが、紛れもなく、それはクリナだった。
でも、ごめん。……また、一人にしちゃうけど、もう少ししたら、また迎えに来るから……。その時まで、待っててくれるか?
光の影が、首を振るように揺らめくと、俺の頬に触れて来た。
え?神様に逆らったら、地獄行きだから、もう、帰って来るなって?
そんな、つれない事、言うなよ……。
俺の中に、言葉や感情が流れ込んでくる。
うん。うん。うん……。
そうか、クリスもこっちに来ちゃったんだな……。
……はははっ。確かに、お互い、一人じゃないなら、寂しくないな。
…うん、うん。……え?二人から、あいつに?
うん。うん。……きっと、喜ぶよ。絶対に届ける。
…そうだな……。長くなるかも知れないからな。先に行ってくれていて、良いよ。
うん。うん。
うん。色々と、ごめん……。助かるよ。
うん。最後まで、ありがとう。
うん。うん。……うん。
……じゃあ、行って来るな。
俺はちょっと出かける様な口調で、挨拶を済ませると、光から、一歩、遠ざかった。
光の影は、笑うように、優しく揺らめくと、そのまま風のように消えてしまう。
俺は、それを見届けると、彼女の香りが、漂ってくる方向へ歩き出す。
どれほどの距離があるかは分からない。
俺の体がもつかも、分からない。
しかし、この心は、名前だけは、絶対に届ける。彼女が強く生きて行けるように。
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