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捕食生活
第80話
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「おわっ!」
目を覚ますと、俺の前の前には、可愛い童顔があった。
「おはようございます」
至近距離で、さも当然の様に、挨拶をしてくるコグモ。
「お、おはよう……」
動揺している、俺がおかしいのだろうか?
いやいや、騙されるな!
いや、でも、案外、他の種族では普通なのか?
「すみません。よくできた体だな、と思いまして、観察させて頂いていました」
な、なるほど……。状況は理解した。
理解したが、恥ずかしい物は恥ずかしい!
「ま、まぁな、リミアお嬢様の力作だからな」
上半身を起こした俺は、彼女から、後ろ手で這うように距離を取る。
「なるほど」と、納得した彼女は、何事も無かったかのように立ち上がると、服のほこりを払った。
「そういうお前の顔と服も、リミア製だろう?」
俺はなんとなく聞いてみた。
「そうです。この顔と、服と、あとは、皮膚に見える部分ですね。そこはお嬢様が直々に縫って作って下さいました」
少し嬉しそうに、恥ずかしそうに、もじもじとするコグモ。
「ただ、それ以外の中身は、生物のパーツを組み合わせた、醜い物です。お嬢様が作って下さった、外装が無ければ、これ程美しい見た目にはならないでしょう……。きっと、ルリ様も、一目見れば驚きますよ」
コグモは複雑な笑顔で、そう言った。
「……まぁ、俺も、お前の中に糸を通してるからな。それぐらいは知ってるさ……。別に、驚きはしないし、良いんじゃないのか?別に、人間の形にこだわらなくても……」
率直な意見を述べた後に、俺はハッとなって「まぁ!どんな格好をしよと、本人の自由だけどな!」と、付け加える。
今のじゃ、俺が、こいつに人間の姿になるな。と、聞こえるかもしれないしな!
「そう、ですか……」
考え込みながら、そう呟く彼女。
「……………」
何とも言えない空気になってしまった。
「さぁ!今日こそ、家を見つけるぞ!」
俺はそう言うと、ボーっとしている彼女の片腕を持ち「オー!」の掛け声と共に、真上へ持ち上げた。
「さ、触らないでください!何の真似ですか!」
初めて見る、恥ずかしそうな彼女の拒絶。
やられてばかりだった俺は、それを見て、してやったりと、良い気分になる。
「これはな。気分を上げる時に使うポーズなんだ。複数人で共通の目標に向けて、挑む時にも、よくやるな」
意気揚々と説明する俺に毒気を抜かれたのか「はぁ」と、呆けた様に答えるコグモ。
「んじゃ、行きますか!」
一人テンションの上がった俺は、コグモの腕を引っ張ると、朝の森へ駆け出した。
目を覚ますと、俺の前の前には、可愛い童顔があった。
「おはようございます」
至近距離で、さも当然の様に、挨拶をしてくるコグモ。
「お、おはよう……」
動揺している、俺がおかしいのだろうか?
いやいや、騙されるな!
いや、でも、案外、他の種族では普通なのか?
「すみません。よくできた体だな、と思いまして、観察させて頂いていました」
な、なるほど……。状況は理解した。
理解したが、恥ずかしい物は恥ずかしい!
「ま、まぁな、リミアお嬢様の力作だからな」
上半身を起こした俺は、彼女から、後ろ手で這うように距離を取る。
「なるほど」と、納得した彼女は、何事も無かったかのように立ち上がると、服のほこりを払った。
「そういうお前の顔と服も、リミア製だろう?」
俺はなんとなく聞いてみた。
「そうです。この顔と、服と、あとは、皮膚に見える部分ですね。そこはお嬢様が直々に縫って作って下さいました」
少し嬉しそうに、恥ずかしそうに、もじもじとするコグモ。
「ただ、それ以外の中身は、生物のパーツを組み合わせた、醜い物です。お嬢様が作って下さった、外装が無ければ、これ程美しい見た目にはならないでしょう……。きっと、ルリ様も、一目見れば驚きますよ」
コグモは複雑な笑顔で、そう言った。
「……まぁ、俺も、お前の中に糸を通してるからな。それぐらいは知ってるさ……。別に、驚きはしないし、良いんじゃないのか?別に、人間の形にこだわらなくても……」
率直な意見を述べた後に、俺はハッとなって「まぁ!どんな格好をしよと、本人の自由だけどな!」と、付け加える。
今のじゃ、俺が、こいつに人間の姿になるな。と、聞こえるかもしれないしな!
「そう、ですか……」
考え込みながら、そう呟く彼女。
「……………」
何とも言えない空気になってしまった。
「さぁ!今日こそ、家を見つけるぞ!」
俺はそう言うと、ボーっとしている彼女の片腕を持ち「オー!」の掛け声と共に、真上へ持ち上げた。
「さ、触らないでください!何の真似ですか!」
初めて見る、恥ずかしそうな彼女の拒絶。
やられてばかりだった俺は、それを見て、してやったりと、良い気分になる。
「これはな。気分を上げる時に使うポーズなんだ。複数人で共通の目標に向けて、挑む時にも、よくやるな」
意気揚々と説明する俺に毒気を抜かれたのか「はぁ」と、呆けた様に答えるコグモ。
「んじゃ、行きますか!」
一人テンションの上がった俺は、コグモの腕を引っ張ると、朝の森へ駆け出した。
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