127 / 172
崩壊
第126話
しおりを挟む
「ヴァワゥ!」
私達は、いつも通り、河原で、それぞれ苦手な道具の扱いを練習していた。
因みに私は投網で、ゴブリンさんは弓である。
「……よし、一人で出来るようになって来たな……」
こちらもいつも通り、クリアに付きっ切りなルリ様。
しかし、そのお陰か、クリアはここ数日で一通りの道具が扱えるようになって来た。
最初は、クリアにルリ様を取られたようで嫉妬していた私だが、最近は耐えられるようになって来た。
慣れて来たと言うのもあるのだろうが、その主な原因は、クリアにそう言う気が、一切見られないと言う点と、本当に、無知で、純粋で、ルリ様に従順な姿が、こちらの毒気を抜いてしまうからだろう。
今の所、クリアの道具の扱いは、弓では私に劣るが、投網なら私が負ける。投げ槍や、投網ではゴブリンさんに劣るが、弓なら勝る。そんなバランス型の構成だ。
「よッス。皆さん。元気してるッスか?」
皆が、それぞれの練習を行っている中、突然、ウサギさんが森の中から現れ、声を掛けて来た。
「よぉ!久しぶりだな!この頃見なかったが、どうしてたんだ?」
それを見たルリ様が、片手を上げながら、ウサギさんへと歩み寄って行く。
「いやぁ、それがッスね。コトリと仲違い中でして、あんまり近寄ると、攻撃してくるんッスよ」
「いやぁ~。参ったッス」と、困ったように笑いながら頭を掻くウサギ。
「どうせ、お前がまたくだらない事でも、やらかしたんだろ」
何も知らないルリ様が、呆れた様な視線で、ウサギを睨む。
あれは、別に、ウサギさんだけが、悪かったわけではないのだが……。
と言うか、コトリはまだ、そんなくだらない事を続けているのか……。
一瞬、ウサギさんが、ちらっと、こちらを見た。
私は、何か悪い事をした気がして、小さく頭を下げる。
「んまぁ、そんなとこッス。それより、差し入れ持って来たッスよ」
特に話を蒸し返す気もないのか、何事も無かったかのように、話を進めるウサギさん。
その背にはウサギさんに支給されていた、糸の縄に括り付けられ、地面を引きずられる、イノシシの姿があった。
「お前、狩りもできるのか?」
意外だと言うように、呟くルリ様。
「ルリ様。ウサギさんは、ダンジョンの拡張工事が止まってからと言う物、毎日、食料を運んできてくれているんですよ。ルリ様に気を遣わせないために、秘密にしているようでしたが……」
私はウサギさんの肩を持つように、ルリ様に説明をした。
本当は初めから伝えておきたかったのだが、今まで、ウサギさんからは、
「ご主人様は、そう言う事、気にするんで、言わなくて良いッス。……今は手一杯見たいッスしね」
と、口止めをされていたのだ。
しかし、こうやって、獲物を持って目の前に現れたと言う事は、もう、隠す必要はなくなったと判断したのだろう。
「そうだったのか……。その……。悪かったな、気を遣わせて……。ありがとう」
どんな顔をしたら良いのか分からない様で、戸惑うように、顔を逸らすルリ様。
しかし、その表情は、自然と嬉しそうに緩んでいた。
私達は、いつも通り、河原で、それぞれ苦手な道具の扱いを練習していた。
因みに私は投網で、ゴブリンさんは弓である。
「……よし、一人で出来るようになって来たな……」
こちらもいつも通り、クリアに付きっ切りなルリ様。
しかし、そのお陰か、クリアはここ数日で一通りの道具が扱えるようになって来た。
最初は、クリアにルリ様を取られたようで嫉妬していた私だが、最近は耐えられるようになって来た。
慣れて来たと言うのもあるのだろうが、その主な原因は、クリアにそう言う気が、一切見られないと言う点と、本当に、無知で、純粋で、ルリ様に従順な姿が、こちらの毒気を抜いてしまうからだろう。
今の所、クリアの道具の扱いは、弓では私に劣るが、投網なら私が負ける。投げ槍や、投網ではゴブリンさんに劣るが、弓なら勝る。そんなバランス型の構成だ。
「よッス。皆さん。元気してるッスか?」
皆が、それぞれの練習を行っている中、突然、ウサギさんが森の中から現れ、声を掛けて来た。
「よぉ!久しぶりだな!この頃見なかったが、どうしてたんだ?」
それを見たルリ様が、片手を上げながら、ウサギさんへと歩み寄って行く。
「いやぁ、それがッスね。コトリと仲違い中でして、あんまり近寄ると、攻撃してくるんッスよ」
「いやぁ~。参ったッス」と、困ったように笑いながら頭を掻くウサギ。
「どうせ、お前がまたくだらない事でも、やらかしたんだろ」
何も知らないルリ様が、呆れた様な視線で、ウサギを睨む。
あれは、別に、ウサギさんだけが、悪かったわけではないのだが……。
と言うか、コトリはまだ、そんなくだらない事を続けているのか……。
一瞬、ウサギさんが、ちらっと、こちらを見た。
私は、何か悪い事をした気がして、小さく頭を下げる。
「んまぁ、そんなとこッス。それより、差し入れ持って来たッスよ」
特に話を蒸し返す気もないのか、何事も無かったかのように、話を進めるウサギさん。
その背にはウサギさんに支給されていた、糸の縄に括り付けられ、地面を引きずられる、イノシシの姿があった。
「お前、狩りもできるのか?」
意外だと言うように、呟くルリ様。
「ルリ様。ウサギさんは、ダンジョンの拡張工事が止まってからと言う物、毎日、食料を運んできてくれているんですよ。ルリ様に気を遣わせないために、秘密にしているようでしたが……」
私はウサギさんの肩を持つように、ルリ様に説明をした。
本当は初めから伝えておきたかったのだが、今まで、ウサギさんからは、
「ご主人様は、そう言う事、気にするんで、言わなくて良いッス。……今は手一杯見たいッスしね」
と、口止めをされていたのだ。
しかし、こうやって、獲物を持って目の前に現れたと言う事は、もう、隠す必要はなくなったと判断したのだろう。
「そうだったのか……。その……。悪かったな、気を遣わせて……。ありがとう」
どんな顔をしたら良いのか分からない様で、戸惑うように、顔を逸らすルリ様。
しかし、その表情は、自然と嬉しそうに緩んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる