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向上心
第132話
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「……本当に、私の栄養はいらないんですか?」
クリアを寝かしつけた後、その横で寝転がっていた俺をコグモが誘惑してくる。
「い、いらない……」
本当は喉から手が出るほど、欲しい。
骨の髄までしゃぶり尽くしたい。
それ程までに、俺の体力は消耗していた。
昼間の内に、粘菌が好まない食物や、効率よく分解する食物をある程度調べた後、後者の食べ物で腹を一杯にしてみた。
しかし、そうなれば栄養に偏りが出る上に、粘菌の分解速度がそれほど速くない為、今も腹の中には食物が残っている状態だ。
つまり、俺はそれだけ、栄養が足りていない状態となる。
ただ、死ぬほどでは無い。死ぬほどでは無いのだが、不味い飯を少しづつ、空腹の状態で与えられ続けると言う拷問。理性を失って、一気に粘菌から栄養を吸い尽くしてしまえば、粘菌は死んでしまう。
しかし、この拷問のような時間も、俺自身と粘菌の進化に繋がるはずなのだ。耐えるしかない。
「そ、そうだ。今日のクリアはどうだった?」
俺は気を紛らわす意味も込めて、コグモに質問する。
今日は俺のいない間、コグモにクリアの訓練相手をしていてもらっていたのだが、どうしていたのか気になっていたのだ。
クリアの眠った今なら、話すのにも、丁度良いタイミングだろう。
「そうですね……。特に問題は無かったですよ。私の言う事はよく聞いてくれますし。……ただ、ルリ様がいないのが少し不安なのか、たまにキョロキョロしていました」
その話を聞くと、やはり、新しい方法で、リミアをよみがえらせると言う選択は、間違っていなかったと、実感できる。
もう、クリアはクリアで、リミアはリミアなのだ。
出来る事ならば、二人とも救いたい。
「フフフッ……。やはり、ルリ様には、優しい表情が似合います」
クリアを挟むようにして、俺と対面になるよう、ベッドの上に寝転ぶコグモ。
その可愛い笑顔を見ていると、色々な意味で襲いたくなってしまう。
「ルリ様が、クリアを犠牲にしない方法を見つける。と仰って下さった時は、本当に嬉しかったです」
眠るクリアの体を優しく叩きながら、呟くコグモ。
「ウサギさんは凄いですね。……ちょっと、嫉妬しちゃいます」
確かに、ウサギの前向きに努力する姿勢には、俺自身、嫉妬してしまった。
その嫉妬のおかげで、俺は変わる事が出来たのだから、奴には感謝しなければいけないな。
「……ルリ様。絶対に勘違いをしている顔をしています」
小さく頬を膨らますコグモ。……可愛い。
何が勘違いなのかは分からないが、こうやって、落ち着いて、コグモと話す事ができるようになったのも、ドMウサギのおかげである。
俺なしでは生きられない、あんな生意気な、クソデブウサギだったくせに、いつの間にやら、俺が助けられる立場になっていた。
やはり、努力しない人間は、すぐに追い越されてしまうようだった。
「明日も、よろしく頼むな」
俺はクリア越しに、コグモに笑いかける。
すると、当然の様に「はい」と言う、優しい肯定が返ってきた。
これ程、尽くしてくれる彼女の為に、俺は何ができるだろうか?
……まぁ、まずは、コグモの大切な、お嬢様を救い出す事から始めて見よう。
……そう言えば、彼女の命令には絶対服従だったんだっけな。
それが行使される程、余裕のある生活を目指して見るのも悪くはない。
俺はコグモの笑顔と、安らかなクリアの寝息を聞きながら、心地の良い夢に溺れて行った。
クリアを寝かしつけた後、その横で寝転がっていた俺をコグモが誘惑してくる。
「い、いらない……」
本当は喉から手が出るほど、欲しい。
骨の髄までしゃぶり尽くしたい。
それ程までに、俺の体力は消耗していた。
昼間の内に、粘菌が好まない食物や、効率よく分解する食物をある程度調べた後、後者の食べ物で腹を一杯にしてみた。
しかし、そうなれば栄養に偏りが出る上に、粘菌の分解速度がそれほど速くない為、今も腹の中には食物が残っている状態だ。
つまり、俺はそれだけ、栄養が足りていない状態となる。
ただ、死ぬほどでは無い。死ぬほどでは無いのだが、不味い飯を少しづつ、空腹の状態で与えられ続けると言う拷問。理性を失って、一気に粘菌から栄養を吸い尽くしてしまえば、粘菌は死んでしまう。
しかし、この拷問のような時間も、俺自身と粘菌の進化に繋がるはずなのだ。耐えるしかない。
「そ、そうだ。今日のクリアはどうだった?」
俺は気を紛らわす意味も込めて、コグモに質問する。
今日は俺のいない間、コグモにクリアの訓練相手をしていてもらっていたのだが、どうしていたのか気になっていたのだ。
クリアの眠った今なら、話すのにも、丁度良いタイミングだろう。
「そうですね……。特に問題は無かったですよ。私の言う事はよく聞いてくれますし。……ただ、ルリ様がいないのが少し不安なのか、たまにキョロキョロしていました」
その話を聞くと、やはり、新しい方法で、リミアをよみがえらせると言う選択は、間違っていなかったと、実感できる。
もう、クリアはクリアで、リミアはリミアなのだ。
出来る事ならば、二人とも救いたい。
「フフフッ……。やはり、ルリ様には、優しい表情が似合います」
クリアを挟むようにして、俺と対面になるよう、ベッドの上に寝転ぶコグモ。
その可愛い笑顔を見ていると、色々な意味で襲いたくなってしまう。
「ルリ様が、クリアを犠牲にしない方法を見つける。と仰って下さった時は、本当に嬉しかったです」
眠るクリアの体を優しく叩きながら、呟くコグモ。
「ウサギさんは凄いですね。……ちょっと、嫉妬しちゃいます」
確かに、ウサギの前向きに努力する姿勢には、俺自身、嫉妬してしまった。
その嫉妬のおかげで、俺は変わる事が出来たのだから、奴には感謝しなければいけないな。
「……ルリ様。絶対に勘違いをしている顔をしています」
小さく頬を膨らますコグモ。……可愛い。
何が勘違いなのかは分からないが、こうやって、落ち着いて、コグモと話す事ができるようになったのも、ドMウサギのおかげである。
俺なしでは生きられない、あんな生意気な、クソデブウサギだったくせに、いつの間にやら、俺が助けられる立場になっていた。
やはり、努力しない人間は、すぐに追い越されてしまうようだった。
「明日も、よろしく頼むな」
俺はクリア越しに、コグモに笑いかける。
すると、当然の様に「はい」と言う、優しい肯定が返ってきた。
これ程、尽くしてくれる彼女の為に、俺は何ができるだろうか?
……まぁ、まずは、コグモの大切な、お嬢様を救い出す事から始めて見よう。
……そう言えば、彼女の命令には絶対服従だったんだっけな。
それが行使される程、余裕のある生活を目指して見るのも悪くはない。
俺はコグモの笑顔と、安らかなクリアの寝息を聞きながら、心地の良い夢に溺れて行った。
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