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崩壊
第127話
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「そうだったのか……。その……。悪かったな、気を遣わせて……。ありがとう」
ウサギさんに大切にされている事に気づき、戸惑うように、顔を逸らしながらも、嬉しそうな表情をするルリ様。
誰でも、慕っている相手に、大事にされていると思うと、嬉しい物だ。
ルリ様に告白された私が言うのだから、間違いはない。
「でも、大丈夫だ!リミアはこれがあればっ!!」
クリアを指差そうとしたルリ様の口を、ウサギさんは指先で優しく塞いだ。
「良いッスよ。分かってますから……」
そう言って、複雑な表情見せるウサギさん。
私も、ルリ様が元に戻って来たと思っていた分、内心、ショックが大きかった。
「それより、皆さん!これを食べ終わったら、武器の実技練習代わりに、一緒に今晩と、朝食分の獲物を狩りに行かないッスか?!」
しかし、一瞬で、明るい雰囲気に戻ると、その空気を払拭するように、明るい空気で、狩りの提案をする。
私の頭には、ルリ様の狩り恐怖症の件がよぎる。
しかし、その件は、妙な質問をされたと言って、私に相談を持ち掛けて来たウサギさんも、知っている。
私はあまり、狩りには肯定的ではなく、今までも、ルリ様が狩りを行おうとする度に、意図的に話題をずらし、避けて来た。
しかし、いつまでも避けて通れる道ではないし、ウサギさんにはウサギさんなりの考えがあるのだろう。
「そうですね。久々に、どうですか?」
私もルリ様を見つめながら、問う。
「ん~……。そうだな。このまま、ウサギだけに負担をかけるのも良くないし、良い機会かもしれないな」
あまり、葛藤する様子もなく、すんなりと答えるルリ様。
今思えば、イノシシの死体を見ても動揺しない時点で、おかしかったのだ。
今のルリ様は、生物を殺す事に対する抵抗が希薄になっているのかもしれない。
きっと、クリアを物として見ないといけなくなった際に、その部分も、壊れてしまったのだろう。
それは、ルリ様が生きて行く上で、楽に生きる事ができる、正しい価値観でもあるのだが、それはルリ様がルリ様ではなくなる様で……。
ちらっと、ウサギさんの顔を覗き見ると、向こうもこちらを見ていた様で、目が合ってしまった。
ぎこちない表情で笑いあう私達。
多分、ウサギさんも私と同じ違和感を感じているのだろう。
しかし、それでも狩りを行うと言う選択肢を取るウサギさん。
きっと、彼は、これを機に、ルリ様を一人でも狩りが行える様、慣らしていきたいのだろう。
狩りから遠ざける様にして来た私とは大違いだった。
お嬢様の件しかり、ルリ様の件しかり、注意はしているつもりなのだが、どうも、私は相手を甘やかしすぎてしまう。
ここはルリ様に、いつもとは違う刺激を与える為にも、素直に、ウサギさんの提案に乗ってみる事にした。
ウサギさんに大切にされている事に気づき、戸惑うように、顔を逸らしながらも、嬉しそうな表情をするルリ様。
誰でも、慕っている相手に、大事にされていると思うと、嬉しい物だ。
ルリ様に告白された私が言うのだから、間違いはない。
「でも、大丈夫だ!リミアはこれがあればっ!!」
クリアを指差そうとしたルリ様の口を、ウサギさんは指先で優しく塞いだ。
「良いッスよ。分かってますから……」
そう言って、複雑な表情見せるウサギさん。
私も、ルリ様が元に戻って来たと思っていた分、内心、ショックが大きかった。
「それより、皆さん!これを食べ終わったら、武器の実技練習代わりに、一緒に今晩と、朝食分の獲物を狩りに行かないッスか?!」
しかし、一瞬で、明るい雰囲気に戻ると、その空気を払拭するように、明るい空気で、狩りの提案をする。
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しかし、その件は、妙な質問をされたと言って、私に相談を持ち掛けて来たウサギさんも、知っている。
私はあまり、狩りには肯定的ではなく、今までも、ルリ様が狩りを行おうとする度に、意図的に話題をずらし、避けて来た。
しかし、いつまでも避けて通れる道ではないし、ウサギさんにはウサギさんなりの考えがあるのだろう。
「そうですね。久々に、どうですか?」
私もルリ様を見つめながら、問う。
「ん~……。そうだな。このまま、ウサギだけに負担をかけるのも良くないし、良い機会かもしれないな」
あまり、葛藤する様子もなく、すんなりと答えるルリ様。
今思えば、イノシシの死体を見ても動揺しない時点で、おかしかったのだ。
今のルリ様は、生物を殺す事に対する抵抗が希薄になっているのかもしれない。
きっと、クリアを物として見ないといけなくなった際に、その部分も、壊れてしまったのだろう。
それは、ルリ様が生きて行く上で、楽に生きる事ができる、正しい価値観でもあるのだが、それはルリ様がルリ様ではなくなる様で……。
ちらっと、ウサギさんの顔を覗き見ると、向こうもこちらを見ていた様で、目が合ってしまった。
ぎこちない表情で笑いあう私達。
多分、ウサギさんも私と同じ違和感を感じているのだろう。
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きっと、彼は、これを機に、ルリ様を一人でも狩りが行える様、慣らしていきたいのだろう。
狩りから遠ざける様にして来た私とは大違いだった。
お嬢様の件しかり、ルリ様の件しかり、注意はしているつもりなのだが、どうも、私は相手を甘やかしすぎてしまう。
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