異世界転生 ~生まれ変わったら、社会性昆虫モンスターでした~

おっさん。

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向上心

第161話

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 ガブ。
 「……ん?」
 安心しきって、彼女に身を任せていた俺の親指を違和感が襲う。
 
 ぶちぶちぶちと、引きちぎられて行く親指。
 痛覚を緩めていなかったら、発狂していただろう。
 
 「私。ずっと我慢してたんです。昨日も寝ぼけたルリ様が抱き着いて来るから、もう、食べたくて食べたくて……。そんな時に、体をまさぐられては理性が限界でした。……でも、もう我慢しなくて良いんですね!」
 
  …………?
 「あ、あぁ……。でも、別に俺じゃなくても良いんじゃないか?食べ物ならいくらでも他に……」
 
 いくら痛くは無いとはいえ、引きちぎられて行けば、多少の違和感はあるし、俺の糸のスタックのも限界がある。
 
 「んっ……?!」
 そんな悠長ゆうちょうな事を考えている俺に、痛みと快感が走る。
 何故だ?この体の感覚は最小限にしてあるはずなのに……。
 
 「ごめんなさい……。リアクションが無いと、中々欲求が満たせなくて……」
 どうやら、コグモの仕業らしかった。
 きっと、感覚を断ち切ることができない、コア部分に当たるルリちゃん人形をいじくったのだろう。
 
 「な、何でこんな事をするんだ?!他の食事じゃダメなのか?!」
 「だめでひゅ……」俺の必死無い問いに、コグモは俺の耳にかぶりつきながら答える。
 
 ブチン。
 容赦なく噛み千切られる俺の耳。
 
 「はむはむ……ゴクン。……私達にとっての生殖行為は、相手をその生殖器官ごと全て食べる事なので、こうしないと、性的欲求が満たせないんです……」
 俺の上に馬乗りになった彼女は、俺の耳を飲み込んだ後、口の周りに血を付けながら、申し訳なさそうに、呟いた。

 「え?……ええっと、コグモは俺をそう言う目で見てくれているって事か?」
 興味半分、恐怖半分。俺は恐る恐る、コグモに問う。
 
 「そ、そんな事、聞かないでくださいよ……。意地悪ですね」
 両腕で自身の体を抱きしめるようにしながら、そっぽを向くコグモ。
 その顔は赤らんで、瞳は少し潤んでいた。
 
 「え……?で、でも……。告白は断るって……」
 「それはお嬢様の件が絡んでいるからです!だから、その件が片付くまでは秘密にしておくつもりでしたが……。でも、耐えられなくって……。それに、私を刺激するルリ様も悪いんです!」
 そう言って、残った俺の耳にかぶりついて来るコグモ。
 
 「それに、このまま、この体を食べているだけなら、多分、妊娠はしないと思うので……」
 俺は頭の処理が追い付かず、ボーッと、コグモの口の中へモグモグと飲み込まれて行く自身の耳を見つめていた。
 
 「お嬢様が無事復活して、安定した時には改めて、こちらから告白させて頂こうと思いますので、宜しくお願い致します」
 花のような笑顔をこちらに向けて来るコグモ。
 その晴れ晴れとした、可愛らしい表情には似つかわしくない血痕が、綺麗に彼女の体と顔を彩っていた。
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