異世界転生 ~生まれ変わったら、社会性昆虫モンスターでした~

おっさん。

文字の大きさ
134 / 172
向上心

第133話

しおりを挟む
 ゴクリ……。
 空腹で目の覚めた俺の前には、無防備に眠るコグモの姿があった。
 どうやら、あのまま、眠ってしまったらしい。

 それにしても、良い匂いがする。とても美味しそうだ。
 こんな無防備な姿をさらしていると言う事は、食べて良いって事だよな?
 大丈夫、大丈夫、前みたいにガッつくつもりはないんだ、ちょっと、ちょっとだけ、ちょっとだけ、齧るぐらいなら……。
 
 ゴン!
 何かのぶつかる様な音で、俺は正気に戻った。
 コグモに向かって伸ばしていた腕と髪を引っ込めると、急いでベッドから飛び出る。
 
 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
 今度あんな事をすれば、確実にコグモに見放されるだろう。
 夢で行われている神罰か何かだと思った俺は、床に頭を擦り付け、謝った。
 
 ゴン!ゴツ!ゴン!
 それでもなり続ける物音と、俺の謝罪に、コグモ達が目を覚ます。
 
 「……どうしたんでしゅか……?ルリしゃま……」
 メイド服を着崩した、SSレアな寝起きコグモを見た所で、俺は気付く。これは夢などではない。
 
 「……いや、何か外が騒がしいと思ってな」
 何事も無かったかのように立ち上がり、それっぽい事を口に出す。
 自分でも苦しいとは思ったが、寝ぼけ眼のコグモは「そうにゃんですか……」と言って、再び舟をこぎ始めた。
 
 ゴン!コン!ゴツ!
 そこに再び、異音の嵐。
 
 「るりしゃま、うるしゃいでしゅよ……」
 お寝ぼけコグモを置いて、俺は木製の窓の隙間から、外を見る。
 
 マジかよ、ゴブリンが、あんなに沢山……。
 
 まだ、日が昇りかけて間もない、薄暗闇の中、家の出入り口を取り囲むようにして、陣を取るゴブリン達を目の当たりにする。
 
 ?!あれは、コトリか?!
 
 木の根元を見てみれば、そこにはボロボロになったコトリが転がっていた。
 それを見る限り、どう考えても、友好的な接触ではないだろう。
 
 コトリはしばらく姿が見えなかったが、大ムカデも彼女の所へ出かけたり、ウサギもふらっといなくなって、数日帰って来ない事がザラにあるので、あまり気にしていなかった。
 
 まさか、コトリから喧嘩を売ったのだろうか?
 しかし、それにしたって、この場所がばれるのはおかしい。コトリが別の場所で喧嘩をしたからと言って、この場所が見つかるはずが無いのだ。

 それにコトリも、敵を引き連れて、この場所に帰って来るほど馬鹿ではない。
 となると、奴らは初めから、この場所を知っていたことになるのだが、その場合、目的はなんだ?
 ゴブリン達は無駄な争いを好まないので無かったのか?
 
 ガン!ガン!ゴン!
 ゴブリン達はこの木に向かって石を投げてきている。
 きっと、あのコトリも囮なのだろう。
 
 俺は、一人、地下へと向かう。
 家にいるゴブリンに助けを求める為だ。
 
 彼なら、仲介役として、穏便に物事を運んでくれるかもしれないし、そもそも、彼らの目的が、家に住むゴブリンの奪還と言う事もある。

 俺は状況がさらに悪化する前に、地下にいるゴブリンの元へと急いだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...