異世界転生 ~生まれ変わったら、社会性昆虫モンスターでした~

おっさん。

文字の大きさ
80 / 172
捕食生活

第79話

しおりを挟む
 木にできた、うろの中、俺は光を生み出しながら、寝る準備をしていた。

 「本当に食べないんですか?」
 あの後、狩ったコオロギや、蜘蛛等をまとめた、糸玉を背に、彼女が話しかけて来る。
 糸玉の隙間からは、まだ死に切っていないのか、ピクピクと、脚や触覚を動かす、コオロギやキリギリスの姿が見て取れる。俺達はまだ生きてるんだぞ、って、主張してくる。
 
 「い、いい!いい!いらない!」
 俺はそいつらから顔を逸らしつつ、彼女から距離を取る。
 
 「そうですか……。美味しいのに……」
 生きたまま、糸ごと、彼女にかじられて行く、コオロギ。
 彼女が噛み付く度に、ピクついて、内臓が……。そんな目で見ないでくれッ!
 
 「お、俺!外の警備してるわ!」
 食われ行くコウロギと、目があった気がした俺は、思わず俺は木の洞から飛び出した。
 
 前は普通に食べらて居られたはずなのに。
 生命を食すことに対する嫌悪感が自分の中で膨れ上がって行く。

 ただ、他人が食すことを否定する気はない。
 そりゃ、草食なら良いかもしれないが、蜘蛛やオオカミは肉食だ。植物を消化するだけの器官を持ち合わせていない。
 雑食であっても、栄養バランスの為には必要な時もある。だから、そういうもんだと、割り切れる。
 
 ……でも、もし、俺の知っている奴らが食われる側に回ったらと思うと、俺の仲間達のように生きるはずだった奴らを、自らが食らっているかと思うと、眩暈がするのだ。
 
 今までは、生き物の死なんて、意識しても、すぐに忘れる程度だった。
 
 しかし、その生命にしっかりと向き合う事で、奴らも生きていると言う事が、意識から外れない程に、頭に焼き付いてしまった。

 知る前は、あんなに当然の事だったのに……。
 知ると言う事は、案外怖い物なのかもしれない。
 
 「その内、慣れるのかなぁ……」
 慣れたくは無いが、慣れていくんだろうな……。
 
 でも、自身の中でのルールを明確化せずに、食いたい様に食らっていては、いつか、今の様に、後悔する時が訪れる気がする。
 
 「俺自身、食べ物を取らないで済む体になったのは、助かったよなぁ……」
 そうでなければ、今頃、餓死している。
 
 ……いや、案外、自分が飢えなくなったからこそ、そんな事を考えているのかもしれないな。腹が減って、目の前に物があれば、それどころではないだろう。
 
 「……まぁ、考え直す、良い機会か……」
 皆、脳を持たない植物だけを食べて過ごせたら良いのに……。
 そんな事を考えながら、俺は夜空の月を見上げていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...