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向上心
第138話
しおりを挟む「……そうか。じゃあ、あのゴブリン達は和解できたんだな」
俺は体に付いた血を、皮で洗い流した俺は、ウサギから受け取ったタオルで体をふきながら、ゴブリン事件の顛末を聞いていた。
「スベスベ……」
俺の体を気持ちよさそうに撫でるクリア。
素肌を触られるのは、少しくすぐったくはあるが、無理矢理引き離す気にもなれず、もう諦めて放置している。
「そうッスね。ボク達にはゴブリンの言葉が分からないッスから、何とも言えないッスけど、少なくとも、家のゴブリンが何やらコミュニケーションを取って、平和的に、他のゴブリン達を散らしていたッスよ」
俺の呟きを補足するように、説明してくれるウサギ。
そんなウサギの話を聞く限り、ゴブリン事件はあの後、大事に発展する事は無かったらしい。
相手には損害無し。
こちらの被害と言えば、一階の扉が破壊させた事と、命に別状はないが、コトリがしばらく安静必須の重症。
俺は自爆なのでノーカンとして、倒れている俺達を見たコグモが、大きくショックを受けた事が、主な損害だったと言う。
……まぁ、コトリの件は、言いたい事もあるが、正直、この世界で殺されなかったと言うだけ、マシだとは思う。
事件をこれ以上大きくしない為にも、それが最適な落とし所だと思った。
「あ、後、そのゴブリン達の中の数名は、家のゴブリンと何かを話しながら、家の前に留まっていたッス。……まぁ、しばらく前の話ッスから、もう居なくなってるかも知れないッスが」
きっと、ゴブスケが、事情でも説明していたのだろう。
もしかしたら、感動の再会でもあったのかもしれない。
「そう言えば、ゴブスケ……。家にいるゴブリンの事な。そのゴブスケは、他の仲間と帰ったのか?」
俺の質問に「さぁ?」と、首を傾げるウサギ。
……考えてみれば、ゴブスケを最後に見たのが、他のゴブリンと会話している時なのだから、知らなくても当然か。
「まぁ、ゴブスケ?は、そんな適当な奴じゃない様に思うッスし、いなくなるなら、少なくとも、ご主人様に声を掛けてからじゃないッスかね?」
なるほど。ウサギは普段、周囲の人物へ、適当に接している様に見えて、意外と、しっかりとした観察と評価を行っているらしい。
流石は、有能ウサギにジョブチェンジしただけの事はある。
「でも、そうか。そう言われてみれば、そうだな」
ウサギの意見を聞き、首を縦に振る俺。
言われてみれば、そんな気がしてきた。
しかし、まぁ、ここで考えていても仕方が無い。
百聞は一見に如かずともいうしな。
「よし、皆の所に戻るか。……タオルありがとな」
体を拭き終えた俺は、草陰に隠れていたウサギに近づくと、借りていたタオルを、絞って手渡した。
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