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崩壊
第124話
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「失礼します……」
いつも通り、洗面用の水や、着替えを持って、部屋を訪れた私。
「おはよう。コグモ」
「おはよう、ございます。コグモさん」
物覚えの良いクリアは、ルリ様の指示が無くても、自然と挨拶ができるようになっていた。
まぁ、ルリ様が挨拶をしないと、クリアも行わないので、多分、真似ているだけなのだとは思うが。
「おはようございます。ルリ様、クリア様」
私はそう言うと、優しい笑顔を浮かべ、かがみながら、クリアの頭を撫でる。
クリアは相変わらず、されるがままで、喜んでいるのか、嫌がっているのか、何を考えているのか、全く分からなかった。
クリアの頭から手を離した私は、そのまま朝の準備を開始する。
「……コグモ。ちょっと良いか?」
ベッドメイキングをしていた私の背に、ルリ様が声を掛けて来る。
「……?何ですか?」
振り返る私に、クリアの存在を気にしながら、ルリ様が耳打ちをしてくる。
「あ、あのな……。俺、昨日から、何も食べてなくてさ……」
彼の言葉に、私は納得すると「いいですよ」と、答え、ベッドに腰かける。
「助かる……」
ルリ様はそう言うと、私の隣に腰かけ、糸を伸ばす。
「ッ……!ちょ、ちょっと、強引ではないですか?」
いつもより荒い糸の繋ぎに、くすぐったさを覚えた私は、思わず、文句を言う。
「ご、ごめん!糸の質や量が変わったせいで、細かい操作が上手く行かないんだ!」
両手を合わせ、頭を下げるルリ様。
「……まぁ、そう言う事なら、仕方が無いですね」
私は、体の火照りを抑えながら、ルリ様の顔を見る事に恥ずかしさを覚え、目線をずらす。
「…………」
少し離れた場所で、立ったまま、こちらを凝視する、クリアと目が合った。
その瞳や表情からは、何も感じ取れないが、誰かに……。こういう行為を凝視されるのは、恥ずかしい。
ゴクゴクゴクゴク。
そんな私の感情を読む余裕もないのか、一心不乱に、私から栄養を吸い取るルリ様。相当お腹が減っていたのだろう。
そんなルリ様の体は、段々と、私の方へ、倒れかかって来ていた。
「ル、ルリ様!クリア様が見ていますから!」
私はその体を押しのけようとするが、体に力が入らず、逆に、ベッドの上へ仰向けに押し倒されてしまう。
この脱力感と、妙な快感の原因は、獲物に抵抗されない為の、ルリ様の本能に任せた、能力から来る物なのかもしれない。
「るり、さま、これいじょうは……」
栄養の搾取により、生命の危機を感じながらも、快感を感じてしまう。
加えて、私を逃がさない為か、息を荒くしたルリ様が私の上へ、這うように上半身を乗せてきていて……。
ルリ様の体温と、肌の感触を全身で感じる。
私の栄養に興奮しているのか、荒い息遣いと、脈打つ鼓動が、直に伝わってくる。
ただでさえ、容量が一杯の脳が、それらの情報で一杯になった。
ジー……。
いつの間にか、ベッドの上に登っていたクリアが、押し倒されていた、私の顔を見下ろす。
続けて、蕩けた瞳をしたルリ様の顔も、私を覗き込んだ。
二人に見つめられながら、快楽を感じる私。恥ずかしい、恥ずかしすぎる!
あぁ……。栄養の吸われ過ぎで、意識が朦朧として来た。
でも気持ち良くて、嬉しくて、恥ずかしくて、気持ち良くて……。
「はぅぅ………」
私は混乱する中、顔を真っ赤に染めながら、意識を失った。
いつも通り、洗面用の水や、着替えを持って、部屋を訪れた私。
「おはよう。コグモ」
「おはよう、ございます。コグモさん」
物覚えの良いクリアは、ルリ様の指示が無くても、自然と挨拶ができるようになっていた。
まぁ、ルリ様が挨拶をしないと、クリアも行わないので、多分、真似ているだけなのだとは思うが。
「おはようございます。ルリ様、クリア様」
私はそう言うと、優しい笑顔を浮かべ、かがみながら、クリアの頭を撫でる。
クリアは相変わらず、されるがままで、喜んでいるのか、嫌がっているのか、何を考えているのか、全く分からなかった。
クリアの頭から手を離した私は、そのまま朝の準備を開始する。
「……コグモ。ちょっと良いか?」
ベッドメイキングをしていた私の背に、ルリ様が声を掛けて来る。
「……?何ですか?」
振り返る私に、クリアの存在を気にしながら、ルリ様が耳打ちをしてくる。
「あ、あのな……。俺、昨日から、何も食べてなくてさ……」
彼の言葉に、私は納得すると「いいですよ」と、答え、ベッドに腰かける。
「助かる……」
ルリ様はそう言うと、私の隣に腰かけ、糸を伸ばす。
「ッ……!ちょ、ちょっと、強引ではないですか?」
いつもより荒い糸の繋ぎに、くすぐったさを覚えた私は、思わず、文句を言う。
「ご、ごめん!糸の質や量が変わったせいで、細かい操作が上手く行かないんだ!」
両手を合わせ、頭を下げるルリ様。
「……まぁ、そう言う事なら、仕方が無いですね」
私は、体の火照りを抑えながら、ルリ様の顔を見る事に恥ずかしさを覚え、目線をずらす。
「…………」
少し離れた場所で、立ったまま、こちらを凝視する、クリアと目が合った。
その瞳や表情からは、何も感じ取れないが、誰かに……。こういう行為を凝視されるのは、恥ずかしい。
ゴクゴクゴクゴク。
そんな私の感情を読む余裕もないのか、一心不乱に、私から栄養を吸い取るルリ様。相当お腹が減っていたのだろう。
そんなルリ様の体は、段々と、私の方へ、倒れかかって来ていた。
「ル、ルリ様!クリア様が見ていますから!」
私はその体を押しのけようとするが、体に力が入らず、逆に、ベッドの上へ仰向けに押し倒されてしまう。
この脱力感と、妙な快感の原因は、獲物に抵抗されない為の、ルリ様の本能に任せた、能力から来る物なのかもしれない。
「るり、さま、これいじょうは……」
栄養の搾取により、生命の危機を感じながらも、快感を感じてしまう。
加えて、私を逃がさない為か、息を荒くしたルリ様が私の上へ、這うように上半身を乗せてきていて……。
ルリ様の体温と、肌の感触を全身で感じる。
私の栄養に興奮しているのか、荒い息遣いと、脈打つ鼓動が、直に伝わってくる。
ただでさえ、容量が一杯の脳が、それらの情報で一杯になった。
ジー……。
いつの間にか、ベッドの上に登っていたクリアが、押し倒されていた、私の顔を見下ろす。
続けて、蕩けた瞳をしたルリ様の顔も、私を覗き込んだ。
二人に見つめられながら、快楽を感じる私。恥ずかしい、恥ずかしすぎる!
あぁ……。栄養の吸われ過ぎで、意識が朦朧として来た。
でも気持ち良くて、嬉しくて、恥ずかしくて、気持ち良くて……。
「はぅぅ………」
私は混乱する中、顔を真っ赤に染めながら、意識を失った。
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