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向上心
第151話
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「……ん?」
リミアの部屋で道具の工作をしていると、隣で、裾に掴まり、座っていたクリアが、俺に寄り掛かって来た。
「眠ってしまったみたいですね……」
対面に座っていたコグモが、愛おしそうに、クリアを見つめながら呟く。
「ったく。だから、一緒にベッドに行こうって言ったのに……」
俺は文句を言いながらも、髪の糸と腕を使って、その小さな体を優しく抱き上げる。
「おいおい……」
それでも、俺の服の裾を離さないクリア。
眠ってまで離さないなんて、コアラじゃないんだから……。
「ルリ様の邪魔をしたくなかったんですよ。……まぁ、結局、ここで寝てしまっては一緒かも知れませんが」
そう言って、立ち上がった俺を見上げながら、小さく笑うコグモ。
彼女の言う通りだった。
これでは結局、手間が増えるだけである。
……でもまぁ、こうやって、眠気を抑えてまで、一緒に居たいと思って貰える事は、嬉しく思う。
「……こいつ、裾から手を離しそうも無いし、今日は、もう寝るか」
今は、日中、しなる木を火で熱しながら、折り曲げ、編み込み作った、防具の基礎に、俺の糸を、衣として巻き付けている所だった。
なので、今、床は散らかったままなのでが、下手に動かして、クリアが起きるのも、糸が絡むのも嫌だった。
「はい。そうしましょうか」
そう言って、当然の如く、片付けを始めるコグモ。
彼女にとって、自身が片付けをする事に、何ら疑問も浮かばないらしい。
流石、生まれてこの方、メイド生活を続けて来ただけの事はある。
まぁ、かと言って、生まれも育ちも庶民な俺は、罪悪感を覚えてしまう訳で「悪いな……」と言いながら、クリアと共に、ベッドに入った。
「…………」
俺は、クリアの頭越しに、片付けをするコグモを見つめる。
その動きは、忙しなさを感じさせないと言うのに、それなりの速度で物が片付いて行く。
きっと、無駄な動きや、思考の時間が少ないせいだろう。
彼女の中では、何処に何をしまうか、どうやってしまうか等、あらかじめ、決まっているのかもしれない。
「……あの……。そんなにじっと見られていると、やりにくいのですが……」
コグモが急にこちらに振り返り、呟く。
自然な動きで片づけを進めていたので、こちらの事など、気にしていないとばかり、思っていた。
「悪い悪い。あんまりにも動作が綺麗だから、見惚れてた」
俺は素直に謝ると、コグモは「余計やりにくくなったじゃないですかっ!」と、文句を言って来る。
「分かったよ……。ほら、これで良いだろ?」
俺が寝返りをうち、反対側に顔を向けると、彼女は満足したように、掃除を再開する。
コト。
何か物を置く音。
タッタッタ。
彼女が移動する音。
ザザザザザッ。
今のは引き出しを開けた音だろうか?
それらの音は、何故か、心地が良くて、俺も次第に意識が……。
「おやすみなさい」
その声に一瞬、目を薄く開くと、コグモの優しい笑顔が目の前にあった。
可愛いなぁ……。
俺はすっと髪を彼女に巻き付けると、抱き寄せ、そのまま人間の腕でも抱え込む。
「ちょ、ルリ様?ルリさ……」
あったかくて、柔らかくて、とても落ち着く感覚。
俺は思わず、その感触に頭を埋めた。
彼女の声が遠くなっていく。
もう、何を言っているのかも分からない。
もしかしたら、何も言っていないのかもしれない。
……もう、なんでも良いか……。
俺は幸せを抱えたまま、ゆっくりと、まどろみへ、沈んでいった。
リミアの部屋で道具の工作をしていると、隣で、裾に掴まり、座っていたクリアが、俺に寄り掛かって来た。
「眠ってしまったみたいですね……」
対面に座っていたコグモが、愛おしそうに、クリアを見つめながら呟く。
「ったく。だから、一緒にベッドに行こうって言ったのに……」
俺は文句を言いながらも、髪の糸と腕を使って、その小さな体を優しく抱き上げる。
「おいおい……」
それでも、俺の服の裾を離さないクリア。
眠ってまで離さないなんて、コアラじゃないんだから……。
「ルリ様の邪魔をしたくなかったんですよ。……まぁ、結局、ここで寝てしまっては一緒かも知れませんが」
そう言って、立ち上がった俺を見上げながら、小さく笑うコグモ。
彼女の言う通りだった。
これでは結局、手間が増えるだけである。
……でもまぁ、こうやって、眠気を抑えてまで、一緒に居たいと思って貰える事は、嬉しく思う。
「……こいつ、裾から手を離しそうも無いし、今日は、もう寝るか」
今は、日中、しなる木を火で熱しながら、折り曲げ、編み込み作った、防具の基礎に、俺の糸を、衣として巻き付けている所だった。
なので、今、床は散らかったままなのでが、下手に動かして、クリアが起きるのも、糸が絡むのも嫌だった。
「はい。そうしましょうか」
そう言って、当然の如く、片付けを始めるコグモ。
彼女にとって、自身が片付けをする事に、何ら疑問も浮かばないらしい。
流石、生まれてこの方、メイド生活を続けて来ただけの事はある。
まぁ、かと言って、生まれも育ちも庶民な俺は、罪悪感を覚えてしまう訳で「悪いな……」と言いながら、クリアと共に、ベッドに入った。
「…………」
俺は、クリアの頭越しに、片付けをするコグモを見つめる。
その動きは、忙しなさを感じさせないと言うのに、それなりの速度で物が片付いて行く。
きっと、無駄な動きや、思考の時間が少ないせいだろう。
彼女の中では、何処に何をしまうか、どうやってしまうか等、あらかじめ、決まっているのかもしれない。
「……あの……。そんなにじっと見られていると、やりにくいのですが……」
コグモが急にこちらに振り返り、呟く。
自然な動きで片づけを進めていたので、こちらの事など、気にしていないとばかり、思っていた。
「悪い悪い。あんまりにも動作が綺麗だから、見惚れてた」
俺は素直に謝ると、コグモは「余計やりにくくなったじゃないですかっ!」と、文句を言って来る。
「分かったよ……。ほら、これで良いだろ?」
俺が寝返りをうち、反対側に顔を向けると、彼女は満足したように、掃除を再開する。
コト。
何か物を置く音。
タッタッタ。
彼女が移動する音。
ザザザザザッ。
今のは引き出しを開けた音だろうか?
それらの音は、何故か、心地が良くて、俺も次第に意識が……。
「おやすみなさい」
その声に一瞬、目を薄く開くと、コグモの優しい笑顔が目の前にあった。
可愛いなぁ……。
俺はすっと髪を彼女に巻き付けると、抱き寄せ、そのまま人間の腕でも抱え込む。
「ちょ、ルリ様?ルリさ……」
あったかくて、柔らかくて、とても落ち着く感覚。
俺は思わず、その感触に頭を埋めた。
彼女の声が遠くなっていく。
もう、何を言っているのかも分からない。
もしかしたら、何も言っていないのかもしれない。
……もう、なんでも良いか……。
俺は幸せを抱えたまま、ゆっくりと、まどろみへ、沈んでいった。
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