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崩壊
第123話
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「構えはこうだ」
「こう……」
今は実技の時間。
クリアは、知識はある物の、実際にそれを行うのには慣れていない様で、実際に動いたり、知識を応用する事は苦手な様だった。
例を挙げるならば、座学では、知識として記憶している九九を、素早く答える事は出来る。
しかし、それ以上の数字の掛け算となると、実際に計算せねばならず、かなりの時間を要していた。
現在行っている弓の実習も、弓の持ち方や、放ち方は覚えていている様だったが、実際、体を動かす事になると、思うように扱えていない様だった。
「その体勢でストップ!……う~ん……。全体的に、おかしいなぁ……」
そんなクリアに付きっ切りになっているルリ様。
そうなれば、自然と、一人で練習を行える私達は放って置かれる。
「ここをこう持ってだな……。姿勢はこう」
ルリ様はクリアの小さな体を、背中から抱きかかえる様にして、弓の持ち方から、姿勢の正し方まで、自身の腕と体を使って、矯正していく。
……私達の時は、糸で神経を操って、体の形を整えていたのに、何か、待遇の差を感じる。
ギュゥ……。
私はルリ様達から目を逸らし、もやもやを籠める様に、弓を引く。
シュパン!
その矢は、見事に標的に命中した。
「このタイミングで、離す!」
ルリ様の掛け声と共に、シュパン!と、気持ちの良い音が鳴った。
再び、ルリ様達の方へ視線を向けてみれば、初めてクリアの矢が、的に命中していた。
「よし!すごいぞ!その調子だ!」
手放しにクリアを褒めるルリ様。
そんなの、ルリ様が彼女の体を矯正しながら、放った弓なのだから、当たり前だと言うのに。
私は前を向くと、再び矢を放つ。
シュパン!
その標的に着弾する、爽快な音が、幾分か、私の中のもやもやを払ってくれた。
気付けば、もう既に、的は針山状態。
これだけ当てても、ルリ様はこちらに見向きもしない。
シュパン!
シュパン!
シュパン!
……本当は、私があそこにいるはずだったのに……。
お嬢様が……。お嬢様さえ……。
「あ……」
シュン!
的を外れた矢が、遠くへと飛んでいく。
……私は、今、何を考えていたのだろうか?
自分でも分からなくなった。
……でも、この感情は分かる。
お嬢様が、よく、ルリ様が構う相手に、抱いていた感情だ。
これが、欲しいものが手に入らないと言う、感情なのだろうか?
もし、それを、目の前で見せびらかされ続けて、それでも、二度と手に入れる事が出来ないと知ったら……。
考えるだけで、胸が締め付けられる。
お嬢様は、ずっとこんな気持ちを抱えていたのだろうか?
私は、お嬢様の気持ちを分かって気でいたが、それは、私が想像していた以上に、辛い物なのかもしれない。
消えてしまいたい……。そんな気持ちも、分かる気がした。
でも、それは間違いだ。
結局救われたのはお嬢様だけ。周りの皆を、これ程までに、不幸にしている。
……いや、そんな事はどうでも良い、私は、ルリ様をこんな状態にしてしまうまでに追い込んだ、お嬢様を許せなかった。
もしお嬢様が目覚めたら、私も拳の一発ぐらいは、決める権利があるだろう。
なんせ、お嬢様のせいで、欲しい物から、自ら手を引かなければならなくなったのだから。
そして、その後は、ルリ様をかけての決戦を行おう。
主従関係なしの、最終決戦だ。
……だから、私も、その日までは耐え抜こう。
お嬢様と同じ苦しみを味わって、生きよう。
それが、お嬢様の苦しみを甘く見て、ルリ様の告白に舞い上がっていた、私ができる、唯一の罪滅ぼしだった。
「こう……」
今は実技の時間。
クリアは、知識はある物の、実際にそれを行うのには慣れていない様で、実際に動いたり、知識を応用する事は苦手な様だった。
例を挙げるならば、座学では、知識として記憶している九九を、素早く答える事は出来る。
しかし、それ以上の数字の掛け算となると、実際に計算せねばならず、かなりの時間を要していた。
現在行っている弓の実習も、弓の持ち方や、放ち方は覚えていている様だったが、実際、体を動かす事になると、思うように扱えていない様だった。
「その体勢でストップ!……う~ん……。全体的に、おかしいなぁ……」
そんなクリアに付きっ切りになっているルリ様。
そうなれば、自然と、一人で練習を行える私達は放って置かれる。
「ここをこう持ってだな……。姿勢はこう」
ルリ様はクリアの小さな体を、背中から抱きかかえる様にして、弓の持ち方から、姿勢の正し方まで、自身の腕と体を使って、矯正していく。
……私達の時は、糸で神経を操って、体の形を整えていたのに、何か、待遇の差を感じる。
ギュゥ……。
私はルリ様達から目を逸らし、もやもやを籠める様に、弓を引く。
シュパン!
その矢は、見事に標的に命中した。
「このタイミングで、離す!」
ルリ様の掛け声と共に、シュパン!と、気持ちの良い音が鳴った。
再び、ルリ様達の方へ視線を向けてみれば、初めてクリアの矢が、的に命中していた。
「よし!すごいぞ!その調子だ!」
手放しにクリアを褒めるルリ様。
そんなの、ルリ様が彼女の体を矯正しながら、放った弓なのだから、当たり前だと言うのに。
私は前を向くと、再び矢を放つ。
シュパン!
その標的に着弾する、爽快な音が、幾分か、私の中のもやもやを払ってくれた。
気付けば、もう既に、的は針山状態。
これだけ当てても、ルリ様はこちらに見向きもしない。
シュパン!
シュパン!
シュパン!
……本当は、私があそこにいるはずだったのに……。
お嬢様が……。お嬢様さえ……。
「あ……」
シュン!
的を外れた矢が、遠くへと飛んでいく。
……私は、今、何を考えていたのだろうか?
自分でも分からなくなった。
……でも、この感情は分かる。
お嬢様が、よく、ルリ様が構う相手に、抱いていた感情だ。
これが、欲しいものが手に入らないと言う、感情なのだろうか?
もし、それを、目の前で見せびらかされ続けて、それでも、二度と手に入れる事が出来ないと知ったら……。
考えるだけで、胸が締め付けられる。
お嬢様は、ずっとこんな気持ちを抱えていたのだろうか?
私は、お嬢様の気持ちを分かって気でいたが、それは、私が想像していた以上に、辛い物なのかもしれない。
消えてしまいたい……。そんな気持ちも、分かる気がした。
でも、それは間違いだ。
結局救われたのはお嬢様だけ。周りの皆を、これ程までに、不幸にしている。
……いや、そんな事はどうでも良い、私は、ルリ様をこんな状態にしてしまうまでに追い込んだ、お嬢様を許せなかった。
もしお嬢様が目覚めたら、私も拳の一発ぐらいは、決める権利があるだろう。
なんせ、お嬢様のせいで、欲しい物から、自ら手を引かなければならなくなったのだから。
そして、その後は、ルリ様をかけての決戦を行おう。
主従関係なしの、最終決戦だ。
……だから、私も、その日までは耐え抜こう。
お嬢様と同じ苦しみを味わって、生きよう。
それが、お嬢様の苦しみを甘く見て、ルリ様の告白に舞い上がっていた、私ができる、唯一の罪滅ぼしだった。
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